映画レビュー0277 『ダークナイト ライジング』

この夏、映画ファン最も注目の一作と言っていいでしょうこの作品。いてもたってもいられず、早速観て参りました。

果たして前作「ダークナイト」の激烈高評価を超える作品となるのか、そして僕もそうですが「インセプション」で「こいつはすげぇ!」と映画ファンを驚愕させたクリストファー・ノーラン監督が、いかにその天才性を映画に吹き込んでくるのか、気になるトコロはたくさんあります。

ちなみに個人的には、過去2作は観ているものの世間の高評価ほどハマっておらず、またバットマン自体にも映画以上の知識は特にない、というような人間です。ご参考まで。

ダークナイト ライジング

The Dark Knight Rises
監督
脚本
クリストファー・ノーラン
音楽
公開
2012年7月20日 アメリカ
上映時間
165分
製作国
アメリカ・イギリス

ダークナイト ライジング

前作より8年。「世界一住みたくない都市」ゴッサム・シティにも平和な時が流れていたが、その裏で「影の同盟」出身の傭兵、ベインはある“完璧な計画”を進めていた…。

壮絶にして驚愕、衰えない緊張感。やっぱりノーラン、天才です。

10

「ダークナイト」はもはやここ何年かの作品としては伝説的と言っていいほど、高水準で評価の高い映画になっていると思いますが、その前作を超えられるのか、という不安の中、やってくれましたクリストファー・ノーラン。

この映画のキャッチコピー、

伝説が、壮絶に、終わる。

これがもう素晴らしく言い得てますね。この映画。

まず観て出てきた単語は、まさしく「壮絶」。

165分という長めの上映時間ですが、オープニングの緊張感から一貫してテンションが衰えず、ひたすら映画の世界に引き込まれ、絶望的ですらある展開に息を呑みました。終わって物語を振り返れば、決して“こんなの観たこと無い!”なんて話ではないんですが、劇中にそんな先読みをさせてくれるほど観客に優しい映画では無いです。

極限までの緊張感とスピード感、そして濃厚なドラマで、ただただハラハラしながら画面を見つめることしかさせてくれませんでした。観客を集中させるための引力、これがここまで強い映画は他に思い出せません。

スゴイ。これは本当にスゴイ。

「ヒーローモノ」なんてくくりだと陳腐にすぎて申し訳ない。完全なるサスペンスであり、人間ドラマであり、そしてアクション。この複雑なあらゆる要素をこの尺でまとめ、綺麗に仕上げる監督の手腕には本当に脱帽しました。

この後味、この濃密さを考えると、この165分という時間は絶妙かもしれません。クソ監督が作ったらもっと冗長にダラダラやるか、もしくは短くまとめるものの薄味になって駄作になるのがオチかな、と。

予告編でやたら印象的だった「ヒッヒッハッハッ ヒッヒッハッハッ」のあのリズムが常に不安を煽ってくれるような、重厚なハンス・ジマーの劇伴もまた耳から血が出るほど映画にシンクロしていて、ノーラン×ジマーの相性もやっぱりすばらしい。

さらにさらに、かつて無い程の豪華役者陣のそれぞれのドラマ、見せ場の作り方もまた天才的なシナリオ。

クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、アン・ハサウェイ、そして悪役トム・ハーディ。これだけの人たちそれぞれに濃厚な見せ場があり、それでいて散漫になっていないという奇跡的な展開。おまけに“地獄”にいた二人のご老人、これもまた素晴らしく。もーすべてに絶句しました。

何度でも言いましょう、クリストファー・ノーラン、やっぱりあんた天才だ。ついでに弟のジョナサン・ノーラン、あんたもきっと天才だ。ってことはこの二人を産み育てた両親、あんたたちが一番天才だ。世界中の映画ファンから祝福されるべきご両親でしょう。本気で感謝します。

僕は1作目にあたる「バットマン ビギンズ」は渡辺謙目的で観たこともあって、当時かなり酷評した記憶があるんですが、こんな最終作を用意されちゃうとこりゃあもう一回最初から全部観てから言うこと言わんと大好きなお酒も飲んだらアカンでやすし君、ときよし師匠も仰っておられる気がしました。

きっとブルーレイ3本セットなんか出るでしょうから、こりゃー買わないと。これから観る人は、もう一度おさらいしてから観るといいかもしれません。

そして何よりこれはぜひ劇場で。集中できるよ、という意味も含めて。こんな映画を集中せずに、片手間で家鑑賞なんてもったいなさすぎる。IMAXだとなおよし。すばらしかった。

文句無し。

この映画がつまらないとかアレがダメだのコレがダメだの言うヤツは問答無用でゴッサム・シティに住めばいい。

このシーンがイイ!

これはもうね…。

なかなかネタバレ無しで説明は難しいんですが、劇中最後の方のマイケル・ケインの表情、とでも書いておきましょうか…。たまらずハンカチを取り出して涙を拭いました。ああ泣いたさ。

ちなみに今日は公開最初の日曜日、しかも昼過ぎの回ということもあって、結構お客さんが入っていたんですが、エンドロールでかなり鼻をすする音が聞こえてきたので、決して泣く人は珍しくなかったんだぞ、と反抗しておきます。

ココが○

全部。

こんなの作られたらもうこの後こんな重厚なヒーローモノ作るの無理でしょう…。後々のハードルが上がった、という意味では罪作りではあります。

あとスケアクロウのキリアン・マーフィもちゃんと出てきたのが何気にグッド。ああいう細かいファンサービスも大事です。

ココが×

若干ストーリー的に「ここはこうじゃないの?」みたいな部分はありましたが、まあそれはあえて言うならレベルの話です。そんな細かいこと気にしてたらあきまへんで。この映画。

MVA

豪華役者陣にそれぞれ見せ場があり、悩ましい…かと思いきや、今回はこの人しかいませんでした。

マイケル・ケイン(アルフレッド・ペニーワース役)

ご存知、ウェインの執事。

この人の訴えかける演技、本当にすばらしかった。後はもう、観てください。

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