映画レビュー1476 『天使のくれた時間』

今回もアマプラ終了系です。
これずっと観たかったんですよね。ニコケイ主演作の中でもかなり評価が高い方の映画だと思いますが…。

天使のくれた時間

The Family Man
監督
脚本

デヴィッド・ダイアモンド
デヴィッド・ウェイスマン

出演

ニコラス・ケイジ
ティア・レオーニ
ドン・チードル
ジェレミー・ピヴェン
ソウル・ルビネック
ジョセフ・ソマー
マッケンジー・ヴェガ

音楽
公開

2000年12月12日 アメリカ

上映時間

125分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

天使のくれた時間

もう少しひねりが欲しい。

7.0
セレブ社長、ある朝目が覚めると別れた彼女と結婚している「もう一つの未来」だった
  • 超セレブで大金持ち、自分が望むものはなんでも手にしていると豪語する投資会社社長が“もう一つの未来”へ
  • そっちの世界ではありふれた一般家庭でタイヤのセールスマン、元に戻してくれと懇願するが…
  • 恋愛映画的な要素を濃くした「素晴らしき哉、人生!
  • しかし展開も読みやすく、主人公が利己的故にもう一歩

あらすじ

良い話なのは間違いないと思いますが、しかしどうしても展開は読めるし主人公の性格がイマイチだしでもう一つかなぁといったところ。期待しすぎたかもしれません。

ある空港で、見るからに“人生の分岐点”的な場面の男女。
ジャック(ニコラス・ケイジ)はロンドンへの研修に向かうところで、恋人のケイト(ティア・レオーニ)に「良くない予感がするから考え直してほしい」と懇願されますが「離れても永遠に一緒だよ」と行ってしまいます。
それから13年後。
ウォール街で成功を収め、投資会社の社長となったジャックは超高級マンションでワンナイトラブなんかしちゃったりしつつ超成功者としての人生を謳歌しております。
この日はクリスマスイブなんですが、2日後に控えた重要なM&Aに備えて夜も対策を練っていたところ「永遠に一緒だよ」と言いつつ別れたかつての恋人・ケイトから連絡があったことを聞くも「どうせクリスマスで寂しくて連絡してきただけだろ」とクソ対応を見せるジャック、帰りに立ち寄ったお店で銃を突きつけ激怒する黒人のキャッシュ(ドン・チードル)と出会います。
窮地を丸く収めたジャックはキャッシュに対し「すべて手に入れて満たされている」と言うと、キャッシュに「これから何が起きてもすべてあんたの責任だ」と言われ、なんのことやねんと帰って寝て起きたら見知らぬ庶民の家で隣にはケイトが寝てましたとさ…!
即座に見覚えのない子どもが「パパー!」とやってきてひたすら困惑するジャック、元のマンションに戻っても入口で塩対応を食らい、どうやら「違う世界」に来たっぽいことがわかりますが…あとはご覧ください。

似て非なる「素晴らしき哉、人生!」

あらすじでもわかる通り、「もし違う人生を歩んでいたら」を見せられるifもの的な物語です。
「素晴らしき哉、人生!」をモチーフにしているらしく、似たような部分もチラホラ。あちらの天使がこっちのドンチーってことですね。銃振り回してましたけど。
「あのとき選ばなかった未来」という意味で言えば「スライディング・ドア」っぽさもあります。懐かしい。関係ないけどもう一度観たいんですよね、あの映画。

で、まあ「違う人生」の方が貧しいながらも家族がいて…となると普通に考えて「家族がいる幸せを知って後悔」的な話なんだろうなと思うじゃないですか。目覚めて「いやーこんな貧乏生活じゃなくてよかったー」で終わり、なんて話になるわけがないし。
なのでもうずっと既定路線で話が進むんですよね。驚きがなさすぎる。
一点だけ終盤にいい驚きはあったんですが、そこまでのベタさを覆すほどのものではないし、何よりニコケイ演じる主人公が微妙。
そもそも超大金持ちで満たされているだけに、違う(家族がいる)人生を知って今を後悔したところで“隣の芝生は青い”だけにしか思えず、ドンチーの企みが効果的に機能したとも思えない話なのが残念。
結局最後まで(人間として素直だとは思いますが)“自分の幸福”ばかり考えている人物なので、他者の幸福を願い続けることで窮地に陥る「素晴らしき哉、人生!」のジェームズ・スチュワートとはまるで違うんですよ。
まさに似て非なる話なので、当然感動もあちらとは遠く及びません。
百歩譲ってこっちを先に観ていれば感動するかもしれませんが、「素晴らしき哉、人生!」を観たことがある人であればその主人公の人格に対する違和感は拭えないはずなので、「モチーフにした」と言われてもなんでこうなったんやという思いしか得られません。
やっぱりちょっと転生(厳密には違うけど便宜上)前が満たされすぎていて、結局ないものねだりでしかない話なのがネックなのかなぁ、と。
その現状が揺らいでいるとか悩んでいるとかであればまたちょっと違ってくる気がするんですが、となるとドンチーによる導入も変わってきちゃうので難しいところ。でもやっぱり「結局元に戻されても大金持ちじゃねーか」みたいな視点はどうしても無くせず、ぶっちゃけ僻みですが金も家族もないわしゃどうすればええねんみたいな思いは終始ありました。

とは言えネット上の評価は割と高い方なので、あんまりこういうことは言いたくないですが…「似たような映画」を観ているか否かでだいぶ評価は分かれそうな気はします。
主人公の性格や境遇を抜いたとしても、どうしても話に既視感があるのは拭えないものなので、これを観て純粋に感動できるのはやっぱりあんまり類似作品を観ていない、もっと言えば「素晴らしき哉、人生!」は絶対に観ていないのではないかなと思いますね。
元々評価が高いのを知っていた故にハードルが上がっていた可能性はありますが、それにしてもちょっとベタすぎるというか。
ちょっと期待しすぎたかな…。

良い映画ではある

僕としては同じニコケイ作品で言うと「あなたに降る夢」みたいな良さを期待していたんですが、残念ながらそのレベルには至らず、と。
ヒロインがティア・レオーニだったのは良かったんですけど。
それでも大前提としてはいい話ではあるので、興味がある人は一度観てみてもいいのではないかと思います。
でもこれ観るんだったら「素晴らしき哉、人生!」を観たほうが幸せになれる気はしますね…何度観ても良い映画だし。

天使のくれたネタバレ

どんなネタバレだよ、っていうね。

一つだけ。
唯一意外で良かったのが、長い時を経て再会したケイトがまったくニコケイに未練なんて無さそうだったところ。
バリバリに働いてて超充実してそうだったし、これは逆にリアルというか。大体引きずってるのは男の方っていうのはもうおなじみの話ですからね。こっち(ニコケイ)が「寂しいから連絡してきたんだろ?」と思ったら全然違うという。
全体の話の展開からすればそうするのが当然ではあるんですが、ただのほほんと観てたらやっぱりちょっと意外だったので嬉しかったです。逆に。

このシーンがイイ!

娘ちゃんがかわいくて、パパを宇宙人と勘違いしてるシーンとかすごく良かったですね。その上で協力してくれるっていう。
あとエンディングの画が綺麗。

ココが○

終盤近い話なので詳細はネタバレ項に書きますが、再会した彼女の設定が良かったです。あそこだけ良い意味で少し裏切られたというか、ベタではなかったですね。

ココが×

やっぱりどうしても話が読めてしまうのが一番のネック。
「読めても良い」まで行ってほしかったんですが、そこまでのパワーは無かったのが残念。

MVA

若干ご贔屓もあり、この方に。

ティア・レオーニ(ケイト・レイノルズ役)

ジャックと別れてしばらくしてから連絡をしてきたヒロイン。転生先ではジャックの妻。
ティア・レオーニってあんまり評価されていない気がするんですが、僕は大昔「ディープインパクト」を劇場で観て以来結構好きだったんですよね。
観たあと当時の同級生に「美人じゃない?」って言ったら「どこが? 金髪コンプレックスでもあんの?」と全否定されたんですが、今思うと多分金髪ではなくショートカットが好きだから惹かれたのかな、と。ショートカットコンプレックスの方だった、みたいな。
今作でもやっぱり素敵でしたね。すごく役に合っていたと思います。

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