映画レビュー1363 『ATM エラー』

他のタイ映画情報を見たときに何度か登場したタイトル、いよいよJAIHOで配信ということで観ました。

ATM エラー

ATM: Er Rak Error
監督
脚本

Aummaraporn Phandintong
メート・タラトーン

出演
音楽
公開

2012年1月19日 タイ

上映時間

123分

製作国

タイ

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

ATMエラー

なんで別れないの?

7.5
社内恋愛禁止企業でトラブル発生、「負けた方が退職」の勝負に出るカップル
  • 社内恋愛禁止の銀行で密かに付き合う二人、ついに結婚を決断するが…
  • どっちも退職する気はない、じゃあ勝負だとトラブル対応対決
  • あの手この手でお互いを出し抜こうと競い合う二人だが…
  • 相変わらずクドくて脂っこい作風

あらすじ

面白かったんですが相変わらず本筋とは関係ない小ネタも多い脂っこさで、この監督の作風は人を選びそうだなぁと思います。

社内恋愛が禁止されている銀行・JNBCに勤めるジブ(プリーチャヤー・ポンタナーニコン)はATM部の副部長という役職なんですが、なぜか「社内恋愛をした二人に退職通知をする」担当でもあり、もうこんなことやりたくない! と部下のスア(チャンタウィット・タナセーウィー)にぶつけます。

何を隠そうこの二人は密かに社内恋愛中。それなりに長い付き合いながら未だに会社にバレるのを恐れる生活も嫌…といろいろ言っていたらよーしわかった! と逆ギレ気味に式場に予約を入れ「結婚するぞ!」とスア。

「ああなるほど結婚すればもう公認で一緒に働いててもいいのか」と思って観ていたらどうやらそれもダメらしく、結局「結婚を機にどっちかが退職する」必要があるぞと。

ジブはてっきりスアが退職するつもりで結婚の段取りを進めていたんですが、スアの方はそのつもりはまったくなく、ジブに退職してほしいと考えていたためにまたも衝突。

一方その頃地方にあるJNBCのATMが「引き出そうとした額の2倍を出金してしまう」エラーが発生、機械停止までに“儲けた”人たちを特定し、回収する必要が生じます。

ATM部の部長からこのことの対処を指示されたジブですが、それを知ったスアから「俺が全部回収するからお前が仕事やめろ」とけしかけられ、「それじゃあこのトラブルを解決したほうが会社に残る勝負にしましょ」ということで仁義なき恋人同士のバトルがスタート…!

タイ映画に馴染んでくると楽しいメンツ

メート・タラトーン監督作品を観るのは「アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー」「愛しい詐欺師」に続いて3作目です。今作含め、どれも濃い…!

ちなみに今作は公開当時タイで史上最高の売上を記録した映画らしく、いわゆるヒットメーカーなんでしょうね。

「愛しい詐欺師」にも登場した「JNBC」は、正式名称が「Japan National Bank of Commerce」で日本の会社だそうです。タイ映画、日本企業多いな。今もそうなのかは怪しい気がするけど…。

日本の企業であれば今どき「社内恋愛禁止」なんて各方面から叩かれそうだしやらないだろうと感じる結構すごいルールですが、それは置いといてネットに転がっていた情報によるとタイの企業ではそんなに珍しくもないそうです。ということはこの映画の二人みたいな人たちも結構いるんでしょうね。

元はと言えば好きで付き合い結婚までしようとするぐらいの二人なのに、いざ「どっちが退職するかの勝負」となるともう「それ犯罪だよね」ということまで(主にスアの方ですが)やっちゃう手段を選ばない戦いに発展する様が笑えつつも「絶対これ今後付き合い続けるの無理じゃない…?」とひどく疑問にも感じてしまう妙なお話でもありました。

スアを演じるのはチャンタウィット・タナセーウィー、あの「愛しい詐欺師」で鬱陶しいこと極まりなかったすきっ歯支配人の人ということで超驚き。なんかイケメン感出してるやん…!

一方同じく「愛しい詐欺師」で最高に笑わせてくれた“兄”のジョーンを演じていたポンサトーン・ジョンウィラートは、脇役ですがちょっと爽やかスポーツマン風のスアの同僚として出てきてこっちはもっと驚きました。男前やん…!

ヒロインのプリーチャヤー・ポンタナーニコンは「アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー」のヒロインで、この辺はいわゆるメート・タラトーン組ってやつでしょうか。俳優さんたちに馴染み感が出てきて嬉しい。ただ髪型もあってかヒロインもまったく違う印象でこれまたびっくりしましたね。

問題の“ATMエラー”を利用して儲かっちゃった人たちも脇役として結構重要な役回りを担っていて、彼らとの交流を通してまたいろいろ変わっていくお話でもあるんですが、最初にそのエラーを発見したペットを演じていたチャルームポン・ティカマポーンティラウォン(長い)はすごく印象的なルックスなので「なーんか見たことあるな…」と思って調べたら「フェーンチャン」のジャイアン的ないじめっ子でした。大人になってもあのまんま…! でも俳優続けてるのが良いですね。

さらにもう一人、「アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー」で謎の小ネタ担当として妙な存在感を見せる後輩を演じていたGornpop Janjaroen(ゴーンポップ・ジャンジャルーンって読むんだろうか)が今作でも登場、コネで入社したナルシストドラ息子としてジブに言い寄るキモ男を見事に演じています。この人なんなのマジで面白すぎるんですけど。

歌ってるシーンも出てきて笑っちゃうんですが、どうも調べたらこの方本業は歌手だそうで…まじかよ!? こんなクセ強い役ばっかりやって本業に支障出ないの!?

とまあタイ映画にある程度親しんでくるとなかなかいいメンツが揃ってるなと演者だけで楽しめちゃうアクの強い面々で最高でした。

おまけにメート・タラトーン作品らしくまあ本当にどうでもいい小ネタがわんさか出てくるし「これ何のシーンよ」みたいな場面も多いです。SEも大げさで脂っこいのでいきなりこれを観ると「なんか安っぽいなぁ」とか嫌になっちゃいそうなんですが、何度も観ているとコレコレ感出てきちゃって楽しいのも不思議。臭いものほど癖になるって感じでしょうか。

コメ強め

だいぶ本題から逸れましたが、まあ内容自体は特に言うこともないので観てください、ってところですね。

多分普通に通して観るとそんな大した話じゃないんですが、小ネタとキャラの強さで膨らませてくれるおかげでエンタメとして成立している辺りがやっぱりお上手な気がします。

その上最後はきっちり綺麗にまとめちゃうのがニクい。さすがタイのヒットメーカー。

いわゆるラブコメとして至って普通な落としどころに収まる映画なので、やっぱり意外性には欠けるとは思いますが…でも妙な存在感を見せる脇役陣のおかげで欧米のラブコメとは一味違った味わいになっているのがいいところ。

“ラブ”より“コメ”の比重が大きいのも相変わらずなので、タイのコメディが好きな人は要チェックでしょう。

このシーンがイイ!

エンドロールで出演陣が歌うんですが、それがやっぱり良かった。ああいうの好きなんですよね。楽しそうで。

それにしても各シーンで演技した前後に歌のシーンも毎回撮ってたんでしょうか…それはそれですごい労力だなと思いますが…。

ココが○

本当に毎回「クドいなぁ」ってちょっとうんざりする部分もあるんですが、観てるとやっぱり好きになっちゃうんですよね。メート・タラトーン監督作品は今後も観たいのでJAIHOはぜひ率先して配信してほしいです。

ココが×

そのクドさが受け入れられるかどうか、それによって確実に好き嫌いは分かれるでしょう。

それとやっぱり「いくらなんでも別れたほうが良くない?」と感じるぐらいちょっとバトり過ぎな気はする。

MVA

ということでおなじみになってきた面々も良かったんですが、今作はこの方に心を奪われました。

フォン・サナンタチャット・タナパットピサーン(ゴブ役)

儲かったお金でバイクを買ったプーの交際相手で、調査に来たスアに一目惚れしちゃう女の子。

すげーバカっぽいんですがすげーかわいいんですよ。そこが。超キュート。笑顔が満点すぎる。

顔立ちとしてはすごいかわいい、ってタイプでもないと思うんですが…表情と動きで全身からかわいさをアピールしてくるなかなかすごい女優さんだなと。他の映画でも観てみたい。

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