映画レビュー1182 『ダ・カーポ』

またもJAIHO、そしてまたも韓国映画です。絶対外さない音楽映画っぽかったので意気揚々と観たんですが…。

ダ・カーポ

Da Capo
監督

シム・チャンヤン

脚本

シム・チャンヤン

出演

ホン・イサク
チャン・ハウン
チャン・ダヒョン
ヤン・テファン
チャ・ミンホ

音楽

ホン・イサク

公開

2020年9月24日 韓国

上映時間

100分

製作国

韓国

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

ダ・カーポ

久々に思いっきりやられたラストのがっかり感。

5.0
売れないミュージシャンがかつてのバンド仲間と再会、自らを見つめ直す
  • このままこの道を続けて良いのかと悩みつつ、かつての仲間とその教え子に刺激を受けて自らを見つめ直す
  • プロのミュージシャン二人が主演、音楽のレベルは高い
  • 教え子たちによる厨二病バンドが良い
  • それだけにラストのがっかり感が半端ない

あらすじ

途中まではむちゃくちゃ好きだったんですけどね…ラスト20分で全部持っていかれました。悪い方に。

とある売れないバンドで音楽活動を続けるテイル(ホン・イサク)。このままやっていても売れそうにない行き詰まり感を感じつつ、同様に曲作りも行き詰まり中。

ある日、昔通っていた音楽教室に立ち寄ると、かつて一緒にバンドを組んでいた女性・ジウォン(チャン・ハウン)と再会。彼女と久しぶりのセッションを通じて曲作りも進展、かくして音楽教室に入り浸るようになったテイルは、そこで音楽大会を目指す厨二病パンクバンド「ディストリア」に音楽を教えながら刺激を受け、自らも新たなステップを踏み出そうとしますが…あとはご覧くださいませ。

とにかくラストの残念感がすべて

「厨二病バンド」と言いつつ実際中学生なので等身大のバンドと言えるかもしれません。動機がいかにもなかわいいボーカルが引っ張る中学生バンドに刺激を受けつつのいわゆる“再起系映画”とでも言いましょうか。

しかし主人公が最も刺激を受けるのはかつてのバンドメンバーであるジウォン。彼女への淡い恋心とともに、少しずつ勇気を蓄えていく様が地に足のついた物語になっていて、途中までは本当にものすごく良かったです。

ただねー、もう本当にラスト20分ぐらいでものすごくガッカリしました。もちろんそれがなぜなのかはネタバレになるので書けませんが、差し障りのない程度に言うならば「最後まで引っ張っておいてその勢いだけでさらっと終わっていく」感じとでも言ったら良いですかね…。

すごく重要なピースがいつの間にか無かったことにされたまま、なんとなくおしゃれな雰囲気で終えていくという…僕にとってはかなり地雷に近い展開のエンディングを見せてくれたので、もうなんちゅうことしてくれたんやとエセ関西弁も飛び出す始末。

エンドロールが出てきて即座に声に出して言いました。「もったいねー!!!」

なんてもったいない映画なのか。それまで積み上げていたものをすべてほったらかしにしていい感じに(見えるように)終わっていく…今までの時間を返してくれ案件でしたよ。

散々危ない棒を抜きながらも耐えてきたジェンガ、さあ誰が崩すのか…! と見守っていたら「次のゲームやろうぜ」とさっさとテーブルを離れていかれた感覚。感情の行きどころっ…!

なんならラストはちょっとファンタジーっぽくも見え、「え? これどういうこと? なんで突然こうなった??」と疑問符だらけ。それまでじっくり人を大事にした物語を展開しておきながら、最後の最後でその人々をあっさりぶった切る残酷さったら無い。なんでこうなったんだよ…。

もはやそれ以上は言えません。感覚的には前半8.5、中盤6.0、ラスト2.0。本当にものすごくガッカリしました。全体的な作りに対して5.0は厳しいとは思いますが、それだけがっかりしたんだと含みおきください。

小公女」とか「子猫をお願い」ぐらいに響くものを期待したんですけどね…期待しすぎたかな。

とにかくがっかり

もうこちらから言うことはございませんよ。本当にひどくがっかりしました。

途中で環境変化の兆しが現れたときの主人公の扱い、音楽業界の慣習みたいなものも少し大げさな気がしたし、もうちょっと丁寧な映画にすればものすごい傑作になったと思うので本当にもったいない気持ち。

すごく期待していただけに…久しぶりに落ち込むぐらいショックでした…。

ネ・タバーレ

観ればわかると思いますが、やっぱり厨二病バンド「ディストリア」の扱いですよね…。

終盤散々引っ張ってボーカルくんがどうするんだ、ってドラマにしておいて、戻ったら急に彼がいなくなって主人公がいい感じに先生とセッションしてワーイ、みたいな。なんなのアレ!?

また二人一緒にやっていくことにしましたなのか、それとももっと抽象的な「大事なものを見つけました」なのかはわかりませんが、どっちにしても唐突だし丁寧さがないのでそこに至る過程がわからない。ましてやボーカルくんはいなかったことにされてるし…。

このラストの展開は「ラ・ラ・ランド」に近い憤りを感じましたね。一番大事なところから逃げるなよ、って。

なんで最後の最後にあんな適当にオサレ流しで終わらせたのかな〜…ラストの海岸シーンでもボーカルくんいなかったでしょ!? 思わず戻して探しましたよ。いても変だしいなくても変だし…彼急に撮影終了前に亡くなったとかなの!?

あの決勝のステージに主人公と先生が立って歌うシーンの意味がまったくわからない…。本当にやってくれたなー。

このシーンがイイ!

序盤ですが先生が帰ってくるのを待ってるシーンが好きでしたね。いろいろ心情を考えちゃって。

ココが○

先生と妙な恋愛に流れなかったのはとてもいいと思います。思いがありつつも淡い感じが中学生たちとリンクしているような気もして…だからこそ最後が、って話なんですが。

ココが×

散々書いた通り、“オチ”がダメすぎる。期限が来たから急にほっぽり投げた感じ。監督は本当にこれが良いと思って作ったのか問い詰めたい。

MVA

これはもう一択でした。

チャン・ハウン(ジウォン役)

主人公のかつてのバンドメンバーで現音楽教室講師。

もうむちゃくちゃかわいくてびっくりしました。ちょっと吉高由里子っぽい。

全然知らずに観ていたので、「やっぱり韓国はかわいい女優さん多いねー」なんてのほほんとニンマリしていたんですが、終わってから調べて「天才ギタリスト」と呼ばれるガチミュージシャンだったことを知りました。衝撃。かわいすぎる。

ディストリアのギターの子もむちゃくちゃ上手いなとびっくりしたんですが、彼も実際うますぎて話題になった子らしいです。マジであの演奏やってるとは…すごい。

しかしその良さもすべてエンディングで流されてしまい、何度も書きますがつくづくがっかり…。今年一番がっかりした映画かもしれない。

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