映画レビュー1083 『ハロー!?ゴースト』

今回は隔週恒例のAmazonプライムウォッチパーティから。

ウォッチパーティは推薦作募集→投票で鑑賞作品を決めているので、自分が知らない&選ばない映画が出てきて楽しいですね。これも知らなかった映画の一つ。

ハロー!?ゴースト

Hello Ghost
監督

キム・ヨンタク

脚本

キム・ヨンタク
キム・ジヘ

出演

チャ・テヒョン
カン・イェウォン
コ・チャンソク
チャン・ヨンナム
イ・ムンス
チョン・ボグン

音楽

キム・ソンミン

公開

2010年12月22日 韓国

上映時間

111分

製作国

韓国

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(27インチiMac)

ハロー!?ゴースト

最後に一気に持っていかれる。

8.5
自殺未遂により霊が見えるようになった男、成仏させようと彼らの願いを叶えようとするが…
  • 生死の境に触れたことで霊が見えるようになった男の話
  • 憑依芸含めたコメディ感強めの前半から一転して後半は怒涛の展開
  • 中盤まではやや断片的なストーリー展開で理解しづらい
  • アメリカ版リメイクも決定済みとのこと

あらすじ

この映画、ネット上のレビューでむちゃくちゃ評価が高いんですよ。なので結構ハードルが上がった状態で観ていて、「楽しいけど…そこまでかいな」と思いつつ観ていたんですが…最後はしっかりやられましたね。

主人公のサンマン(チャ・テヒョン)は恋人はおろか身内もいない、いわゆる“天涯孤独”の男性。まだ若いんですが将来を悲観し、何度と無く自殺しようと繰り返すも毎回すんでのところで邪魔が入ったりして死にきれません。「幸せなひとりぼっち」のオーヴェみたいな。

物語冒頭でまたも自殺に失敗したサンマン、目覚めると謎の横分けおっさん(コ・チャンソク)がすぐそばから離れず、お医者さんに「この人なんなんですか」と聞いたところでお医者さんも「この人…?」ってなもんで…ハッと気付くわけですよ。あ、こいつ幽霊だな、と。

さらに続いて謎のスケベジジイゴースト(イ・ムンス)、食いしん坊キッズゴースト(チョン・ボグン)、ただ泣いているお姉さんゴースト(チャン・ヨンナム)と4人の幽霊が見えるようになります。

彼らはサンマンが見えるのを良いことに彼の家までついてきた挙げ句、酒を飲ませろだのテレビ見せろだの好き放題。さすがに勘弁してくれと思ったサンマンは霊媒師的な人物に相談。「彼らの無念を晴らせば成仏させられる」との情報を聞き出し、それぞれの願いを叶えるべく奔走することになりますが…果たして。

なんだかんだ作りが上手いのかもしれない

「幽霊の無念を晴らすべく生者が奔走する」というのはそのままRDJ主演の「愛が微笑む時」っぽいんですが、多少の語弊も覚悟しつつ書けば、あれの進化版と言うかさらに昇華させたような物語になっていて、いやはやこれはなかなか…良かったです。

同じ韓国映画ということで例えるなら、「インファナル・アフェア」の発展型としての「新しき世界」みたいな感覚でしょうか。これって伝わるんでしょうか。

ちなみにアメリカ版リメイクはクリス・コロンバス監督、アダム・サンドラー主演で予定されているそうですが…アダム・サンドラーあんまり好きじゃないので微妙なところ。まあでも観てみたい気はする。

序盤〜中盤はかなりコメディ感の強いドラマになっていて、基本的に「霊が行動する=サンマンに憑依する」形のため、例えば酒を飲むぞとなるとサンマンがひたすら飲む、飯を食うぞとなるとサンマンがひたすら食う、タバコ吸うぞとなるとサンマンがひたすら吸うというとにかく憑依される側(サンマン)にとっては身体への負担が大きく、それ故に「さっさと成仏してくれよ」というお話になるわけですが、若干その「今憑依してます」感がわかりづらい面はありつつも、しかし一人で「憑依されてます」感を見せていくチャ・テヒョンのややオーバーな顔芸は一見の価値があり、なかなか笑わせてもらいました。

そんな感じで笑いつつも終盤に向けては「そう言う話なのー!?」ってなもんで意外な方向に物語は進行し、最終的には思いの外グッと来てしまうという…なるほどこれは評価が高いのも頷けるなと言った内容でした。

最後まで観ればあちこちに伏線が散りばめられていたことはわかるんですが、ただ道中は結構ぶつ切りで特に解決してもいないのに次の霊の話に行ったりと、展開自体はあまり丁寧でもなく少し追いて行かれがちな面もあり、この辺りで「うおおおー!」っと叫びたくなるほどのものはなかったのが惜しい。

もっともこれはウォッチパーティでチャットしながら観たという状況もかなり影響している気はしていて、一人できっちり集中して観ればまたもう少し違った可能性はあります。それでもやや飛ばし気味であるのは事実だと思うので、これから観る人はしっかり集中して観るべき映画であることは確かでしょう。「コメディ仕立てのドラマ」として気楽に観るぞ、という映画ではないし、そういう観方をするともったいない映画だと思います。

ただこの展開のある種の雑さは、後半の展開を読ませなくするためにあえてやっているのではないかなという気もするし、そうであればなかなか巧みな作りのような気もします。後々気付いたら「あれってそういうことか!」というのも結構あったし、その辺りを気持ちよく“気付ける”ようにわざと断片的な展開にして見せてたのかな、とか。フリを利かせすぎない巧みさ。

最後まで観ると「なんでその可能性に気付かなかったんだろ」と思うぐらいにはそこまで珍しい展開でもないんですが、まったくそのつもりもなく観ていたのはやはりその辺りの作りの上手さがあったのかなと言う気がするんですよね。背中に張った「うんこ」の張り紙に気付かせないように鏡の方を向かせない作りというか。なんだこの例え。

複数回鑑賞も良いかもしれない

正直9点つけようか迷ったんですが、どうしても中盤までの組み立て方に少し不満があったので8.5にしました。が、上記のように考えていたらそれはそれであえてなのかもしれないと思うし、なかなか評価が難しいところです。ただ良い映画であることは間違いありません。

エンディングを観て即座にこれはもう一度観たいなと思ったぐらいにいろいろ気付きがあったのも事実なので、コメディ仕立てで軽い映画のように見えて…意外と複数回鑑賞を狙った深い映画かもしれない。なかなかやりよるで…!

グロくない韓国映画をちょっといろいろ追っかけたくなるぐらいにはよく出来てました。小手先でアレコレする感じがなく、作るものを信じて突っ走る感覚がすごく良いんですよね。なんなんだろう、これは。

ハロー!?ネタバレ

まさかの全員家族エンド。いやー、改めて考えたらそうであっても全然おかしくない人物構成だしなんで気付かなかったんだろうと思ったんですが、あえてサンマンが家族の匂いをまったくさせていないのが予想させないという意味で上手かったんでしょうね。

彼が家族について言及したのはおそらくあの太巻きで“思い出した”シーンが最初だったはずなので、それまで一切家族の影を見せなかった、匂わせなかったのがそっちに意識を向けさせないために良かったんでしょう。

普通だったら多少は家族の思い出とか写真とか出てきそうなものだし、そこで少し匂わせることで「もしかしたら…」って期待させる作りが多い気がするんですが、まったくそうさせないことで完全に意外な展開、なんなら大どんでん返し映画と見なしても良いような作りになっているのがお見事でした。

思えば「車が怖い(から免許を持っていない)」のも自分以外の家族が死んだ事故のせいだし、「霊は聞かれたことしか答えられない」設定も霊の側から家族と伝えないようにするうまさがあるし、いろいろやっぱり巧みな作りだなと後から振り返ると思います。

そういう「これなんだ?」が結構積み重なって「わかりづらいな」と思わせといて実は…みたいな映画なんでしょうね。だから観終わるまではいろいろ気になる点があったんでしょう。でもしっかり最後は伏線も回収してくれて、本当によく出来た映画でした。

このシーンがイイ!

これはやっぱり…ベンチに座って二人で太巻き的なものを食べるシーンですね。あそこで「そうなのか!」から終盤の怒涛の展開がすごかった。にしても食うの遅すぎでしょ。

ココが○

まあよく出来てますよ。終盤一気に持っていかれました。

グロさゼロなだけにいろんな人にオススメできるのも素晴らしい。

ココが×

ヒロインがちょっといい人すぎないかな? という気はしました。普通あんな怪しい(別人格が憑依されている)人物なんて仲良く出来ないでしょ。あと美人だから「彼氏いるんデー」で終わりでしょ!? という夢のない現実感を訴えたい。

MVA

いやー皆さん良かったんですが…この人にしようかなー。

コ・チャンソク(ヘビースモーカーゴースト)

サンマンが最初に“見えた”横分けの幽霊。横山のやっさんみたいなジャケット着てます。今どき通じません。

この人がねー。いい役でしたよ。本当に。見た目は脂ぎって一番残念感あるのに、ポジション的にはすごく大事で。ちょっとコメディリリーフ的な使われ方も良いし。

それとやっぱりサンマンを演じたチャ・テヒョンの顔芸も褒めてあげたい。表情で誰なのかわかるのもすごいしバカバカしいしで良かった。

しんみりしたイイシーンで「ちょっと林先生に似てない!?」って言ったらかなりの不評を買ったことも付記しておきます。似てたんだけどな。

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