映画レビュー0558 『インサイド・マン』
実は今回のこの映画、去年一度観ています。
その時はやたら眠くて中断を繰り返したのと、最終的に「うーん、これはもうちょいしっかり観ないといけない映画だな」と感じ、再鑑賞しようと思いつつもかなり先延ばしになった結果、今回と。
本当は去年に組み込みたかったんですが。というどうでもいい内部事情。
インサイド・マン
ちょっと変わった銀行強盗。
そんなわけでいつもとはちょっと違う形での鑑賞となったためフラットな感想にはならない気はしますが、気にせず書いてみます。(宣言)
銀行強盗のリーダー、クライヴ・オーウェン演じるダルトン・ラッセルの独白から始まるこの映画。そんな最初の視点が銀行強盗ということからもわかる通り、単純に「すごい銀行強盗と対峙する刑事」みたいな映画ではありません。この銀行強盗はどうやら普通ではない狙いがあり、その狙いがどうやらオーナーに関係しているらしいものの、当然ながら警察にそのことも言いたくない“曰くつき”の内容のため、警察は警察で普通に事件解決に向けて動く…という、三者三様の行動が絡み合う、なかなか奥行きのあるストーリー。
一応主人公は交渉人役であるデンゼル・ワシントンですが、どちらかと言うと銀行強盗のくせに賢そうで謎めいているクライヴ・オーウェンの存在感が強く、立場の違いこそあれど、同じレベルで話せる男の友情に繋がる対決っぽい雰囲気がグッド。
そこに怪しい爺さんをやらせたらピカイチのクリストファー・プラマーが、情のなさそうなワーキングウーマンをやらせたらピカイチのジョディ・フォスターと組んで胸騒ぎを植え付けてくる、というなかなか良いキャスティング。
さらに地味ながらしっかり脇を支えるウィレム・デフォーに、いまだ忘れられないローラの名演が光るキウェテル・イジョフォーがデンゼルのバディとして登場します。
この映画の面白いところは、おそらく徐々に物語の毛色が変わっていくところなんじゃないかな、と思います。最初は普通に銀行強盗が発生して、それを解決しようと動く刑事…かと思いきや、次第にサスペンス色が顔を出し始めます。
とは言っても、あくまでも“謎”の部分が、という話であって、グロかったり痛かったりきつかったり、っていうのがないのがイイ。血生臭さのないサスペンスとしてなかなか面白い映画だと思います。一番グロいのは劇中少年がプレイしているPSvitaだったりするという。あんなゲームやったらアカンで。
…っとあのシーンもなかなか意味があるシーンだったりして、そんな感じで、結末を知ると道中に実は結構意味があったよ、みたいなシーンがボロボロ出てくるという、実は二度観るのに良い映画だったりします。
んー、あとはなんだろう…。二回観たからなのかどうかはわかりませんが、どうも書くことがないという。
結構微妙なところでネタバレになるし、あんまり事前情報入れずに観た方が面白いタイプの映画だと思うので、こちらからは以上です感が拭えません。
一つ思ったのが、こういう銀行強盗って本当にできそうな気がして、真似する人とか出てこないのかな、と気になりました。もちろん、クリアしなければいけない条件もいろいろあるんですが…。
なかなか面白いアイデアの強盗なので、一見の価値はあるかもしれません。
このシーンがイイ!
上に書いた、PSvitaのシーンは諸々考えるとなかなか良いシーンじゃないかと。
ココが○
銀行強盗モノにしては少し変わったストーリーなので、ただ銀行強盗していえーい、みたいな映画より全然面白いと思います。
あとはタイトルがとても良い。それ自体がネタバレ的な感じにもなりますが、まあタイトルなので「良い」とだけ言っておきましょう。
ココが×
一箇所、なんでこうなった的なひどくチープなシーンがあるんですよね。あれほんとなんであのまま行ったんだろう…。どう考えても撮り直し…というか撮り方がおかしい。デンゼル・ワシントンすべっとるやん、みたいな。あのシーンで一気に質が下がると思うんだけどな~。
MVA
役者陣はなかなかのメンツでしたが、まあこの人でしょう。
クライヴ・オーウェン(ダルトン・ラッセル役)
出ましたハリウッドのルー大柴。
この人は割と善人役が多い気がしますが、そういう流れで見るとまたこの役が味わい深い。スマートで野太い感じがいいですね。