映画レビュー1431 『リターン・オブ・ザ・キラートマト』
お盆特別企画・TSUTAYA DISCAS最後の1枚。これを借りたいがために久しぶりに利用したと言っても過言ではありません。
言わずと知れた「アタック・オブ・ザ・キラートマト」の続編です。
リターン・オブ・ザ・キラートマト
ジョン・デ・ベロ
J・スティーヴン・ピース
コンスタンチン・ディロン
アンソニー・スターク
ジョージ・クルーニー
カレン・ミスタル
スティーヴ・リンドクイスト
チャーリー・ジョーンズ
ジョン・アスティン
リック・パターソン
ニール・フォックス
1988年4月22日 アメリカ
98分
アメリカ
レンタルDVD(TSUTAYA DISCAS)
中途半端にストーリー入れちまいやがって…!
- 前作後にトマトが禁制品となってしまった世界(アメリカ)
- マッドサイエンティストによりトマトを人間にする発明が爆誕、人々を蝕む…!
- ちょっとしたラブコメ要素も加わり、割と普通のB級映画に
- 何と言ってもジョージ・クルーニーの黒歴史
あらすじ
一番楽しみにしていた映画が一番つまらなかった、ありがちだけど悲しい。
前作後にトマトが禁制品となってしまった世界というかアメリカで──
例のトマトの生みの親だったマッドサイエンティスト(ジョン・アスティン)が「トマトを人間にする」機械を発明したらしく、そのトマトから作られた美女・タラ(カレン・ミスタル)をそうとは知らずに好きになってしまったチャド(アンソニー・スターク)。
ある日マッド教授の元から逃げ出したタラはチャドの家に居候、何かとおかしい彼女を訝しみつつデートしたりといい感じなっていく2人ですが、当然教授がそんなことを許すはずもなく、謎のマッチョが彼らを密かに尾行していて…!
ダメな続編の典型例
簡単にあらすじも書きましたが割と適当で、そこまでしっかりとした物語はありません。当然だけど。
観終わって「変にストーリー入れるから面白くなくなっちゃったなー」と思ったんですが、振り返ると実は前作のほうがちゃんとストーリーがあったような気がしないでもない。「トマトの脅威を捜査する国の機関」って芯があって。その機関がどうしようもなくへっぽこなのが良かったわけですが。
今作はトマト人間(そのままのネーミング)であるタラに惚れちゃった主人公のチャドがマッドサイエンティストと対峙する「ラブコメ風(ときめきサイエンス的な)80’s青春映画っぽい雰囲気をまとったB級コメディ」って感じなんですが、その「◯◯っぽい」って他にありそうな映画になっちゃった時点でもうキラートマトの良さが無いじゃん、って話なんですよね。これは。
もうものすごくガッカリしましたよマジで。
本当にフツーのB級…というか「普通のちょっとふざけた映画」になってしまったというか。
前作は「ちょっとふざけた」レベルではなく徹頭徹尾人を食った映画だったのが最高に好きだったんですが、それがなくなってだいぶ丸くなっちまったなお前、っていう。
スタッフも一緒なのになぜこうなってしまったのか…。「ダメな続編」を地で行くガッカリ感は、実はその「ダメな続編」を皮肉ろうとしてあえてこうしたのか!? と穿った見方をしたくなるぐらいに尖ってない作品になってしまいました。求めていたのはコレジャナイ。
とは言えこの映画にも見どころはあります。そう、ジョージ・クルーニー。
彼は主人公チャドの親友でルームメイトなんですが、ナンパ野郎で美女に弱い…という軽薄なキャラクター。割とイメージ的にはその後のジョージ・クルーニーとも違和感がなく、特段「恥ずかしい役だな」って感じでもないんですが映画そのものが恥ずかしかったのか、噂では頑なにこの映画の話はさせないとかなんとか…。(あくまで噂です)
この映画が配信になく、そして今後も来そうにないと思ったので今回DVDを借りたわけですが、配信に来ない理由はジョージ・クルーニーが出ているからであることは間違いなく、実際のところはもちろんわかりませんが彼が許可しないのかはたまたふっかけてるのか…おそらく永遠に配信で観られる時が来ることはないでしょう。著作権切れでYouTubeに上がるのが一番可能性高そう。
まあ実際はジョージ・クルーニー関係なく単純に「駄作」だから来ないのかもしれないけど。
前作もしょうもない映画なのは間違いないですが、やっぱりあの映画にしか無い味わいがあるんですよね。間違いなく。
今作は「この映画にしか無い味わい」って「売れる前のジョージ・クルーニーが出てる」しかないんですよ。そのためだけに観るにはちょっと厳しい映画なんじゃないかなと思います。
とは言え“絵に描いたような黒歴史”なのでやっぱり一回観といて良かったなとは思います。観なくても良かったなとも思うけど。(どっち)
好みの問題…なのか?
当然続編なので前作の要素(対トマト特殊捜査チーム)の面々が登場したりもしますが、主人公であるディクスンは出てきません。フィンレターは結構出ずっぱりで笑うけど。
前作の黒幕的存在だったリチャードソンも出てくるんですが役者さんが似ても似つかない人で「えっ誰??」となります。狙ってやったのかもしれませんが…そこに言及していないので真意はわかりません。単純にキャスティングが変わっただけなのか!?
ボケがボケとして理解されるように何らかのフックがあってもいいと思うんですけどね。それこそ他の人に「誰?」って言わせてもいいと思うんですが…。
まーそんな感じでセンス溢れる前作を比べて非常にセンスのないコメディとなってしまい、残ったのは不満だけだよと。
ただコメディなんて最も好き嫌いが分かれそうなジャンルでもあるし、僕にとっては前作が合ったけど今作は合わなかった、というだけの問題なのかもしれない…いや絶対そうじゃない! 今作はつまらないよ!(断言)
このシーンがイイ!
予算不足で撮影中断した後のあからさまな案件シーンが続くところは笑いました。ああいうのは好き。
ココが○
FTがふわふわでかわいい。
ココが×
やっぱり「前作の強み」をほぼ捨て去ったのがすべてではないかなと思いますね…。なんでこんな普通の映画にしちゃったんだろ。
MVA
映画が映画なので誰でもいいっちゃいいんですが、せっかくなのでこちらの方に。
ジョージ・クルーニー(マット役)
主人公の親友でルームメイト。ナンパ野郎。
ナンパ野郎のご多分に漏れずちょっと抜けてるんですが、そこも含めてゆるいジョージ・クルーニーらしい良さがあるなと。
逆に最近あんまりこういう役やってない気がするし(歳も歳だからっていうのもあるんだろうけど)、今となっては貴重な役…なんですが明確な黒歴史ということで。
でも良かったよ。微妙な映画でも出てくるだけで「ジョージ・クルーニー何やってんだよwww」って楽しめたしね…。