映画レビュー0734 『陽だまりハウスでマラソンを』

今回もネトフリ終了直前からでございますよ。それ以外書くこともございませんよ。

陽だまりハウスでマラソンを

Sein letztes Rennen
監督
キリアン・リートホーフ
脚本
キリアン・リートホーフ
出演
ディーター・ハラーフォルデン
ターチャ・サイブト
ハイケ・マカッシュ
フレデリック・ラウ
カトリーン・ザース
音楽
ピーター・ヒンデスタール
公開
2013年10月10日 ドイツ
上映時間
105分
製作国
ドイツ

陽だまりハウスでマラソンを

かつてメルボルンオリンピックのマラソンで金メダルを獲得し、終戦直後のドイツ国民を勇気づけた「伝説のランナー」、パウル。今は夫婦二人で静かに暮らしていたところに奥さんの体調が悪化、「老老介護は心配」と言う娘の意見を尊重し、二人で老人ホームに入ることに。しかしどうもホームに馴染めないパウルは決められたレクリエーションを拒否、もう一度フルマラソンを走るために一人トレーニングを始める。

グッとは来るものの…。

7.5

老人ホームに入っちゃうぐらいの後期高齢者がフルマラソンを走ろうとする、というなんとも無謀なお話ですが、ただ走ろうとする彼は元オリンピック金メダリストということで…ギリギリ無理のない話なのかもしれない気がしないでもない、という絶妙なバランスのヒューマンドラマです。なお、実話っぽく見えるオープニングから始まりますがフィクションとのこと。

主人公のパウルはかつてメルボルンオリンピックのマラソンで金メダルを獲得し、当時の世間を熱狂させたスターらしいんですが、今では忘れ去られた存在のようです。まあ確かに日本でもこの頃の金メダリストが街を歩いていたところでわからないだろうし、感覚としては普通なのかも。

とは言え彼自身も特にその過去の栄光を振り返るわけでもなく、至って普通に幸せな日々を送っていたんですが…奥さんの病気が再発、面倒を見ているのが老人の夫(パウル)のみでは心配だ、という娘の願いを聞き入れる形で、二人仲良く老人ホーム的なところに入ります。

その老人ホームがタイトルの「陽だまりハウス」なんですが、ただこのタイトルっぽい穏やかな感じでも無くてですね。まあ日本でも同じような感じなんでしょうが、画一的なレクリエーションに効率よく老人を扱いましょう的なシステマチックな運営をしているために、やっぱりどーも引っかかる感じがあるんですよ。

その“引っかかり”を一番強く感じたのがパウルその人で、「こんな無駄なことやってられるか!」と反発、そこで(明確な理由は不明ですが)かつての栄光を取り戻せとばかりにマラソンのトレーニングを始める、というお話です。

まず最初にお断りしておくと、ジャケットとか邦題のイメージからなんとなーく僕が好きなイギリスのヒューマンコメディ的なものなのかなと思っていたんですが、これが意外と結構真面目というか…早い話がコメディ感は殆ど無いんですよね。かなり真面目寄りなドラマだと思います。

それだけでなく、奥さんの病気とそれを看る旦那という構図自体もそうですが、老人ホームの運営の仕方も含め、日本が直面している高齢化社会の問題点をじわりと突いているようなほんのり社会派的な要素もある映画でした。

ただ、その割に…特に序盤なんですが、ところどころちょっとファンタジーっぽいというか…あまりにも素直すぎるベタな展開にちょっと乗り切れないものがあったのも事実で、例えばパウルがトレーニングを始めたその最初のシーンでも、彼が「伝説のランナー」と誰も知らないのに走っている姿を見ただけで全員がザワザワ好奇の眼差しで彼を見るんですよ。

確かに物珍しいのもわかるんですが、ただなんか…いかにもな煽り感のあるリアクションにちょっと戸惑うんですよね。

それ以外にも真面目なヒューマンドラマなんだけどファンタジーっぽい…とまでは言いすぎだと思いますが、なんて言うんですかね…ちょっと丁寧さに欠けるスンナリ展開がチラホラとあり、正直イマイチ乗れない感じもありました。

良くも悪くもこなれているアメリカ映画とは違って、「こういう話を作りたいんだ」と言うのが強すぎて観客が「ん?」ってなるポイントを気にかけていないような感じがしたようなしないようなという。

パウルのマラソン挑戦自体もやっぱりちょっとファンタジー感があるし、おそらくは「見せていないだけですごくトレーニングしているんですよ」とかいろいろ裏に含ませているんだとは思いますが、やっぱりちょっと現実味のなさみたいなものはちょくちょく気にはなりました。

が。

しかしやっぱりさすがエンディングはきっちり決める感じで。

もちろん詳しくは書きませんが、さすがに一番の見せ場はうまく感情移入を利用した大舞台になっていて、まあそりゃあ泣いたよね、っていう。ああ泣いたさ。ちょっと余韻のシーンが長ぇなと思いつつも泣いたさ。

その上、物語の終わり方についても良い意味で予想を裏切るものだったので、最後の最後にグッと来て「ああ良い映画だな」と思わせてくれるような尻上がりタイプの映画だったと思います。

テーマがテーマなので、観る前は「人生はマラソンだ!」に近い感じかな~と思っていたんですよね。実際劇中でも「人生はマラソンと同じ」って言ってるし。ありきたりだけど。

でも内容的にはかなり夫婦の絆(と旦那の成長)が強調されている話でもあったので、どちらかと言うと「アンコール!!」に近い感覚の映画ではないかなと思います。

そこに日本も他人事ではない高齢化社会の問題も含ませつつのヒューマンドラマという感じで。

ただ、元は金メダリストとは言え「高齢者のマラソン」という無謀な挑戦を描いたフィクションなだけに、逆にもう少し軽くコメディっぽさを出した方が、よりグッと入っていけたような気もします。

周辺人物のパウルに対する思い入れの描き方も若干不足している印象で、ところどころ「もっと良くなりそうなのにー」という歯がゆさが残る感じの映画ではありました。

でも泣きましたけどね。ええ。

良い映画だと思います。

ネタバレハウスでマラソンを

このシーンがイイ!

これはねー、「一番の見せ場」を除けば…やっぱり家族で夕飯食べてるシーンですよねー。お母さんが良い顔するんだ…。

ココが○

「終わらせ方」は間違いなく良いです。すごく良かった。どこがどう良かったとか書くとアレなんで書きませんが、多分同じように思う人は多いと思います。

ココが×

上に書いた通り、もう少し軽さを出した方が「嘘くさくてもアリ」になったし良かったような気がするんですよね。お決まりの悪役(的存在)とのエピソードもイマイチ物足りないし、全体的にもう一歩が歯がゆい感じで。

MVA

うーん、皆さん良かったんですよね…老人の演技に弱いっていうのもあるんですが…。

主人公の爺さんもすげー良かったし、ちょっと歳を取ったエマ・ストーン的な娘さんもすげー良かったんですが…この人かな〜。

ターチャ・サイブト(マーゴ・アヴァホフ役)

主人公の奥さん。

こういうの観るとねぇ…結婚して一生添い遂げる羨ましさったら無いですよ。終始優しそうな奥さん、雰囲気がニジュウマルでした。

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