映画レビュー1278 『Mr.Boo!インベーダー作戦』
この前の「Mr.Boo! 天才とおバカ」が消化不良だったので改めてMr.Booシリーズ観たいぞなんかやってへんのかいなとアマプラを調べたところこれがあったので観ました。
※また表示がおかしいですが例によってスルーです。
Mr.Boo!インベーダー作戦
マイケル・ホイ
サミュエル・ホイ
1978年8月3日 香港
96分
香港
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

もう一歩ほしいけど悪くない。
- 売れないタレントが別の局で司会をやったら大当たり、契約の打診が
- しかし今の契約に縛られているために出ることが出来ず、契約破棄のためとある行動に…
- テレビ業界を皮肉りつつのコメディ
- 徹頭徹尾くだらないがそれがいい
あらすじ
「天才とおバカ」で感じた消化不良感はなく、「Mr.Boo!ミスター・ブー」ほどの面白さは無かったもののそれに近い内容で結構満足しました。ただ一般的に今観て面白いかと言われるとなかなか微妙なラインだとは思います。
売れないテレビタレントのジーマン(マイケル・ホイ)は、香港のテレビ局MTVと8年間の専属契約を結んだものの、まともな出演機会も与えられず、いわゆる飼い殺し状態。
また出番があってもマジシャンの助手だったりバックダンサーだったりの端役ばかり、さらにそれも失敗続きでむしろ「長期契約してもらっててよかったじゃん」と思わざるを得ないダメタレントです。
しかしあるときなぜか別のテレビ局CTVからお声がかかり、素人参加型の番組の司会者に大抜擢。大胆な司会っぷりが好評を得たために契約したいとの打診が来ます。
MTVではくすぶってるどころの騒ぎではない、火種があるかどうかも怪しいレベルのタレントだったジーマンは当然その契約に飛びつきたいところですが、しかしブラックなMTVの契約は破棄することができず、飼い殺し状態が続く見通し。
業を煮やした彼は発明マニアの弟を連れて“ある計画”を実行しようとしますが…あとはご覧ください。
タイトルがいい加減すぎる
今作は(一部の方が)ご存知Mr.Booシリーズの4作目にあたります。
例によって日本公開と本国公開の順番が違うのでややこしいんですが、本国においては4作目、日本においては2作目です。前作はともに「Mr.Boo!ミスター・ブー」になり、この次は「新」がつくMr.Booシリーズになります。
「ミスター・ブー」の次に作られたからかはわかりませんが、路線としては「天才とおバカ」よりも前作に近いコメディになっていて、まーくだらないんですが面白かったですよ。
「コメディとして面白い」というよりは「古いコメディ」として楽しめる映画、という感じでしょうか。この微妙なニュアンス、伝わるのか…!
今だったらコンプライアンス的に作り物でも100%不可能っぽいひどい番組が登場したりして、まあ良くも悪くも時代を感じる映画です。(実際当時の日本ですらこのシーンはドン引きカットされたぐらいひどい)
なんなら最近の香港の“惨状”を思えば、この自由な作風が許されていた時代に涙すら流しかねない妙な感慨を抱く面もありました。今の香港の人たちはこのシリーズを観て何を感じるのか、すごく聞いてみたい…。
Mr.Booシリーズは少なからず風刺が込められているシリーズだと思うので、なおさら今の香港の人たちには感じるところがあるだろうと思うんですよね。すごく羨ましいんじゃないかなと…。
もっともシリーズの中心人物であるマイケル・ホイご本人がご存命なだけに、元気なうちに誰か彼にそういう話を聞いてくれないかなと思いますが本題から逸れるのでこの辺で。
今作のタイトルが何故「インベーダー作戦」なのかさっぱりわからないんですが、劇中に宇宙人の格好をするコントだかなんだかよくわからないシュールな番組が登場するのにかこつけて、当時の流行りのインベーダーゲームに乗っかった…んでしょうか。
いやそんな安易なタイトルつけるか!? と思って調べたところ日本公開がインベーダーブームの翌年ということで、安易なネーミングの可能性が高いですねこれは…。
ちなみに英語タイトルではわかりやすく「契約」なのでインベーダーはまったく関係ありません。そもそもインベーダーってなんだよ。侵略者だぞ。いい加減にしろ。
「インベーダー作戦」というタイトルで観ようと思うと(もはやそんな人いないだろうけど)内容が全然違うので戸惑うと思いますが、そこまで深い話でもないのであまり問題はないのかもしれません。
内容的にはテレビ局を皮肉りつつ、しがないタレントとマジシャンを使ってコメディを展開するもので、いかにも古い笑いではあるんですがそれはそれで味があって僕は好きでした。ゲラゲラ笑う感じではなく、雰囲気が好きでニヤニヤしちゃう感じ。
「ミスター・ブー」でも出てきたビルにぶら下がって危機一髪的なシーンもあり、当時はアクションも兼ねた娯楽映画としてかなりヒットしたのも頷けます。
知ってる人はお好きにどうぞ
ぶっちゃけこの映画は当時を知っていて懐かしさから観る人か、僕のように一番有名な前作を(間違って)たまたま観て気に入った人が探して観るかしかなくて、今さら知識ゼロでこの映画を観ようかな、って人は皆無だと思うので、もうこれほど「好きだったらどうぞ」って映画もないんですよね。知識ゼロの人に「観て!」って熱を込めて言うほど面白いわけでもないし。
アマプラでもタイトルを入れて検索すれば出てくるものの、全映画から「コメディ」に絞って面白そうなやつないかな〜と探しても出てこないという「知ってる人だけ観ろよ」という謎仕様になっていて扱いがひどい。
あっ、今思い出しましたが「天才とおバカ」よりも一番下の弟、リッキーの出番が多いのでリッキーファンはより楽しめるかもしれません。
ってそもそもこの映画を知らない層でリッキーファンがいるはずもなく、意味のない情報で終わりますよ。ええ。ありがとうございましたホント。
このシーンがイイ!
最も“インベーダー感”のある宇宙人コント的なシーン、くだらなくて面白かったですね。好き。
あとは社屋に侵入するシーンもツッコミどころだらけで好きでした。
って「侵入」だからインベーダー、ってコト…?
ココが○
気楽に観られるコメディ的な良さ。ただし古いので好き嫌いはあるかも。
前作もそうでしたがドリフ的な、昭和の笑いっぽい感じですね。
ココが×
問題の番組にしても、プロデューサー陣の顛末にしても、結構エグい話だったりもするので「笑えねーよ」ってパターンもありそうな気はします。
まあその辺は時代込みでおおらかに観てあげましょう、って感じでしょうか。
MVA
三兄弟誰でもいいっちゃいいんですが、やっぱりこの人でしょうか。
マイケル・ホイ(ジーマン役)
売れないタレント。見るからに才能なさそう。
でも実際は監督脚本主演と才能の塊です。それがもう面白い。
僕が今までに観た3作では基本的に彼は無能かクソ野郎の役ばっかりなので、自分でそういう役をあてがってるのも面白いなぁと思います。自分をよく見せようとしないのがいい。
ボケたい人なんでしょうね、きっと。今作でも実にバカっぽい役を好演しております。
ちなみにこの次の「新Mr.Boo!アヒルの警備保障」もアマプラにあるので、どこかのタイミングで観たいと思います。来年かなー。