映画レビュー1250 『テロ、ライブ』

今回観たのはJAIHOですが、22年8月現在アマプラにもありました…が今はもう無くなってました。更新がソイオー。

テロ、ライブ

The Terror, Live
監督

キム・ビョンウ

脚本

キム・ビョンウ

出演

ハ・ジョンウ
イ・ギョンヨン
チョン・ヘジン
イ・デヴィッド
キム・ソジン
キム・ホンパ

音楽

イ・ジュノ

公開

2013年7月31日 韓国

上映時間

98分

製作国

韓国

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

テロ、ライブ

規模も大きく面白いものの、ところどころ惜しい。

7.5
生放送中のテロ予告電話からのテロ実行、緊迫した状況下でテレビ局の思惑も絡む
  • 左遷されたラジオキャスターの元にテロ予告電話がかかってくる
  • 最初はにべもなくあしらったものの、テロが実行に移され事態は一変
  • テレビに復帰したいキャスターと視聴率を稼ぎたい上層部の思惑が一致、ショー化する事件
  • 最終的には規模も大きく見応えあるがところどころ違和感も

あらすじ

連日のハ・ジョンウ。この人もいろんな顔があって面白いですね。

映画としては想像以上の展開に「さすがやるな〜」と思いつつ、一方でいろいろ言いたいことが出てきて手放しには褒められないな…というところでした。

韓国の国民的アナウンサー“だった”ユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)は、何らかの理由によって左遷され、今はラジオニュースのキャスターを務めております。

この日はリスナーにインタビューする生電話企画を放送していましたが、その中の一人である男が「麻浦大橋に爆弾を仕掛けた」と告白

もちろん真に受けることもなく、なんなら「やれるものならやってみな」ぐらいの挑発を飛ばすユンですが、実際に彼がいる放送局の直ぐそばにある問題の橋が爆破されてしまい、世間は一気に大混乱。

しかし「犯人から犯行予告電話があった」という同業他社を出し抜く大スクープを手にしたことで、不本意にラジオに押しやられた自らの境遇を再び押し上げるチャンスと見たユンはチャ報道局長(イ・ギョンヨン)に交渉し、すぐさまテレビの生放送に切り替えて犯人との交渉の様子を生中継することにします。

果たして犯人の目的は、そしてなぜユンに電話をかけてきたのか…この爆破事件はまだまだ一端だぜ…!

面白いものの少々違和感

ほぼリアルタイムで展開する緊迫感溢れるスリラー。観る前は「ギルティ」みたいな映画なのかなと思っていたんですが、実際は「マネー・モンスター」の方が似ているかなと。ただあれよりももっとシリアスな印象です。まあ人命かかったテロですからね。そりゃそうです。

中心に流れるのは「犯人の目的」ですが、しかし手段の善し悪しは別としてある意味純粋でもあるその意図とは別に、この事件を利用して「大きなニュースを上手く捌くことでメインストリームに復帰したい」個人的な欲望を満たそうとするユンと、視聴率を稼ぐことで自らの出世に絡ませたいチャ報道局長という二人の野望が犯人の動機を濁らせるフィルターとなって世の中に伝えていく様はなかなかに味わい深く、“マスコミが終わってる”のは各国共通なんだねと妙な達観に至る映画でもありました。

それは「ナイトクローラー」や「ネットワーク」を引くまでもなく、ですよ。

またそこにさらに「なぜユンは左遷されたのか」や「離婚した妻の存在」が後々効いてくる展開にもなっていて、「ただテロ予告を受けたキャスターの立ち居振る舞いがすべて」の映画ではないのは流石といったところ。本当に触れれば触れるほど韓国映画のエンタメ昇華レベルの高さを感じます。

とは言え。

ところどころ、「それでいいの?」ってところがあるんですよね。

具体的にいちいち書きません(そもそも覚えてない)が、例えば「そんな状態で生放送続けられるか?」みたいなこととか、「いくらなんでもやりすぎ」な展開だとか、細かい部分で結構引っかかる部分がありました。

韓国はこれが普通…なのかもしれませんが、それにしてもちょっと緊迫感と勢いでごまかしちゃっている感が結構あって、もう少し丁寧な作りにしたほうが良かったんじゃないのと老婆心ながらに思ったわけです。

それともう一点。

おそらくこの映画のテーマであろう“言いたいこと≒伝えたい正義”が結構鼻につく…と言ったらアレですが、そのメッセージ自体は同感でありつつも、あまりにもそれを伝えるためのテクニックに終止している印象があり、一言で言うと「ちょっとプロパガンダ臭が強い」のも気になりました。

早い話が「これこれこういうことを言いたいのでそこに向かって劇的にしていきます」みたいな裏が見えてきちゃう感じがあって。

繰り返しになりますが、言いたいことは真っ当だと思います。観客として同情できるし、同感でもある。

ただそれを正当化するための物語があまりにも「そのため」すぎて、やりすぎ故に冷めてきちゃう部分があるんですよね。

もっと巧みに、いい落とし所はあると思うんですよ。でも完全にこの映画はやりすぎちゃってるし、それがよりエンタメとして劇的なのもわかるんですが、もう少し全体的にリアリティをもたせた方がより深く刺さったんじゃないかなと思うわけです。

もっとも「エンタメだからこそ」こうした、というのもあると思います。本当に政治的に、プロパガンダとして訴えるのであればもうちょっと違った形でより生々しく仕立てたかもしれません。その方がテクニカルで巧みでしょう。

そうではない劇的なものにしたということは、これはエンタメであって訴えたいことは二の次、なのかもしれません。逆に。あくまで逆にです。プロパガンダにしては純粋すぎるが故に。

とりあえず観てみても損はない

なんだかんだ書きつつもネット上の評価は結構上々なので、僕がうるさいだけの可能性はあります。

僕としても面白かったのは間違いないので、とりあえず観てみても損はしないと思います。あとは「ちょっとやりすぎじゃない?」と思ったとしてそれについていけるかどうか、でしょうか。

まあどっちにしても日本ではここまで振り切った、規模の大きな話って出てこないだろうなぁと思うので、そこはちょっとしてやられた感というか、羨ましさもありました。

とは言え日本は日本で最近は小規模の繊細なドラマに良いものが結構あるようなので、得手不得手の問題かもしれませんね。

良くも悪くもここまで「(人によって正解が異なる)正義というもの」を語る勇気がないような気はします。

テロ、ネタバレ

一番引っかかったのは、やっぱり最終盤で体制側が「ユンも射殺せよ」と言い出したところですね。なんぼなんでもそこまでするかいな、と。ただこれは僕が韓国の体制に詳しいわけではないだけに、実はリアルである可能性はあるのかなとも思います。でも民主主義国家であんな展開あり得ないと思うんだけど…。そこが少し冷めました。

他にも細々と「そうなるか?」と思うところがあったんですが、少し時間が経ってしまい覚えていません。申し訳。

一方でビルごと爆破して崩壊寸前になる、という展開は規模が大きくてすごいなぁと感心しました。それがオチにもつながっていくわけですが、そのダイナミックさはやっぱり大したもんだぜと。

オチについても悲劇的な展開なのは好きです。そこに至る過程に(上に書いたような)違和感があったのが残念ですが。

これで奥さんとよりを戻してハッピーエンド、みたいな展開だったらマジクソですよ。絶対ならないだろうけど。

このシーンがイイ!

ネタバレ回避のため詳細は避けますが、後半「そこまでするの!?」と思ったシーンがあってそこがすごく良かったですね。予想の斜め上を行く展開というか。

あの大胆さはなかなかないなぁ、と。

ココが○

ワンシチュエーションに近いですがそれだけにしっかり惹きつけて緊張感も保ったまま飽きさせないのはお見事です。

余談ですがインク切れする青いサインペンとか黄色いボールペンとか、テレビ局の備品って日本も韓国も一緒なんだなと変なところが面白かったです。

ココが×

上に書いた通り、ところどころリアリティに欠ける点と、ややプロパガンダ臭が強い点。

面白い映画なだけに味付けが少し失敗しちゃってるのが非常にもったいないなと思います。

MVA

まあほぼ一人芝居みたいなものなので…。

ハ・ジョンウ(ユン・ヨンファ役)

左遷された元国民的アナウンサー。

結構小物感あってそこがリアル。こういう人いるよねーって感じ。

相変わらずどの映画でも違うタイプの人物を演じていて、役者だなーと思います。

こういう人いるよねーで言えば報道局長もかなりリアルで良かったですね。マジでこういうやついるわ、っていう。

ステレオタイプかもしれませんが彼の悪い意味でのテレビマン的な欲深さがマスコミらしさを醸し出していてとても良かったです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です