映画レビュー1468 『ナイル殺人事件』

例によってアマプラ配信終了系ですが、前作も観たのでせっかくだしということで。

ナイル殺人事件

Death on the Nile
監督
脚本
原作

『ナイルに死す』
アガサ・クリスティ

出演

ケネス・ブラナー
ガル・ガドット
アーミー・ハマー
トム・ベイトマン
ローズ・レスリー
アネット・ベニング
ラッセル・ブランド
アリ・ファザル
ドーン・フレンチ
エマ・マッキー
ソフィー・オコネドー
ジェニファー・ソーンダース
レティーシャ・ライト

音楽
公開

2022年2月11日 アメリカ

上映時間

127分

製作国

アメリカ・イギリス

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ナイル殺人事件

豪華キャストも考えもの…?

8.0
豪華クルーズ船で次々と起こる殺人事件、しかしそこには例のヒゲが…!
  • ケネス・ブラナー版ポワロシリーズ2作目
  • 列車から船に舞台を変え、シチュエーション的には割と前作に近い形
  • 「俺を見ろ」感はやや軽減、話の内容も含めて前作よりも良い出来
  • 遺跡でいちゃつくんじゃねえ

あらすじ

前作で気になった点がある程度解消されていたこともあり、総じて前作より面白かったと思いますが好みにもよると思います。

どうでもいいポワロ(ケネス・ブラナー)の過去が語られたあと──
高級そうなクラブ的な場所で、親友で大金持ちのリネット(ガル・ガドット)にフィアンセであるサイモン(アーミー・ハマー)を引き合わせたジャッキー(エマ・マッキー)は、「いい男だけどヒモ状態」的なサイモンに職を与えてくれないか…と相談しつつ婚約者をご紹介、熱々ぶりを見せつけます。
実はそこには例のヒゲもいて一部始終を眺めていたんですが、その後エジプトに来ていたそのヒゲは友人のブーク(トム・ベイトマン)と再会。
ブークはオリエント急行をクビになり無職となったため、金持ちの母親(アネット・ベニング)とツアー旅行中で、一緒に旅をしようじゃないかとヒゲをツアーに参加させますが、そのツアーは以前クラブ的な場所で見かけた大金持ちのリネットが新婚旅行を兼ねて主催しているもので、傍らにいるその夫はなんとあのサイモンでしたとさ…!
おまけに振られた形となったジャッキーに付きまとわれている2人は精神的にも疲弊していて、なんとか彼女を遠ざけようと(なぜか)ヒゲにその役割を依頼します。
そうこうしているうちにツアーは客船を借り切ってのナイル川クルーズに移行。そしてそこで殺人事件が発生するよ、と…。

総じて前作より上

ということでケネス・ブラナー版ポワロシリーズ第2弾。次作(ベネチアの亡霊)も既に公開済みです。
原作である「ナイルに死す」としても二度目の映画化になり、「タワーリング・インフェルノ」のジョン・ギラーミンが監督した1978年版があります。ポワロ役は「スパルタカス」の助演で有名なピーター・ユスティノフという渋いチョイス。こっちも評判は良さそうなので観てみたいところです。

さて、そのケネス・ブラナー版ポワロ2作目ですが、前作でモヤモヤした「もっと俺を見ろ」的な監督主演兼務の自己顕示欲がやや薄らいだ(過去の話ほぼいらないだろ感もありつつ)のと、そもそも犯人について納得がいかないという原作(オリエント急行の殺人)の作りに対する不満の2点を解消した映画になっていて、総じて前作よりも面白かったです。
とは言えやっぱり気になる点もあり、まず一番思ったことは「最初の殺人が起こるまでが長い」点。要は前フリが長い。
最初に誰が殺されるのかは一応伏せておきますが、「出番が少ないと契約上まずいから死ぬのが遅かったのかな…」とか邪推しちゃうぐらいになかなか死なない。そしてそれ故に後半にしわ寄せが来ていて、ちょっと巻き気味に進行するので少々バランスが悪いような気がしました。
この手の話はいくらでも回想シーンとして被害者の生前の姿を登場させることは可能なはずなので、やっぱり契約云々関係なく作りの上でちょっとバランスが悪いんじゃないかな〜という気がしてなりません。オープニングで死んだコメディアンが主人公ばりに出てくる「ウォッチメン」を見習え!
最初に「次々と起こる」と書いている通り被害者は1人ではないんですが、そんな感じでスタートが遅いためにその後がバタバタと急ぎ気味に犯行が行われ急ぎ気味に死んでいきます。話自体は結構好きだっただけに非常にもったいないなぁと。
あとはやっぱり減ったとは言えポワロの奥様未練たらたら話も盛り込まれるので、原作未読なだけになんとも言えないところではありますが本筋から言えば必要ないんじゃないかな〜と思わざるを得ません。
前作と違って“まったく”必要がないわけではない(一応その過去を引っ張ってきての会話もある)んですが、それでもやっぱりちょっとフィーチャーしすぎな気がしてしまい、それはつまり「俺が主人公だ」と言わんばかりにポワロの(探偵的な仕事とは別の部分での)アピールが強いように見えてしまうので、あんまり得策ではないような気がします。
若干ではありますが2時間を超えてもいるし、であれば特にオープニングのポワロの話は別にいらないんじゃないの…と。
シリーズ化していく上でポワロの人となりをより見せていく必要があると考えるのもわかるんですが、結局こっちとしてはケネス・ブラナーの自分アピールの時間に見えてしまうのであんまり効果的にも見えないんですよね。

現状アミハマ最後の一本

…と結局前作と同じような文句を言ってしまいましたが、でも中身は本当に前作より好みで面白かったです。ただこの手の話はネタバレを回避するとなると特に言うことも無いので、あまり語ることもないよねということでね。終わるわけですけども。
モテモテ引っ張りだこ男を演じているのがアーミー・ハマーなのがなんかこう…つい最近の映画なのに時代を感じるというか…いろいろ考えちゃいますね。彼の悪評も真偽不明な話が多いらしいんですが、真相のほどはわかりません。
一応現時点ではアミハマ最後の出演作ということになりますが…今後どうなるんでしょうか。
その辺りも考えつつ観ているとまた違った感慨もあって一味違うかもしれません。

このシーンがイイ!

一番ビックリしたのは劇中最後の被害者が出たシーンですね。えっ、そう来るのか〜! と。割とああいう展開は好きなので。

ココが○

単純に前作よりも話が好きでした。犯人も薄々感付いてはいたんですが良い結末だと思います。

ココが×

やっぱりポワロの話がそんなに必要ないかなという点と、後半ちょっと急ぎ気味な点。この内容ならもう少し良い作りに出来た気がする。

MVA

前作よりは豪華キャスト感も減った気はしますが、それはさておき初めて見たこの人が良かったです。

エマ・マッキー(ジャクリーン・ド・ベルフォール役)

サイモンの元婚約者で物語のキーマン。
ちょっと派手目の美人で、ガルガド姉さんとの対比的にもいい塩梅なビジュアルだったと思います。
演技としても申し分なく、悪目立ちしない感じが良かったかなと。

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