映画レビュー0325 『画家と庭師とカンパーニュ』

最近どうも胃の調子が悪く、昨日人生初の胃カメラ飲んできました。結果的には特に何もなかったんで良かったんですが、それでも胃は痛いし原因不明なのもちょっと怖い。そんなわけで最近低調です。休みの日もよりダラダラ、映画観る体力すらない感じで。

しかし胃カメラはきつかったなぁ。あんな気持ち悪いものだとは…。

画家と庭師とカンパーニュ

Dialogue avec mon jardinier
監督
ジャン・ベッケル
脚本
ジャン・ベッケル
ジャン・コスモ
ジャック・モネ
原作
アンリ・クエコ
出演
ファニー・コタンソン
エロディー・ナヴァール
アレクシア・バルリエ
ヒアム・アッバス
音楽
Ahmet Gülbay
公開
2007年6月6日 フランス
上映時間
105分
製作国
フランス

パリで成功した画家は、生まれ育った田舎の実家に戻り、庭の手入れをしてくれる庭師を募集したところ、小学校時代のいたずら仲間がやって来る。昔の思い出とそれぞれの歩んできた人生を語り合いながら友情を育む二人。自分の絵に迷いを感じていた画家は、庭師の価値観に少しずつ影響を受けていく。

派手さは無いものの、じんわりいい映画。

7.5

フランス映画界の役所広司(と勝手に命名)、ダニエル・オートゥイユ主演の「フランス映画らしい」日常を描いたなんてこと無い作品ですが、じわじわじんわり、しみじみいいなぁと感じる素敵な映画です。

開幕で画家の家に庭師がやってきて、「さてはカンパーニュがカギを握るんだな…!」と思ってたら最後まで出てこなかったという。「カンパーニュ」とはフランス語で田舎のことらしいです。

概要は上に書いた程度のものでしかなく、本当に至って普通の日常を、至って普通の会話を通して描きます。もちろん、それなりの展開による結末は用意されていますが、ネタバレにもなるので特には書きません。

「ある程度成功した都会に住んでいた画家」と、「ずっと田舎暮らしの労働者階級の庭師」というある種両極端な二人が、同じ景色を見ながら違う感受性を通わせ合い、友情を深めていくお話。

本当に会話は普通すぎるぐらい普通だし、日々淡々と、それぞれの価値観から出てくる言葉を発し合うだけで、かなり地味な映画だと思います。

僕は日曜の午前中にこれを観てたんですが、まさにその時間帯にピッタリの映画で、静かに穏やかな時間が流れる、媚ない物静かな空気感が心地いいですね。寝ちゃう人がいても責められない、そんな感じ。

やっぱりフランス映画で男同士の友情となると、何度も書いていますが「列車に乗った男」「ぼくの大切なともだち」そして今年公開の「最強のふたり」辺りが思い浮かぶわけですが、フランス映画にはこういう映画をしっかり描く遺伝子みたいなのがあるんでしょうか、ゆるゆるとしつつも静かにしっかり観ていたくなるような空気感というのは他にない感覚で、本当にしみじみと「いいなぁ」と感じられる映画だと思います。

上に挙げた3つの映画に比べると、より地味で“朴訥”な雰囲気が強い印象でしたが、それは間違いなく、「庭師」のキャラクターによるものでしょう。とても“偉さ”とは無関係の一市民でしか無い彼ですが、自分の人生を楽しみ、仕事に誇りを持っている様子が眩しさすら感じさせます。

画家のお金に困ってなさそうな生活もそうですが、庭師の迷いのない価値観も現代人としてはすごく羨ましく見える面があって、なんとなく穏やかながら内心ゾワゾワするような、「求めても得られない生活」、心の平穏みたいなものを感じさせます。これは現代人への癒しの映画なんでしょうね。

同じような生活をしている人、早い話が「庭師自身」がこの映画を観たら、「いやそんな俺の人生なんて全然面白くないって」と謙遜しそう。こんな時代だからこその映画な気がします。

ところどころのセリフもフランス映画らしいウィットに富んでいて、ニヤリとさせられるいいセリフもたくさんありました。あまり起伏のない展開と、少し綺麗すぎる終わり方にやや不満を感じたこともあって、厳し目に7.5点にしましたが、それでもいい映画であることは疑いようがありません。

この手のフランス映画はやっぱり素晴らしい。日本でもハリウッドでもイギリスでもできない日常感、空気感が独特で、少し優しい気持ちになれる映画というか。

穏やかな時間を過ごしたい時にぜひ。

このシーンがイイ!

いくつかありましたが、一つ挙げるならお葬式のシーン。泣いてるようで…ウププププっていう。いたずら少年二人がそのまま大人になった雰囲気のシーン、素敵でした。

あとやっぱり不満はありつつも、ラストの「モーツァルト」が流れだしてからの一連のシーンはいいですね。静かながら音楽の使い方が絶妙。ホロリと来ました。

ココが○

静かな空気感と、穏やかながら飽きさせないさじ加減。なにげにちょくちょく出てくる出勤途中の犬もいい。

全体的にまったくと言っていいほど意味のないシーンではありますが、あの日常感、優しい空気感がたまらないですね。

ココが×

少し淡々すぎるとは思います。ただ煽り過ぎちゃうとこの控えめな空気感がなくなるので、難しいところだとは思いますが…。

この映画に関しては、「すげー! 激烈感動した!!」とか言うタイプの映画ではないので、この程度で収める、っていう作り方は正しいんだと思います。

もっと歳をとってから観るとぜんぜん違うかもしれないし。評価が跳ね上がりそうな気もします。

MVA

やっぱり主演の二人どっちがいいか、だと思うんですが、まあこの映画はこの人でしょうね。

ジャン=ピエール・ダルッサン(庭師役)

飾らない労働者階級的雰囲気はとても俳優とは思えないほど「それっぽく」て、もう何から何まで素晴らしかったですね。完ぺきにこの役になってました。誰からも愛される人、っていう感じが最高です。

ダニエル・オートゥイユももちろん素晴らしかったですね。決して二枚目ではないんだけど、出てる映画はどれもすごくいい。

あと画家の愛人・マグダ役のアレクシア・バルリエ。かわいい。フランス女性、かわいい。やっぱり。

個人の好みなのかどうかはわかりませんが、フランス映画って端役でもかわいい人が多い気がする。やっぱすげーなフランス。

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