映画レビュー0272 『初体験/リッジモント・ハイ』
前から観たいと思っていた、初期のジェニファー・ジェイソン・リー主演作。
まさかのBS放送があったので録画して観ました。またしょうもない邦題つけやがって、と思ってたら原題の直訳だったという罠。
初体験/リッジモント・ハイ
マブシイぜ! 青春あるある。
軽いタッチで恋にバイトにセックスに精を出す、まさにお手本のような「青春」を描いた作品。「初体験」なんてタイトルに入ってますが、実際その初体験は割と早い段階で済ませ、あとはもうダラダラと各々の青春模様が描かれます。くっついたり離れたり、横取りされたり喧嘩したり、ラリったり騒いだり、いかにもこの頃のアメリカン・ティーンエイジャー。
ショーン・ペン演ずるジェフのキ●ガイっぷりは別として、他はどれも日本の十代にも当てはまりそうな青春そのもの。
でも今はこんなにある意味で純粋な、伸び伸びとした十代ではないのかもなぁ…とふと考えたりもしましたが、そもそも自分自身、こんな「ザ・青春」という日々は送った記憶が一切ないので、懐かしさというよりはネタっぽいあるあるっぷりをただ眺めてるだけ、といった感じでした。
何と言うか、青春映画の割に羨ましさみたいなものをあまり感じなかったのは、ありがちな話なだけに「お決まり」な印象が強く、「ありがちだけど作り物」っぽさがあったからかもしれません。それだけうまいと言えばうまいんですが、やっぱりどうにも既視感のある展開ばかりなので、まあいかにも娯楽映画として作った青春映画だよね、と醒めた論評をしたくなります。
同じ青春映画、同じキャメロン・クロウ脚本(監督)の「あの頃ペニー・レインと」と比べると、こっちは何人かの青春を関連性を持たせながら描いた作品、あっちは一人を中心に周りの青春も描いた作品、という感じで、“深堀り”具合で差があって、その分ガツンと来る強いものが無かったかな、という気がしますね。
ただ(評価を厳し目にしていこうと決めたネジ締め期間だということもあり)低評価に見えるかもしれませんが、実際そんなに悪い映画では無かったと思います。軽く観られるし。
でもこの辺のジャンルは、割と時代性で古くなりがちな面もあるし、「あの頃ペニー・レインと」もそうですが、「JUNO/ジュノ」にしてもそうだし、後発でいい映画も結構あると思うので、後に有名になるジェニファー・ジェイソン・リーやショーン・ペンたちの若い頃を観てどーたらこーたら思う以上の何かは得られないような気もしますね。
残念ながら特に残る何かは無いかな、と…。
このシーンがイイ!
非常に申し訳ないんですが、一番「わかるわかる」と共感を覚えたのが、兄・ブラッドが妹の親友の水着姿を見て火がついてしまい、セルフバーニングしちゃうところですね。
これはもう、この頃の男子あるあるとしては最上級のものじゃないかと。普段はしっかりしたいい兄貴っぷりを見せていただけに、そこがまた人間味があっていいアニキじゃねーか、と。
ココが○
なんだかんだ言ってオッサンが観てどうこう言ってるだけなので、それなりの年頃の子たちが観たら、もっと共感を覚えていろいろ実生活に反映されるものがあるかもしれないですね。
見習って欲しくない人たちも出てるのでその辺また微妙ではありますが、そこは見せる側の大人たちがしっかり教えてあげればいいかな、と。
ココが×
本当に深さはゼロなので、今あえてこれを観る意味合いは無いと思います。そこが残念。「軽く青春を描いた軽い映画」という表現がすべてて、余韻も含めて後に残るものは無いです。
MVA
正直どの人もどっこいどっこいで、みんなイイんだけど突き抜けてないなぁという感じでした。ショーン・ペンはさすがでしたが、最後までただのおバカさんだったのが残念。後に「カリートの道」で見せるラリ弁護士の姿に近いものを感じたのが何か妙な懐かしさも覚えつつ。
そんな中、一人チョイス。
ジェニファー・ジェイソン・リー(ステイシー・ハミルトン役)
元々この人目当てで観た、っていうのもあるので、まあ若い頃はさすがにかわいかったんだね、という確認というか。
後のルックスそのままでもあるし、いかにも古い感じでドン臭いイメージのかわいい子ではあったんですが、表情とかはさすがに演技派だな、と感じる面があってなかなかでした。。