映画レビュー0805 『ジェームス・ブラウン 〜最高の魂を持つ男〜』

今回もネトフリ終了間際シリーズですいつもサーセン。

ただ前も書きましたが、ネトフリは意外と早く復活したりする作品も結構多いので、もし気になる作品があったりしたらこまめにチェックすると良いかもしれません。「あまくない砂糖の話」も6月頃にはもう復活してたりするので油断なりませんぜ。

ジェームス・ブラウン 〜最高の魂を持つ男〜

Get on Up
監督
テイト・テイラー
脚本
原案
スティーブン・ベーグルマン
ジェズ・バターワース
ジョン=ヘンリー・バターワース
出演
ネルサン・エリス
チカ・サンプター
ジル・スコット
クレイグ・ロビンソン
音楽
公開
2014年8月1日 アメリカ
上映時間
139分
製作国
アメリカ

ジェームス・ブラウン〜最高の魂を持つ男〜

親に捨てられ、幼少の頃から働いていたジェームス・ブラウン。15歳の時に窃盗で捕まった挙げ句、差別的な判決で長期の服役を言い渡されるが、服役中に一人の男と出会ったことでその後の彼の人生は大きく変わっていく。

時系列入り乱れ系で入り込みにくいのが残念。

6.5
ご存知「ファンクの帝王」、ジェームス・ブラウンの伝記映画
  • 誰もが知っているあのジェームス・ブラウンの生い立ちから晩年までを描く伝記モノ
  • 時系列があちこちに飛んで少しややこしい作り
  • あんまり良い人に描かない辺り媚びてない印象
  • ステージパフォーマンスは安定の良さ

昔から車で割とよく通る道に結構有名なラーメン屋さんがありまして、そこの看板には…間違いなく肖像権的にアウトだと思うんですが、あからさまにかのジェームス・ブラウン御大と思わしき男性が「つけ麺食いてー!」とシャウトしているイラストがあてがわれているんですよ。まあ店名が「ブラウン」ですからね。きっとオーナーさんが大好きなんでしょう。

ということで僕にとってのジェームス・ブラウンとは、「ゲロッパ」「つけ麺」、そして「ブルース・ブラザース」なわけです。

この映画では彼(ジェームス・ブラウン)を引き上げ、世に送り出すビジネスパートナー的存在のベン・バートをダン・エイクロイドが演じていて、「ブルース・ブラザース」での共演から長い時を経てジェームス・ブラウンの伝記モノに出演する、ということにブルブラっ子(今作った造語)としては感慨深いものがあったわけですが、正直言うとそれ以上にグッと来る面がイマイチ無く、世間的な評判は割と良いだけにちょっと肩透かしを食らった感がありました。

物語は晩年のジェームス・ブラウンの姿から始まります。当然ながら晩年なので世界的にも有名になったあとの「超有名人」ジェームス・ブラウンなわけですが、(薬物とかで)いろいろ問題が噴出していた時期らしく、他愛もないことで銃を発射、挙げ句警察とカーチェイスという落ちぶれた姿に始まり、やがて幼少期に戻って両親とのエピソード、その後スターとして駆け上がるアレコレを描いたりまた幼少期の記憶に戻ったり、晩年に行ったり絶頂期を描いたり…と時代を行き来しながら、「ジェームス・ブラウン」その人の半生を追体験する映画になっております。

そんなわけで僕はご多分に漏れず特にソウルやR&B、ファンクと言ったものに慣れ親しんでいるわけではないんですが、当然ながら彼の他にない“ノリ”みたいなものは知っている…という、まあ一般的なジェームス・ブラウン観を持った人間としてのレビューになります。

まずジェームス・ブラウンを演じた、今や「ブラックパンサー」としておなじみのチャドウィック・ボーズマンですが、(こういう映画なので仕方がない面はありつつ)全体的にややモノマネ感が強く、がんばってモノにしている感じはあるんですが、やっぱりちょっと話し方のしゃがれ声とかに少々違和感はありました。

ステージシーンはかなりがんばっていて、歌はおそらく吹き替えだろうとは思うんですが、ダンスなんかはものすごく再現しているような雰囲気がありました。(元を観ていないのであくまで“そんな気がする”程度なんですが)

が、どうも普段の演技…喋り方や声はもちろん、表情の作り方にもモノマネ感が強いので、自然な雰囲気に欠ける面があり、まずそこが少しもったいないな、という印象。

チャドウィック・ボーズマンが悪いというよりは、多分これは演出なんだろうと思います。似せよう、寄せようとする意図が強すぎて邪魔になる感じ。ファンはファンでまた違った印象を受けるのかもしれませんが、個人的にはこのモノマネ感はノイズでしか無かったかな…。

まあ、そういう部分はまだ些末な部分なので、ストーリー自体がしっかりしていれば特に問題はないと思うんですが、ただその肝心の物語が…これまたちょっと残念で。

まず時系列が順を追ったものではなく、あっちに行ったりこっちに行ったり何度も行き来するタイプの映画なので、そこで少し散漫な印象を抱く面があるんですが、さらに親友バードとのやり取りだったり、奥さんとのアレコレだったり、子供の話だったりバンドメンバーの話だったり…といろいろ描こうとしすぎてこれまた散漫になっているので、「ジェームス・ブラウンの半生」という芯はあるものの、それ以外に核として「これを見せたい」というようなものがないせいでイマイチパッとしないストーリーになっている気がします。

おそらくはよく書いているように、アメリカ国内のある程度ジェームス・ブラウンに対する知識がある人たちに向けた作りになっていると思うので、それよりも知識に劣る一般的日本人としてはイマイチ入ってきにくい面はあったんだろうと思いますが、ただそれでもやっぱり時系列をここまで入り乱れさせる意味は無いんじゃないの、というのは強く思いましたね。

順を追った作りにすると、結構な見どころのシーンが中盤に来ちゃって盛り上がりに欠ける…というのはわかるんですが、ただそれ以前に「なんでこんな行き来させてんの?」という違和感の方が強くなっちゃう作りなのは本末転倒かなと。

その見せ場のシーンにしても、上に書いた通りいろいろと描こうとしすぎているせいで薄まっている面もあるし、それをメインに据えるなら多分もう少し注力するエピソードの配分が変わってくると思うんですよ。ネタバレ的に書けないのでだいぶ抽象的な書き方になっちゃってますけども。

まあアレですよ。つけ麺の話をメインに据えたいんだったら、ラーメンで失敗したとかつけ汁に悩んだとかそういう周辺エピソードを中心に描くべきだと思うんですが、そこにさらに友達との話とか中学時代に野球を頑張ってました的逸話をたまに差し込んだりとかで「つけ麺の話がイマイチ伝わんねーよ」みたいな。そういう感じ。

これで時系列が順を追っていればまた違うんでしょうが、ダブルでやっちゃっているので余計に散漫になってしまい、イマイチ感が増幅されるという。素材が素材なだけに、非常にもったいない作りだと思います。

時系列が乱れているせいで、突然葬式のシーンになっても「あれ? もしやお母さん死んだ? それともお父さん?」とか誰が死んだのかパッと理解できないんですよね。

もちろんその後誰なのかがわかるようにはなっているんですが、時系列があやふやなせいで誰がいきなりコンニチハしてきてもおかしくないだけに、グッと来てもいい場面で感情移入できない、っていうのはなかなか残念な作りだと思います。

それとこの映画、伝記モノらしい展開を踏襲しつつも、おそらく他にないぐらい主人公(ジェームス・ブラウン)を良く描いてないです。一応最後の方はそれなりに軌道修正させようとはしてますが、全体的には「ジェームス・ブラウン嫌な奴じゃね?」みたいな印象が強かった。

これはおそらく、ベタでも「天才故の苦悩」みたいなものがもっと差し込まれるべきだったんだと思うんですよ。一応そういう話も上がっては来るものの、あくまで他人の目からの推測でしか無かったので、本人が苦悩して周りへの態度に反映するような場面がなく、結局通して観ていると「天才とは言えなーんか傲慢だなぁ」みたいにあんまり(他界しているとは言え)ご本人にとって良くない印象を残す映画なんじゃないかなーと思いました。その辺の印象も人それぞれだとは思いますが…。

そんなわけで全体的にはちょっと残念な印象が強い映画でしたね。確かに彼の歌が醸し出すエネルギーは文句なしにスゴイし、それを体現しようとしたチャドウィック・ボーズマンも大したものだと思いますが、ただ上に書いた通り描き方やエピソードのチョイスにやや疑問があり、素材を活かしきれていない伝記映画という印象。

同じ音楽的な伝記映画としては「ジャージー・ボーイズ」の方が断然良かったなぁ…。モノマネなんだけど自分のものにしている感じで歌もすごくうまかったし。

ま、巨匠クリント・イーストウッドの映画と比べちゃいかんぜよ、ってところでしょうか。

このシーンがイイ!

2度出てくる「望みは何だ?」のシーンは良かったですね。なるほどここか、と。

ココが○

なにせ世界的に有名な方の伝記映画なので、まったく興味がない人も少ないだろうし、ある程度知識欲を満たしてくれるものはあると思います。

ココが×

やっぱり一番は時系列の問題かなー。やるにしてもやりすぎ。

MVA

んー、やっぱりひいき目ありつつこの人になるかなー。

ダン・エイクロイド(ベン・バート役)

ジェームス・ブラウンの素質を見出し、「黒人界隈の売れっ子」から全国区に押し上げた人物。

いつものダンちゃんではあるんですが、まあやっぱり最初に書いた通り、「ブルース・ブラザース」での共演を経て彼の伝記に出る、っていうのは感慨深い。演技もさすがに安定感があるし、とても良い配役だったと思います。

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