映画レビュー0836 『ブラックパンサー』
おそらくご多分に漏れずまただいぶアップはズレ込むと思いますが、ただいま9月2度目の3連休ということで久しぶりにTSUTAYAに行って控え目に4本ほどレンタルしてきました。
※案の定ズレた
最近はことごとくTSUTAYAで借りた映画がネトフリに追加されるという憂き目にあっているため、追加されそうにない旧作+マーベルっつーことでまずは一応観ておかないと的なこちらから。
ブラックパンサー

安心のMCUクオリティながら、全体的にこじんまりとした印象。
- 監督も主人公もキャストもスタッフも大半が黒人
- ワカンダ内でのアレコレのみに終始
- ところどころワクワクポイントもあるものの目新しさは無し
ご存知「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の第18作目、(MCU上の)前作は「マイティ・ソー バトルロイヤル」、次作はあの「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」になります。
ブラックパンサー自体の初出は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で、あそこでお披露目された彼がどんなキャラでどんな能力を持ち、どんなヒーローなのかをご紹介しましょうといういつものご紹介映画と言えるでしょう。
物語はブラックパンサー(ティ・チャラ)がワカンダ国の国王に就任することになったよ、というところからスタート。
アフリカらしい儀式のような戦いを経て無事国王として選ばれたものの、同じ頃「かつてワカンダから例の万能素材ヴィブラニウムを盗み出した」クロウの情報が寄せられたために自ら彼の身柄確保へ赴き、バトったりしてたらクロウの仲間にワシの爺さんの指輪を持った男がいるやないか…! ということでその謎の男とワカンダの因縁を過去含みで語られながら、やがて再度王座を賭けて戦うことに…というようなお話です。
序盤の韓国でのバトルなんかは、遠隔操作自動車とか結構面白いギミックも盛り込まれていてスピーディーな戦いにワクワクしたんですが…結局それ以降は良くも悪くもいつも通り、さすがにもうだいぶ食傷気味なところにこの後の「インフィニティ・ウォー」のすごさ&彼の顛末も知っているだけに、比較するのもお門違いではありますがちょっとこじんまり感が強いなぁという印象。
結局今作の特徴としては「ヒーローが国王である」点と「黒人ヒーローである(+舞台がアフリカで主要キャラの大半が黒人)」2点なのかなと思いますが、正直どっちも別にスーパーヒーローモノとしては特に効果的とも思えなかったですね。元も子もない言様ですが。
まず前者の「国王がヒーローである」点については、別に国王になったところでやってることは変わらないし、アイアンマンみたいにナイショでやってて実は俺だぜとかならまだしも最初っから国中が知ってる状況で、さらに他国にはヒーローである点よりもワカンダの技術力を隠しましょうみたいな価値観で動いているので、正直国王である美味しさがあんまりピンと来ませんでした。なんだろう…国王とヒーローの間にあるであろうギャップが不足してる、のかな。
次の「黒人ヒーローである」点についても、興行的な意味では大変価値があるであろうことはよくわかるしそこは否定しないんですが、こと物語に関わる部分としてはこれまたさして効果的にも思えず、別に白人がやってても一緒じゃね? という気しかしない。
むしろ黒人を推しすぎてステレオタイプなアフリカ感が強く出ちゃってる気がして(制作側も大多数が黒人なのでステレオタイプと言うのも違うんでしょうが)もう少しこだわりすぎずに地球規模の戦いを観たかったよなーと思いましたね。
要は例えば「日本人のマーベルヒーロー映画が作られました」となったときに、結局刀持って武士道やらなんやら言いながら寿司食って日本人同士で戦ってるだけ、みたいな感じなんですよ。いやそのいつもの感じを別にマーベルに持ってこなくてもいいじゃん、っていう。寿司はちゃんとした寿司だしちゃんと日本を知ってる人たちが作ってるよね、とかそういうのはどうでもいいわけ。
だったら白人の悪いやつ相手にゴリゴリやってくれた方がまだ「アフリカ発世界へ」感があって良かったような気もするんですよね。内部で終わっちゃってるので結局内紛だけな感じがしちゃって。
とまあちょっとブーたれましたが、でも結局「腐ってもマーベル」なので、そりゃー一定程度の面白さは間違いなくありますよ。これほど裏切らないシリーズは本当に珍しいと思う。
とは言え後発の辛いところで、結局「ブラックパンサーならでは」の能力がイマイチ見当たらず、なんとなく強いぞだけでは…さすがに18作目、もうそろそろ良いんじゃないという気がしないでもないわけです。これはこの映画が悪いと言うよりは順番の不幸さのお話で、後半の方が賞レースに有利とかそういうのと同じ類のものですが。
事前に「(最初の)アベンジャーズ」を超えて北米において史上最高の興行成績を残したスーパーヒーロー映画だ、っていうのも聞いていたので、何か他に無い新しい魅力があるんだろう…! とハードルが上がっちゃってたのも良くなかったんですけどね。蓋を開けてみればいつもの感じで黒人さんが主人公になっただけ、しかも基本国内での争いなのでバトルの規模も小さい、というのが結構なガッカリポイントでした。
国王として落とし前をつけるべき過去との戦い、っていうテーマもわかるんですが、ただこっちはもうスーパーヒーロー映画も慣れきっちゃってるので、「おいなんで他のメンバー出てこないんだよ!?」ぐらいのピンチが観たいなーとワガママ言っちゃうわけですよ。
ブラックパンサーその人もそこまで魅力的なキャラクターでもないし、本当にお披露目映画以外の何物でもないなと言う感想です。
一応もう一度言っておきますが、面白いのは間違いないですよ。さすがにお金もかかってるし、いつもながらCGもすごいし。
ただもうここまでマーベルヒーローが出てきちゃうと、もう少し変わった能力なり見せ方なりをしてくれないと本当に「ご紹介」以上のものにはならないよな、と思うんですよね。個人的には。飽きてるわけでもないんですが、想像以上のものがないので本当に消化しているだけ感が強くなっちゃって。
結局観ちゃうんだろうとは思いますが、でももう気持ち的には「アベンジャーズ4」でMCUはもういいかな、と言う気もします。あとは原作ファンでもない限りは同じことの繰り返しにしかならない気がする。
このシーンがイイ!
上にも書きましたが、序盤の韓国でのカーチェイスは面白かったですね。遠隔操作の運転。
あと砂で表現するアレも良い。
ココが○
これも繰り返しになりますが、これほど“ある程度面白い”ことが約束されているシリーズはなかなかないので、安心して観られる良さは間違いなくあります。それ以上があるかどうかはその人次第。
ココが×
やっぱり一番は敵の小物感、になるのかな…。
すげー強い感もないし、普通の兄ちゃん対決なので…よほど思い入れがない限りはあんまり手に汗握るような緊張感も持てないでしょう。
MVA
役者陣はなかなか皆さん良かったと思います。妹ちゃんかわいいし、凛とした女王感ほとばしるアンジェラ・バセットもお見事でした。
演技的にはマーティン・フリーマンがかっこよくてとても良かったんですが、正直いてもいなくても一緒じゃね感が強かったので除外。なんか無理矢理「一応白人も突っ込んどけ」感が感じられたので余計に。
ということで今回はこちらのお方。
アンディ・サーキス(ユリシーズ・クロウ役)
「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」なんかにも出てたんですが当然ながらすっかり忘れてて初めまして感。
もうキレッキレでね。狂った悪者感が最高だったんですが、残念ながら彼はラスボスではなく、早めのご退場。本当に残念。もっと出番観たかったなー。


