映画レビュー1187 『LBJ ケネディの意志を継いだ男』

今回もJAIHOです。ちなみに次回もJAIHOです。JAIHOいいよ!

まったく知らない映画ですが、この手の政治モノは好きなので観ました。

LBJ ケネディの意志を継いだ男

LBJ
監督
脚本

ジョーイ・ハートストーン

出演
音楽
公開

2017年11月3日 アメリカ

上映時間

97分

製作国

アメリカ

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

LBJ ケネディの意志を継いだ男

映画としては普通なものの、時代的に旨味が多い。

7.5
“ケネディ後”の大統領、ジョンソンの半生
  • 歴史の中に埋もれがちなジョンソン大統領に光を当てた映画
  • 政治映画としては至って普通な内容ながら、時代の特異性故に観る価値がある
  • やや日本人には馴染みが薄い人物だけに地味さは否めず
  • ケネディ家がある意味“悪役”になる珍しい映画

あらすじ

ポンコツ野郎としては「ジョンソン大統領」の名前自体は知っていたものの、いつ頃に大統領だったのかはさっぱり知らなかったため、あの「ケネディ暗殺後」に副大統領から昇格した人だったとはつゆ知らず、それ故なかなか興味深いお話ではありました。

舞台は1963年11月22日、ダラス。

そう、あのケネディ大統領が暗殺される直前、彼のあとに続いてリムジンに乗り込んだ副大統領リンドン・ジョンソンの姿から始まり、そこから過去にさかのぼって彼が何者なのかを見せていきます。

元は「歴代最強の上院院内総務」として辣腕を振るっていたジョンソンは、1960年の民主党大統領選挙候補に立候補するもケネディに敗北、その後ケネディはご承知の通りニクソンを破り大統領となります。

しかしリベラルすぎて保守層からの支持が薄いケネディは、南部の保守層から支持されているジョンソンを副大統領にすることで自らの支持を固め、また“うるさ型”のジョンソンを自陣に引き入れることで彼の力を削ぎ落とそうとする一石二鳥の作戦を実行。

周りからは「副大統領なんてなんの価値もない」と否定される中、ジョンソンはその打診を受けますが、しかし周りの言う通り「単なる名誉職」である副大統領になったことで次第に彼の政治的影響力は低下していきます。

ところが…今となっては誰もが知る通り、その後待ち受けているのはケネディの暗殺事件。

期せずしてやってきた大統領職。そこに至るまでの、そしてその後のジョンソンの姿を描きます。

他の映画の理解が深まるかも

やはりどうしてもそのスター性と最期の壮絶さから、様々な作品の“ネタ”としてこの上ない存在のケネディに比べると、その後を引き継いだ地味な男・ジョンソンが話題になりにくいのも事実なんでしょう。その意味では結構ニッチな映画かもしれません。

物語の軸になるのは、同じ政権のメンバーながら権力闘争を繰り広げるケネディ家(主に弟のロバート)とジョンソンの戦いと、ケネディが制定を目指していた重要法案・公民権法(人種差別を禁止する法案)を巡るアメリカ政治のいろいろになります。

日本人としてはあまり興味を抱きにくい内容かもしれませんが、しかし権力闘争はどこにでもあるものだし、公民権法はその後の世界にも影響を与えるぐらいに大きな出来事でもあるので、歴史を知るという意味ではなかなか重要なテーマを扱っている映画かもしれません。

僕はこの手の政治ドラマが大好物なので、もはや内容が地味であろうが脚色が入っていようが、一応は「歴史の中の出来事」が描かれているだけでそれなりに面白いと思えちゃうので実際面白かったんですが、ただそうではない人たちが観て面白いかと言われるとかなり微妙な気はします。

ケネディやケネディ暗殺に興味があればまた別だろうとも思いますが、となるとやっぱり逆に言えば「政治」「アメリカの歴史」そして「ケネディ」に興味がなければあえて観るほどのものではないのかもしれません。今をきらめく美男美女が出てるわけでもないし。

ですが…やっぱりケネディとその暗殺はアメリカ社会への影響が極めて大きいので、ケネディに関わるものにしても関わらないものにしても、この頃のアメリカを舞台にした映画っていっぱいあるんですよね。

それこそ「JFK」はもちろん、「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」にしてもそうだし、「アイリッシュマン」もそう。「J・エドガー」も入ってくるかもしれない。今作を観ることでこの辺りの映画への理解が深まるのは間違いなく、それ故に「この頃のアメリカについて知りたい」ときにはその一端を担う映画として選択肢に上げても面白いと思います。

ケネディ自身に焦点を当てたものはたくさんあっても、彼とある意味ではライバルだったジョンソンを主役にするのはやっぱりレアだし、何よりケネディ家(ほぼロバート)が主人公と対峙する悪役として配されているのが相当珍しい気がしました。

今までのケネディ家と言えば(主要な人物のほとんどが非業の死を遂げたこともあって)悲劇のヒーロー的な存在の“絶対正義”な印象が強いので、ここに来てようやくその呪縛から逃れられることができたのか…功罪両面を冷静に評価できるような創作物が出てくると、また今後もケネディ関係でいろいろ面白い映画が作られるかもなぁと他人事に思ったりもするわけです。

とは言えその辺に面白さを感じるのも、僕が若い頃に「JFK」を観て興味を抱いたからなわけで、そもそもケネディやらケネディ暗殺やらに興味がなければ全部どうでもいい話になってしまうのも仕方がないのかもしれません。この辺りは本当に好みの差が出ると思います。政治そのものに対する興味にしてもそうだし。

やや中途半端

鑑賞後に調べたところ、ジョンソンは副大統領時にかなり政治的影響力が削がれてしまい、言ってみれば「終わった人」的な状態だったようですが、この映画ではそこまで落ちぶれたような描写はなく、意気揚々と頑張っている様が描かれていたので、それが事実だったとしても映画としてはもう少し“落ちた”ところを強調してくれたほうが盛り上がったような気はしました。

その方がきっと面白くなったんじゃないかなと思うんですが、ただそうしなかったのはある意味では作りが実直で真摯的とも言えるし、この辺りは難しいところです。

まあなにせアメリカ人であれば当然日本人よりも周辺事情を知っている前提があるはずなので、ことさらに落差を描く必要もないと考えたのかもしれないですね。

そのおかげで真面目な良い映画にはなっているものの、地味さが拭えないのも事実。よって政治に対する興味でだいぶ評価が変わってくるのかな、と。

実直ではあるものの、ドキュメンタリー的な忠実路線ではないし、かと言って娯楽っぽく見せているわけでもないだけに、真面目だけどちょっと中途半端な映画になっちゃったかなーと言う気はしました。

ただ僕は面白かったですけどね。でもそれは大きな事件に影響された人物の話だからであって、映画そのものが面白いかと言われれば微妙かもしれません。

このシーンがイイ!

副大統領になって初めての会議のシーン。今思えば彼の立ち位置がよくわかるいいシーンだったと思います。それだけにあの辺の事情をもっと強調してほしかったなとは思うんですが。

ココが○

実直な作りに徹していると思われるところと、ケネディ家を主役側ではなく相手側に配したところ。

ココが×

やはり地味なので盛り上がりに欠けます。観る人の興味次第で評価の振れ幅がかなり変わりそう。

MVA

ちょこちょこおなじみの人も出てきつつ、結局この人かなー。

ウディ・ハレルソン(リンドン・B・ジョンソン役)

主人公です。

特殊メイクでそっくりに! とか売り文句を見かけましたが見た目が似てるかどうかはあんまり関係ないというか馴染みが薄いだけに似てるかどうかもわかりにくいというか。

写真を見る限りではそんなに似てないんですが、ただ特殊メイクのおかげかあまりウディ・ハレルソンっぽさが無くて、演技としても今までのウディ・ハレルソンの印象とはだいぶ違ったので結構役の幅が広がったんじゃないかなと思います。良かったですよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です