映画レビュー1330 『MIRCHI/ミルチ』

この日はものすごくインド気分だったので前から観ようか迷っていたこの映画をチョイス。

ちなみにJAIHO常時配信作品の一つです。

MIRCHI/ミルチ

Mirchi
監督

コラターラ・シヴァ

脚本

コラターラ・シヴァ

出演

プラバース
アヌシュカ・シェッティ
サティヤラージ
スッバラージュ
リチャー・ガンゴーッパデャーイ

音楽

デヴィ・スリ・プラサード

公開

2013年2月8日 インド

上映時間

154分

製作国

インド

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

MIRCHI/ミルチ

まさかの飽き。

6.0
殺し合いを続ける故郷の対立を解消すべくプラバースが愛で解決
  • ボーイ・ミーツ・ガールからの故郷立て直し
  • どこかで聞いたような話をどこかで観たようなアクションで進める
  • まだだいぶインドローカル感が強く、ややクセあり
  • 突き抜けてないだけに既視感強め

あらすじ

最終的に「あ、俺これ飽きてるな」と気付きました。食後とは言え眠くもなったし正直もう一つといったところ。

エアーにもなっていない雑なキーボード演奏でミラノを沸かせるジャイ(プラバース)は、通りがかってきた同郷インドの女学生・マナサ(リチャー・ガンゴーッパデャーイ)に助けを求められ、いつものように暴力で解決…かと思いきやまさかの愛を説いて救出に成功。

当然のようにマナサとジャイはいい感じになり「ずっとこのままでいたいね」的にイチャついていたんですが、マナサは「故郷の村に帰らなきゃいけないんだけどずっと隣の村と殺し合いを続けてるから無理」と悲しみのカミングアウト。

それから少々時が経ちまして、ジャイは彼女の地元近くの大学へ入り、マナサのいとこ・プールナ(スッバラージュ)と親しくなって彼の実家へ遊びに行きます。

するとそこにはマナサがいて、二人は再会。なんやかんやあってしばらくこの家の客人として滞在することになったジャイですが、彼にはとある目的がありまして…あとはご覧ください。

バーフバリのメンバーではあるものの…

「ミルチ」とは唐辛子のことらしいです。字幕で出てきたので間違いありません。「スパイシーな彼にご用心」ってか!? えぇ!?

地元の村が殺し合いを繰り広げてて、ってどっかで聞いたような話だなと思って観てました。インド物騒すぎる。

その上遊びに来た大邸宅もどっかで観たなとこれまた既視感があり、同じセットの使い回しなのか…!? とイマイチ確信が持てませんがそんな感じで「どっかで聞いたような話をどっかで観たような舞台で繰り広げる」映画と感じられてしまい、その時点であまり新鮮味も感じられずまず無念。

一応この映画は「バーフバリシリーズの俳優たちが送る!」的な面が(現在日本で紹介するときの)ウリになっていて、確かに「おお、あの人も出てるのか!」と楽しめはするものの、肝心の監督・脚本が別の人ということもあって、良い意味での悪ノリ感というか…「やりすぎでしょwwww」みたいな楽しみがほとんどない分、“雑に展開されるどこかで観た話を眺める”感覚で、「なんかこういうのはもういいかな」みたいになってしまいました。まさかの飽きですよ。インド映画は絶対に飽きないと思ったのに。

笑いの作りにしてもややローカル感があり、世界に向けて「どうだ!」と訴える映画というよりは国内でウケる内容でまとめました感が強く、価値観の訴え方もかなりご当地感が感じられました。

いや…価値観自体は普遍的だと思うんですよ。ただそれの訴え方、見せ方にご当地感が強い気がして。

メインテーマは「愛」の割に結構さらっとひどいことをしてたりもするし、自分(ジャイ)にとって大事な人以外は目的のためには犠牲になっても構わない、みたいな価値観が見え隠れしているのもなんだかなぁという感じ。

思えば「チャトラパティ」も割とそんな感覚があったので、もしやプラバースはこういうキャラなのか!? といらん心配までよぎります。

それと途中からいつものように過去フェーズが始まるんですが、現在とのわかりやすい違いがない分「これまだ過去なの? 今に戻ってきたの?」みたいな疑心暗鬼が広がりました。眠くなってたせいもあります。

最終的には「…ってことがあったのさ」みたいに一応ここまでが過去だよ、と明示されるので気にしなくていいことなんですが、ただ観てる最中は「あれ? これ今? 過去?」と何度も思ったのでちゃんと集中して観ないとダメだよ、という戒めです。というかマジでインド映画の過去フェーズは良くも悪くも大体長い。

これは映画が悪いわけではなく僕が悪い話なんですが、ただそれはそれとしてとにかく過去フェーズが長いのも事実なので、ちょっとだけでもプラバースの髪型を変えるとか何かしらの配慮があってもいいのになーとは思いました。

ポジションが難しい映画

インド映画に求めるものは人によって様々だとは思いますが、僕はラージャマウリ作品のような「やりすぎ」なものか、もしくは「きっと、うまくいく」や「PK」のような深いものを求めているようで、この映画はその辺から考えると少し求めているものとは違うかなというところ。

プラバースファンの方々は「プラバースかわいい」で全肯定できるっぽいんですが、それはそれとして話自体はちょっとどうなの感もあると思うので、「バーフバリ」ほどのものを期待するとやっぱりガッカリ感も出てきてしまうのではないかなと思います。

ネタバレになるのであんまり書けないんですが、僕はどうしても「とある人」の扱いが許せなくて、それ故に(元々そんなにでもなかったのが)さらに評価を下げる形になりました。

僕程度の鑑賞本数でも飽きるぐらいには観たことがある感覚が強い映画だったんですが、ただローカル的な馴染みにくい演出を考えればインド映画初手で観るような映画でもないし、ちょっとおすすめするにはポジションが難しい映画だなと思います。

まあやっぱりプラバースを始めとしたバーフバリのキャストに興味がある人が「もう一度彼らを観たい」的に観る映画なんでしょうね。

JAIHOには「見る者を沸騰させる超スパイシーな傑作」とありますがさすがにそれは盛りすぎじゃねーのと思います。

NETABARECHI/ネタバレチ

もーね、やっぱりどう考えたって「選ばれなかった女子」マナサが気の毒すぎますよ。「ミラノで良い思いしたからええやん」ってか!?

ずっと待ってたヴェニラ(アヌシュカ・シェッティ)も選ばなかったら気の毒ではあるので、結局「時間をかけた二股」状態のジャイがひどいという話でしか無いんですが。

ただ物語的に「遺恨のあった2つの村の男女が結ばれてめでたしめでたし」ならまだベタなものの心情的には納得できたなと思うんですよね。それによって解決、ってわかりやすいし。

それが結局“元カノ”を選んでマナサはただの道具でしかなかった、って話でしょう!? ひどすぎないかジャイ。

最後「えっ、そっち選ぶんだ」って衝撃でした。初めてドラクエ5でフローラ選んだ人に出会ったときぐらいびっくりした。

このシーンがイイ!

結局はダンスシーンですかね。やっぱり見せるな、って感じで。

ココが○

アクションが誇張されているのはいつもの通りで、そこはやっぱり笑います。どんな筋力してんだよ、っていう。

ココが×

進ませ方がいろいろ雑だし、ネタバレにも書きましたが最後の選択にも納得がいかない。

それとこれはお国柄で仕方がないんでしょうが、ビキニにもモザイクがかかるのにも驚きました。だったら最初からビキニで踊らせる必要なくない!? どこルールなんだろうか…。

MVA

プラバースはやっぱり華があるなと思いつつ、今回はこの方に。

サティヤラージ(デーヴァ役)

詳しい役どころはあえて書きません。途中から出てきます。

「このおっさんよく見たら結構イケオジだな」なんてのほほんと観てたんですがまさかのサティヤラージ、「バーフバリ」のカッタッパでした。まじかよ! ハゲてないじゃん!

結構重要な役どころなんですが、一本調子な他のメンバーとは一線を画す落ち着いた演技で緩急をもたらしてくれていたと思います。やっぱりこの人いい俳優さんだな。

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