映画レビュー1085 『ピーターラビット』
今回もネトフリ終了間際シリーズです。例によってね。
この映画はなかなか評判が良さげだったので楽しみにしていました。ドーナルくんだし。
ピーターラビット
ロブ・ライバー
ウィル・グラック
『ピーターラビット』
ビアトリクス・ポター
2018年2月9日 アメリカ
95分
アメリカ・オーストラリア・イギリス
Netflix(PS4・TV)
![ピーターラビット](https://nanpro-h.net/wp-content/uploads/2021/03/c62f4ccd031ccecaf20213880fe9a923.jpg)
キャラの自己主張が強すぎてノレず。
- ついに手に入れた“理想の庭”に新たにやってきた人間を追い出そうと画策するピーターラビット他
- CGと実写の融合は違和感なくさすが、ただデザインはやっぱり欧風
- ピーター無双すぎてドーナルくんが少々気の毒
- 声優陣が豪華すぎ
あらすじ
元の絵本「ピーターラビット」自体に慣れ親しんでいない人間なのであーだこーだ言うのも憚れるところですが、いろんな面でノリづらい部分があり、事前に聞いていた好評故のハードルの高さもあってイマイチ残念な印象で終わりました。申し訳なさみ。
イギリスの田舎で暮らすピーターラビット他動物たちは、ピーター父をパイとして美味しく頂いたこともあって目の敵にしているご近所のマグレガー爺さんが手入れをする家庭菜園に何度も忍び込んでは野菜類を頂戴する輩です。もうヤカラですよ。マジで。
その日も同じように拝借しようと忍び込んだはいいもののあえなく爺さんに捕まってしまったピーター、父と同じくラビットパイとなる運命なのか…と思いきやちょうどその時爺さんは心臓発作を起こしてこの世にグッバイ、かくしてこの家庭菜園&マグレガー住居はピーターラビットたちのものと(勝手に)なり、毎日のように大騒ぎでございます。
しかしその後、爺さんの甥のトーマス(ドーナル・グリーソン)に住居相続の話が行きまして、「売るつもりで見に来た」トーマスにもちょっかいを出し始めるピーターラビットたち。
トーマスが隣の美人姉さん・ビア(ローズ・バーン)に被害を訴えても彼女の前ではイイコちゃんのピーターラビットは絶大な信頼を得ているため一笑に付される始末。
かくして当事者の間でのみ行われるピーターラビット vs トーマスの仁義なき戦い、結末やいかに。
いい歳こいたおっさんが観るには少々厳しめ
原作はまったく知らない(お父さんがパイになったのぐらいは知ってる)のでこの映画がどれぐらい原作に忠実なものなのか等よくわかっていないんですが、一部ネット上のレビューを見るに原作でもピーターラビットはなかなかヤンチャなようなのできっと性格的にはそんなに違和感のない仕上がりなんでしょう。
ただ僕としてはちょっとピーターラビット他動物たちの“個性アピール”が強すぎて、その時点で少し幼稚に見えるというか…結局子ども向け主体の映画なのかなぁという印象でした。
1作目(続編は今年公開予定)ということもあるので、各キャラの自己紹介的に強く見せていく必要があるのもわかるんですが、それにしても…語弊がある言い方かもしれませんが「マンガっぽい」キメの表情だったりセリフだったり、ディズニーアニメのような三姉妹の見せ方だったりが結構自己主張の強さにつながっていて、「いやそこまでグイグイ来なくていいよ」という思いで観ている時間が長く、ノレなかったなと。
ただこれはある種イチャモンに近い面があることも自覚していて、まあ端的に言えば向き不向きなんだろうなとは思います。ちょっと対象年齢が低く見えたんですよね。いろんな演出や表現が。
僕が見かけた「この映画を評価している人たち」は普通に大人だし、最近の傾向として「子ども向けだけど大人も楽しめる」のが主流なだけに、この映画もそう言う類のものなんだろうと思っていたら案外そうでもなかったな、というか。
そのくせピーターラビットは狡猾さが目立って結構腹が立つキャラクターなので、子どもがこの影響を受けても良くないんじゃないのと言う思いもあり、終始モヤモヤしながら観ている感じで。
メインとなるトーマスとのバトルについても、トーマスからすれば結構とばっちりな面が強い話なのでゲラゲラ笑うよりも「やりすぎだろ」とかわいそうになってくるぐらいのピーターラビットのヤカラっぷりがあまり好きになれず、最後までその思いを引きずって終了、と。
結局最後まで観れば、その辺もある種の“フリ”になっていることは理解できるんですが、なにせ入口の方で「こいつあんまり好きじゃないな」と悪い印象の箱に入れてしまったがために、最後までそのまま「好きじゃないな」が残ってしまったようです。残念。
声優陣が豪華なので一聴の価値あり?
僕が観る限り、「ものすごく好き!」と言っている人は大抵女子だったので、女性の方が好きなタイプの映画なのかもしれないですね。男は同族嫌悪というか、女性に良い顔して野郎とバトルを繰り広げるウサギ野郎が好きになれないぜ、ってことなのかもしれません。我ながらケツの穴の小さい男だぜ…。
なお余談ですが、英語版の声優陣の豪華さにびっくりしたのでそこについても触れておきます。
主人公のピーターラビットを演じるのは「ワン チャンス」他のジェームズ・コーデンですが、彼はまあ(こういうのが上手いので)この手の映画によく出てくる印象だしそこまで日本では知られていない方なのでいいとしても、他のキャラ…特に“3姉妹”のキャスティングがすごい。
フロプシー&ナレーションは「ウルフ・オブ・ウォールストリート」での開脚シーンが一生忘れられないと噂のマーゴット・ロビー、モプシーを演じるのは「TENET」の長身美人エリザベス・デビッキ、カトンテールを演じるのは言わずとしれたスター・ウォーズ続三部作のレイ役でおなじみのデイジー・リドリーというメンバー。これを豪華と言わずして何と言う。
むしろこの人たちが普通に実写で共演する映画が観たかったよ…。
このシーンがイイ!
木が倒れるシーンが一番笑ったかも。あとスローで投げ合うシーン。
ココが○
まあもう「CGと実車の融合」って言う必要も無いぐらい違和感がないのはさすがですね。今の技術は本当にスゴイと思います。よくできてる。
ココが×
キャラの自己主張が強いのと、仕方がないところですがキャラクターデザインがどうしても「向こうのかわいい」に沿ったものなのがやっぱりちょっとかわいく見えない。むしろあざとく見えてきちゃう。それが狙いなのかもしれませんが。
MVA
ご贔屓ということもあり、また身体張って頑張ってたのでこちらの方に。
ドーナル・グリーソン(トーマス・マクレガー役/ジェレミー・フィッシャーの声)
ピーターラビットとバトルを繰り広げる兄ちゃん。
まあ本当に吹っ飛んだり頭打ったり文字通り身体張って大変。この人はどんどんこっちのコメディ系に寄って行っている気がしますがそこがまたいい。
ちなみに続編の写真でも素晴らしい表情で(ピーターラビットから)蹴りを食らっていたので、あの表情だけで次も観ようかなと思いました。よくあんな宣伝許したもんだよ…。