映画レビュー1049 『ザ・ブック・オブ・ヘンリー』

今回はまたネトフリ終了間際シリーズに戻ります。もはやこのブログで一番出てくる言葉、それがネトフリ終了間際シリーズ。

特にこれと言って引っかかったわけでもないんですが、ナオミ・ワッツの子どもにジェイコブ&ジェイデンは良さげだな、と思ったので観てみました。

ザ・ブック・オブ・ヘンリー

The Book of Henry
監督
脚本

グレッグ・ハーウィッツ

出演
音楽
公開

2017年6月16日 アメリカ

上映時間

105分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

ザ・ブック・オブ・ヘンリー

予想の斜め上を行く驚きの展開&ご都合主義の凄まじさ。

7.0
隣家少女の虐待疑惑、ほのかに思いを寄せる“天才少年”ヘンリーの計画とは
  • 資産運用までしちゃう天才少年ヘンリーが隣家の少女を救うべく計画を立てる
  • しかしヘンリーに問題発生、計画の行方は…!
  • モード切替の激しいちょっと奇妙な映画
  • 息子二人がぐうかわ

あらすじ

ほっこり系のファミリードラマかと思いきや、結構コロコロとモードが変わって斜め上の展開を見せるなかなか不思議な映画でした。

決して嫌いではないんだけど、でもアラは目立つよなぁという印象。

主人公の“カーペンター一家”、その大黒柱であるナオミ・ワッツ演じるスーザンは、ワケあって旦那さんと別れたようで今は息子二人と暮らすシングルマザー。

長男のヘンリー(ジェイデン・マーテル)は絵に描いたような天才少年で、なんと資産運用までやっており、幾度となく母に「働かなくてもいいのに」「新しい車を買えばいいのに」と言っていることからもわかる通り、かなりの資産を築いているようです。

その他のあらゆる立ち居振る舞いからもただならぬ聡明っぷりを発揮しており、お母さんはもはや息子ではなく大人として扱うと同時に依存しているように見えるぐらいに大人です。

その弟であるピーター(ジェイコブ・トレンブレイ)はフツーの子供。あまりにも聡明で優秀な兄に劣等感を抱いているようですが、とは言え兄弟仲はとても良く、普通に兄を慕い、普通に母を愛する男の子と言った感じ。

彼らのお隣さんはシックルマン一家なんですが、こちらは父親であるグレンと一人娘のクリスティーナの二人家族。ただ正確には“継父”なので、血の繋がりはありません。継父と二人暮らし、しかも娘は父を慕っているようには見えない…って結構複雑な家庭環境だと思うんですが、こちらは再婚後に妻と死別とかなんでしょうかね。

クリスティーナはおそらくヘンリーよりも少し年上っぽい雰囲気(そういう表現があったわけではないのでただの主観です)なんですが、ヘンリーは彼女に少し惹かれているようで、冷やかし気味に「将来の娘ね!」なんて軽口叩くスーザンに「やめろよぉ!」みたいな。ここだけは普通の少年っぽさを感じさせるヘンリーでしたとさ。

そんなやり取りからもわかる通り、スーザンもクリスティーナのことは実の娘のようにかわいがっていて、またクリスティーナ自身も父親よりもスーザンの方になついているような雰囲気でございます。

そんな2つの家族が日々を過ごすうち、ヘンリーが「どうもクリスティーナは父親から虐待されているのではないか」という疑念を抱くようになり、これは僕が助けてあげなければいけない、と使命感に駆られ計画を立て始めるんですが、同時にヘンリーに異変が…! 果たしてどうなることやら…!

最後まで斜め上で行ってほしかった

なんとも説明が難しい映画なんですが…最初は「天才少年が白馬の王子様になってみんなハッピー」みたいな話なのかと思ってたんですよ。割と緩めの。

ところがそこから良くも悪くも二転三転、詳細は書きませんが途中からはモードが変わって別ジャンルの映画になったかのような急展開を何度か見せられ、その都度「え? こんな映画なの?」と思いつつ別に悪くないよと観ていくんですが、最終的には結構なご都合主義的オチを迎えるので「うそーん」という感じでしょうか。無念ナリ。

なにせネタバレ…というか中盤以降の話はあまり書かないようにしているので本当にこれ以上説明するのも難しいんですが…途中までは“想像の斜め上”なので、だったらそのまま最後まで斜め上で行ってもらったほうが「うわすごい映画だな」ってなったような気がするんですが、最後はやっぱり普通にまとまっちゃうので結構観ている人はがっかりする人が多いんじゃないかなと思います。

話の帰結としては決して悪くないんですが、途中までのモードチェンジっぷりにやや奇抜な印象があったので、だったらその路線を突き詰めてもらった方が印象に残る映画になったんじゃないかな、みたいな。具体的なことが書けないのでなんともボケた言い方になってしまうのが歯がゆいところですが。

多分誰にも伝わらないと思うんですが、「テッド」を観たときの残念感と近い気がしますね。もっと振り切ったままでいいのに最後ナニ綺麗にまとめようとしてんだよ、みたいな。

この辺はこの映画に限らず、ハリウッド映画にありがちな「試写で評判が悪かったからエンディングを変えました」みたいな呪いが関わっているのかもしれません。もっともこの呪いも良い方に作用することもあるし、一概に悪いと言えないのがまた難しいところなんですが…。

兄弟の破壊力が凄まじい

そんなわけで迷走気味のお話ではあるんですが、主演を張る二人の子役は「この時期にしか観られない豪華共演」と言えるとんでもなく贅沢な組み合わせ(当社比)なので、そこだけでも観る価値がある映画と言ってもいいでしょう。

調べたところこの映画は撮影が2015年後半だったようなので、当時のジェイデンくんは12歳。しかし上記の通り「度を越した」天才少年として描かれ、その時点で結構嘘くさい話…に見えそうなところ「マジでそれっぽい」ジェイデンくんの利発そうな佇まいは間違いなく他にいないレベル。あてがきジャネーノと言いたくなるぐらいにピッタリな役柄でした。

お母さんが「子供というよりパートナー」、別れた夫よりも頼りになる素敵な異性のように見なしている描写もあるんですが、そう見ちゃってもおかしくないぐらいに賢く、また同時に顔立ちが整いすぎていて衝撃的ですらあります。「ヴィンセントが教えてくれたこと」の頃からそうでしたが、とにかくジェイデンくんはルックスだけでものすごく強い。彼あっての物語であることは間違いありません。

また弟役を演じるジェイコブくん、彼は「ルーム」でもそのかわいらしさを見せつけていましたが、今作でもまったく遠慮のない全力の愛らしさで観客をなぎ倒していく素晴らしさ。彼は兄と違って「普通の男の子」なわけですが、兄が優秀すぎるが故に普通=かわいそうな印象を与える役柄において、あまりにもかわいすぎていじらしいがためによりかわいそうだし守ってあげたくなる母性本能のくすぐりっぷりが凄まじく、なんなら「くすぐる」というよりは全力で殴りに来ているんじゃないかと思えるかわいさの暴力がハンパ無いです。

僕はあまり子役に興味がない方なんですが、それでもこの二人の共演はとんでもないお宝映像なのではと思います。どっちも違った方向性で奇跡的に整っている二人が兄弟役として共演する、というのはもう歴史に残る偉業と言っても過言ではないぐらいに凄まじい破壊力を持っていて、それ故にもしかしたらこの映画はもっと後年になってから「内容はともかくこの二人がこの時期に共演しただけですごい映画だよね」と評価されるのではないでしょうか。

ご存知の通り、子供はすぐ成長して大人になってしまうので、「時代を代表する(外見的にも演技的にも優れた)名子役」二人が子役時代に兄弟を演じる、というのはいろいろ条件が重ならないと難しいと思うんですよ。

将棋で言えば今、羽生さんが藤井二冠と同年代で競うようなミラクル感とでも言えば良いでしょうか。それぐらいにこの二人が子供のうちに兄弟で共演したことの価値の大きさというのは間違いなくあると思います。しかもお母さんはナオミ・ワッツだし。キャスティングだけで飯が食えるぜって話ですよ。

役者さんに興味が持てれば

ということで、兄弟を観るためだけでも観る価値がある…かもしれない映画でしたとさ!

ただ繰り返しますが話自体はいろいろ突っ込みどころも多いので、ある程度海外俳優に価値を見出だせる人にとっては意味があるものの、「海外の俳優さんみんな一緒に見える」系の人にとってはあまりオススメできません。

その辺で観ようかどうか考えてもらえればいいんじゃないかと。

まあ現状ネトフリでしか観られないようなので配信終わったら観られないけどね!

ザ・ブック・オブ・ネタバレー

途中からいきなり「私の中のあなた」っぽくなったのはびっくりしましたね実際。

おっ、お涙頂戴路線に変更か…! と思いきやヘンリーはあっさり退場、その後は謎のお母さんサスペンスが始まるという…なかなかとっちらかりつつこれはこれで悪くなかったと思います。

でも本レビューに書いた通り、だったらそのままお母さんが撃ち殺してやるぜぐらいで良かったと思うんですよ。もちろんそれはそれで子供に対してどうなのとかいろいろ問題はあるんですが、ただ実際の展開はほとんどごっつぁんゴールなのでそれこそどうなの、と…。

最大の引き金になったのはおそらく校長先生の通報だったんだろうと思うんですが、百歩譲って今まで取り合ってなかった通報も校長先生だからと取り合ってもらえたんだとしても、そもそも校長先生はヘンリーの訴えも退けてきたわけで、なんで「バレエが素晴らしいから通報しよう」になるのかさっぱり謎。通報の動機はそこになかったのかもしれないけどだったらあの辺もう少し丁寧に描写するべきで、普通に観てたら「クリスティーナのバレエ素晴らしいわ…そう言えばヘンリーが虐待されてるって言ってたから通報しましょう!」って意味わからなくない!?

せめてバレエしてる彼女の体の傷が目立つとか、なんとなく虐待を匂わせるものがあっても良かったような気がする。もっとも虐待の内容自体が性暴力っぽかったので外見からそれを匂わせるのも難しいとは思うんですが。

それと急に動き出して(一人二人ではない)大掛かりな捜査に踏み込んだ警察の動きもかなり疑問ですが、結局親父が自殺してメデタシメデタシになっちゃうのはちょっと都合良すぎるでしょうと。

捕まる形であればまだスーザンがやろうとしていたことが公になる可能性があったものの、死んじゃったので完全にお咎めなしの“無かったこと”になっちゃうし、いかにも(悪い意味で)映画的な都合の良さが興醒めですよ。もったいない。

あの流れであれば…「結局撃てない」から親父とスーザンの対面→所業を認めた親父を怒りで射殺、で良かったんじゃないかと思うんですよね。斜め上映画なんだから。で、そこまで読んでた(それも都合良すぎるんだけど)ヘンリーが「よくやった」と褒め称える、みたいな。

スーザンは捕まるも生前ヘンリーが根回ししていたことでアリバイが証明されてメデタシメデタシ、ぐらいヘンリー万能映画にしたほうが良くない!? いや素人考えですけどね…。

このシーンがイイ!

もうジェイデン&ジェイコブが揃ってなにかしてるシーンは全部眩しすぎてよかったですよ。仲の良さそうなこの兄弟を見るだけで幸せです。

ココが○

とにかく兄弟二人が素晴らしいのでそこだけでも評価できます。役にぴったりだし。

あと嘘くさいヘンリーの“神童”っぷりもジェイデンくんなら納得できる感じが良かった。

ココが×

ネタバレにうだうだ書きましたが、やっぱり最終的にご都合主義的すぎる展開がいかがなものかと。

だったら違う方に振ってほしかったなという印象。

MVA

ナオミ・ワッツは当然イイわけですが、今回ばかりは子ども二人が良すぎたので…どっちも最高だったけどこちらに。

ジェイデン・マーテル(ヘンリー・カーペンター役)

長男の天才少年。

とにかく賢そうでかわいくてかっこよくてズルさが臨界点突破。そしてそれが世界一似合う当時のジェイデンくん。

ナイブズ・アウト」ではだいぶ大きくなってこの頃のような神々しさは無くなったと思いますが、むしろ今後もう少し歳をとってどんなイケメンに育つのか楽しみでもあります。将来的にまたジェイコブくんと共演なんてしたら超胸アツ。

ちなみにこの頃は「ジェイデン・リーバハー」名義ですが人物ページの兼ね合いもあって今の芸名にしてます。細かいことはキニスンナ。

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