映画レビュー1019『七年目の浮気』

今日もまた珍しく古い映画がネトフリ配信終了になり…と思っただろ騙されたな!

この日は特に終了もので気になるものもなかったため、久しぶりにBS録画より選びましたよと。このときは「深夜の告白」と同じ週にこの映画もやっていたので、そりゃ録るでしょ観るでしょと。

ちなみに読みとしては「ななねんめのうわき」ではなく「しちねんめのうわき」です。念のため。

七年目の浮気

The Seven Year Itch
監督
脚本

ビリー・ワイルダー
ジョージ・アクセルロッド

出演

マリリン・モンロー
トム・イーウェル
イヴリン・キース
ソニー・タフツ
オスカー・ホモルカ
マルグリット・チャップマン
ロバート・ストラウス

音楽
公開

1955年6月3日 アメリカ

上映時間

105分

製作国

アメリカ

視聴環境

BSプレミアム録画(TV)

七年目の浮気

主人公の独壇場感強め。

7.5
“浮気シーズン”でも浮気はしないと誓う男、しかし上階に金髪美女がやってきて…
  • 浮気したくない男 vs 隙だらけの金髪美女
  • タイトルに反して(?)いやらしさも無く人を選ばない
  • いかにもなコメディなもののエンディングはワイルダーらしい良さ
  • あのマリリン・モンロースカートふわりシーンが登場する映画

あらすじ

タイトルは超有名ですが、さらにタイトル以上に有名な例のマリリン・モンローがスカートふわりするシーンが登場する映画だったとは…! ちなみに“よく見る”例のシーンはスチール撮影用のものだそうで、確かに映画に登場するシーンはアレほど扇情的ではないというか、割と控え目だったような気はします。

なんでも「500年前のマンハッタン島に住んでいたマンハッタン族の頃から夏は妻子を避暑地に行かせ、留守を守る男は浮気に精を出す」風習だった…とか言う話がまことしやかに語られるオープニングを経て、(映画公開当時の)現代。

人間は変わらない…とばかりに妻子をバカンスに向かわせたその足で女の尻を追っかけ回すぜ的な男たちが多数を占める中、主人公のリチャードは「浮気なんぞすまい」と意志も固くご帰宅です。

一人の留守番を自由に過ごしつつ、禁煙も仕事の準備も頑張るぜと殊勝な仕事人間リチャードですが、しかし上階の部屋主の「旅行期間中だけ部屋を借りに来た」という金髪美女の登場により事態は一変。

浮気をするつもりはない…でもあんな美女はそうそうお知り合いになれないぜ…! ということでちょっとしたトラブルも利用しつつ徐々にお近付きになる二人。

引く手あまたの美女は「(下心丸出しの)そういうことをしてこない男性(リチャード)、素敵だわ〜」と隙だらけの行動で図らずもリチャードを誘惑、倫理と下心の間で揺れ動くリチャード…!

果たして彼は当初の誓い通りに浮気をしないのか、それとも欲望のままに金髪美女といい感じにネンゴロになってしまうのか…! 乞うご期待です。

一人で頑張る主人公もマリリンには勝てず

まあやっぱりこの映画はなんと言ってもマリリン・モンローですよ。公開当時は「今が旬の美人女優」ぐらいの立ち位置だったんだろうと思うんですが、何せ早逝してしまったその後の顛末等もあって今となっては「伝説のセックスアイコン」になってしまったが故に、この映画の内容も公開当時以上に魅力的に見えてくる魔法がかかった映画と言えます。

これで相手役も例えばジェームズ・ディーン(内容的に想像できないけど)みたいな、後年から見て同じように物語性を帯びた人物であればまた印象も違ったんだろうと思いますが、この映画の場合は舞台から引き続き同じ役を演じるトム・イーウェルという映画中心の俳優さんではない方が演じているため、余計にマリリン・モンローに目が行ってしまう面はあるでしょう。

決してトムさんが悪いというわけではなく、むしろ割と特殊な役であるが故にさすが舞台から演じているだけあるなという名演ではあるんですが、しかし名声的な意味合いでどうしてもマリリン・モンローと比べると地味な印象は拭えず、完全に「マリリン・モンローの映画」に感じられるのが歯がゆいところ。まあ“あの”マリリン・モンローと比べるなよ、って話だとも思うんですけどね。

でも僕がもう一本観たことがある彼女の映画「お熱いのがお好き」は向こうを張るのがあの名優ジャック・レモンということもあって、この映画ほど「マリリン一辺倒」な印象はなかったんですよね。あの映画ほど話が強くないというのもあったのかもしれません。

見どころとしての「マリリン一辺倒」感はありつつも、話としては比較的主人公(リチャード)の妄想と躁鬱状態を表現する一人芝居(というか彼の脳内芝居)の色合いが強く、観客としては少々置いていかれる感はありました。置いていかれるというか、「いやそこまで考えないでしょ普通」とちょっと冷めた目で観ちゃうような感じ。

主人公が一人で妄想たくましく散々引っ掻き回してアレコレするものの、「何も考えてない」ような隙だらけ女子(いわゆる一番モテるタイプ)を見事に演じるマリリンの爆風で吹き飛んじゃうんですよね。もう。「なんかいろいろ言ってるけどどうせ抗えないでしょ」感がすごい。

この辺は日本で言えばガッキーがこの手の女子を演じたと考えれば同じような感覚になると思われます。いくら男が抗おうといろいろやったところで「いやガッキーかわいすぎでしょ」ですべてが無に帰すという。

なのでこれはもうマリリン・モンローを配したキャスティングがある意味で優勝だしある意味では惨敗ですよ。これ多分「今見ると古臭く見えるタイプの女優」さんが演じてたら主人公の葛藤もいまいちピンとこなくなるだろうし、とは言えマリリン・モンローまで突き抜けちゃうと「禁煙すらろくにできない男がブレーキかけられるはずがない」みたいにリアリティが欠けてきちゃう気もするし。非常に難しいところです。

同時に主人公がもっとイケメンであれば“もしかして感”も高まるんですが、残念ながらトムさんは(役柄通りですが)普通の中年男性でそこまでモテる感じはしないので、となると「マリリン惹かれるかね?」みたいな気もしてきちゃうという。少々穿った見方かもしれませんが、主人公のキャスティングの差異でその辺りが少し引っかかってあまり入り込めなかった面はありました。

ワイルダーとしてはあっさり目?

かなり期待はしていたものの、ワイルダーの映画としても他と比べるとやや小粒な印象で、マリリン・モンローという文字通りシンボリックな存在を除けば、比較的単純で奥行きに欠ける物語のような気はします。

お得意の伏線回収もそこまで記憶に残るものはあまりなく、エンディングこそ「さすがワイルダーだな!」と感じはしましたが、それ以外は割とあっさり目。印象としては今まで観た中で最もコメディ色の強い映画だったかもしれないですね。それ故に少し平坦に感じたような。

ただ当然つまらないというわけではなく、あくまで「彼の他の映画と比べると」というお話です。何せ僕にとってビリー・ワイルダーという人は「外さない監督ランキング」でも片手に収まるぐらいに上位に位置する人になっていて、その分ハードルが上がっちゃったのも事実なので、まあこれから観る人はそこまで期待しないで観た方が良いかもね、という感じでしょうか。

やっぱり良くも悪くもマリリン・モンローに引っ張られちゃう映画だと思いますが、(古くなったという意味ではなく)公開当時とは見え方が変わってしまった映画の一つかもしれません。きっと公開当時の方が(マリリンは存命してるし彼女の名声も今ほどではなかっただろうから)もっと純粋に物語を楽しめたんじゃないかなーと。

このシーンがイイ!

やっぱりエンディングでしょうか。伏線回収もありつつ。

ワイルダーの映画は本当にエンディングが良いし、エンディングの印象で映画の印象が左右されることをきっちり意識して力を入れて作っているような気がしますね。

ココが○

ワンシチュエーションに近い、わかりやすい映画である点はさすが。今観てもあまり古臭さは感じないし、普遍的な魅力があるのもまたワイルダーらしさかもしれません。

ココが×

やっぱりちょっと「主人公の独り相撲」感が強いので、もう少し対人の絡みを活かして進行してくれた方がハマれたんじゃないかなとは思いました。あくまで僕個人の意見ですが。

MVA

まあこれは…トムさんも良かったんですが事実上の一択でしょう。

マリリン・モンロー(金髪美女役)

役名無いんですよね。もうまんま金髪美女役。

言っちゃなんですが「ちょっとバカっぽい」、いかにも男が「ワンチャンイケるんじゃね!?」と思うような役を演じさせたらピカイチだな、と。さすがとしか言いようがなかったですね。

この映画に限らず舞台裏では結構ナイーブでなかなかOK出なかったりするような気難しいタイプだったようですが、しかし完成したものを観るともう「完全にそういう人」にしか見えない辺りがやっぱりすごい。

あと管理人さんがなかなかいい味出してたけどどっかで観たような…と思ったら「第十七捕虜収容所」で印象的な囚人を演じていた人でした。ああいうコメディ得意な脇役は味が出ていいですね。

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