映画レビュー1065 『ビジョンテレがやってきた!』

トルコ映画その2。

ネットで軽く調べてみればわかると思いますが、(トルコ映画は大体)極端に日本語の情報が少ないので役名等微妙に確認できず、間違っている可能性もあります。このレビューを書いている時点では配信ももう終わっちゃっていることもあり。その辺りご容赦ください。

ビジョンテレがやってきた!

Vizontele
監督

イルマズ・アルドアン
オメール・ファラウク・ソラク

脚本

イルマズ・アルドアン

出演

イルマズ・アルドアン
デメット・アクバァ
アルタン・エルケッキリ
チェム・イルマズ
ジェズミ・バスクン

音楽

Kardes Türküler
Bosphorus University Show Art Group

公開

2001年2月2日 トルコ

上映時間

110分

製作国

トルコ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

ビジョンテレがやってきた!

ほっこり人情ドラマかと思いきや…ほろ苦さが残る良作。

7.0
1970年代の田舎町に突如設置された「ビジョンテレ」
  • ついにわが町に“ビジョンテレ”が来る! と大騒ぎの巻
  • しかしなかなか映らずに町長が政治生命を賭けて奔走する
  • 牧歌的で古いトルコの様子が伺える文化的な美味しさがいい塩梅
  • しかしただのほっこり映画にあらず

あらすじ

おそらくですが現状日本で観るにはネトフリに頼る以外に無く、そのネトフリも配信が終了してしまったために今から観るのは難しい映画だと思われます。

ただし以前ご紹介した「サミットに乾杯!」は2021年1月現在また戻ってきているので、この映画も戻ってくる可能性はあります。

ちなみにこれも前回の「G.O.R.A.」同様に続編も作られている映画なんですが、それも同時に配信が終了してしまったために観られませんでした。G.O.R.A.ほどではないにせよ…続編も観たかった気はする。

舞台は1970年代、トルコの田舎町。町外れの山の上に住む変わり者の技術者・エミン、町の町長一家、その他主要人物のご紹介の後、本作のメインテーマである「ビジョンテレ」、つまりテレビが初めてこの町に設置される、という話が町長の元にもたらされます。

遠くからこの町まで設置にやってきたお役人たちは「こんなところに長居したくない」とばかりにちゃっちゃとテレビを置いてご帰還、残された町の人々は誰ひとりとして「どうすればテレビが映るのか」がわかりません。

一応設置時にお役人から「とりあえず高いところに置けば映るから」と聞いていた町長さん、変わり者故町民たちからバカにされているエミンに助けを求め、一緒にアレコレ奔走しますがなかなか映りません。

当初は“ビジョンテレ”に多大な期待を寄せていた町民たちも次第に町長たちをオオカミ少年のようにみなし始め、コトは町長の進退にも関わりかねない重大な局面に。

意地でも“ビジョンテレ”を映したい町長とエミン他メンバー、果たして無事文明の利器を活用できるんでしょうか。

一発目のトルコ映画に良いかも

ざっくりなジャンルとしては「人情コメディドラマ」みたいな感じでしょうか。寅さんとかに近い感覚。寅さんちゃんと観たこと無いけど。

特に大きな事件が起きるでもなく、「テレビが映るように奔走する」町長と、主要メンバーたちを通してその町の日常を捉えるドラマになっていて、当然ながら派手さはないものの、前回ご紹介の「G.O.R.A.」と打って変わって非常にシンプルで観やすい映画と言えます。

そのG.O.R.A.は最たるものですが、狙いがよくわからずに理解できない(けど面白い)トルココメディとは違い、筋もわかりやすいし人を選ばない良さがあるので、最初に観るトルコ映画としても悪くないチョイスではないかなと。

特に「古き良きトルコ」を感じさせる昔の田舎町という舞台は、ちょっと良く言い過ぎかもしれませんがどことなく「ニュー・シネマ・パラダイス」のような雰囲気を感じられて、当地の(いやらしい意味ではなく)風俗や文化を窺い知るのにもとても良い映画だと思いますね。町並みとギスギスしていない昔ながらの人間関係を眺めるだけでもなんとなく“味”を感じるような。

お話としてはひたすら「テレビが映るように奔走する」ことのみで引っ張る単純なものですが、それも人間関係をベースにそれなりの対立軸もあって程よいテンションを保ちつつ、地味ながらあまり退屈させることもありません。

トルコ映画は良くも悪くもかなりクセが強いものだと思っていただけに、この素直で観やすいドラマはなかなか意外でした。奥が深いぜ、トルコ…!

地味ではあるものの悪くない

当然ながらネタバレになるので詳しくは書きませんが、のほほんと観ていたら急に「えっ!? そっち行くの!?」と思わせるような意外性のある展開もあり、なかなかどうして悪くない映画だと思います。

やはりどうしても地味さに評価が引きずられてしまう面はあるので、バチッと「うわいいな!」とはならないものの、しかし内容的には至って真摯にきちんと作られた映画だと思うので、少し違った国の映画を観たいというようなときには悪くないチョイスだと思います。

惜しむらくは…やはり鑑賞機会が限られてしまうところでしょうか。ネットでの情報量の少なさを考えても、もう少し広まってもいいような気はする。

ただそれでもネトフリが配信してくれなければ一生観る機会のない映画ではあるので、やっぱりなんだかんだネトフリのネットワークのありがたさをひしひしと感じる今日この頃、ですよ。

同じような気持ちで「水曜どうでしょう」を観ている外人さんもいるのかと思うと胸熱ですね。この映画全然関係ないけど。

このシーンがイイ!

やっぱりラストでしょうかね…。何がどう良いのか書いちゃうとアレなので書きませんけども。良いオチだなと思います。

ココが○

例えば高台からタダで映画観てたりとか、ああいう緩かった時代の光景が観られるだけでちょっとたまらないものがあります。どうしても今は失われてしまったものなので。

ココが×

テーマが単純かつ一本なので、観やすい反面やっぱりある程度の物足りなさは感じます。どうしても地味。

でもこの映画はこれで良いんだろうと思うんですよ。ちょっとテーマ的には「ウェールズの山」っぽい気もして、ああいう牧歌的な世界の良さは間違いなくあったと思います。

MVA

例の絨毯屋の人はこの映画にも出ていて、こりゃやっぱりトルコの大スターなんだなと改めて思ったわけですが、今回は…ベタですがこの人かなぁ。

アルタン・エルケッキリ(町長役)

主人公の一人、町長さん。

真面目なその辺のおっさん的な普通っぽさがありつつ、実直な演技も至って自然で良かったです。この人の佇まいが割とこの映画のほっこりとした良さを引き出していたような気がしないでもない。

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