映画レビュー0824 『ヒーロー・ネバー・ダイ』
今週もまた配信終了映画が60本ほどありまして、悩みに悩んでチョイスした2本をここからお送りしますよ、と。
基本的に選ぶ時はリストにある映画を片っ端からYahoo映画で検索、その評価とレビューをチェックして気になるものを選ぶわけです。ある程度好み的な意味で向き不向きもわかるしテッパンの選び方だと思っていたわけですが、たまには外すこともあるわけで…。
ヒーロー・ネバー・ダイ

安っぽすぎて笑っちゃう。
- 男受けする価値観を体現するマフィアの物語
- 絶妙な古さ故か、少々安っぽい演出が目立つ
- 主役陣は良いものの、脇役陣の演技が大げさで大根率高め
- 「上を向いて歩こう」がメインテーマ的にしょっちゅうかかる
あちこちのレビューでは「男の中の男」「泣かなかったら男じゃない」「最高の男映画」みたいなレビューがバシバシ載っていたので、さぞや痺れる映画なんだろう…と期待を胸に観始めたんですが…。
オープニングから結構ノリ的にしんどい感じだなぁと思いつつ、でも最終的にものすごくグッとくる映画だったりするんだろう…と我慢してたんですが。「ブルース・ブラザース」なんかも最初ちょっと違和感あったし。が、結局最後まで乗れなかったっていう。
舞台は香港の裏社会。よくある「2つの組織がしのぎを削ってシマを拡大しようと抗争を繰り返す」ような状況。どっちの組織にも相手に名が知られている凄腕の殺し屋がいて、それぞれがそれぞれのボスを守ろうとやり合う日々です。まあ中ボスみたいなイメージでしょうか。彼らが主人公と言えます。
片方の主人公は冷静沈着で男前のジャック。どことなく香川と長谷部をモーフィングした途中の顔みたいな雰囲気で日本代表感強めです。彼が守るボスは鳩山由紀夫そっくりなので気をつけましょう。
彼と対峙する相手組織のエースがチャウ。若干ですがデル・トロ風味もあり、「香港のベニチオ・デル・トロ」と言われていそうな気がしないでもないですが、劇中の彼はほぼテンガロンハットで突き通すのでむしろ香港の片山晋呉と名付けました。僕は。。
そんな二人はお互いがお互いを意識し合う仲で、「こいつを殺さなければボスの天下は訪れない」とわかっているはずなんですが、絶好のチャンスがあっても殺さない辺り…認め合っている二人と言って良いでしょう。車に乗って同じ店に同じタイミングでやってきた二人は正面から何度も車をぶつけ合い、さらにワインのグラスを割り合うという意地の張り合いで大いに笑わせてくれます。いや笑わせに来てるんじゃないのかもしれないけど。なんなのあれ。
そんな二人がそれぞれの組織でボスを守りつつ、やがて訪れる組織の激変によって物語が大きく動いていくわけですが…その辺りは観て頂くとしましょう。
ただ割とあちこちで(ネトフリでもすでに映画の説明部分で)この後の展開に触れていたりするので、まあ興味があったらそういうのもチェックしてみてください。ただしそうやって物語が大きく動くのは時間にして半分以上過ぎてからになります。
まず最後まで観た上で言えば、物語としては嫌いじゃないし、言いたいこともよーくわかります。なるほどそういう話か、と。やけに世の中で「男が泣く映画だ」とか押したくなる気持ちもわかる。
ただ、どうにも演出にしても演技にしても荒い。さすがに主役の二人はちゃんとしていたと思いますが、まず最初に出てくる占い師(?)の爺がもう超の付く大根で大爆笑ですからね。「えー!? なにこれ笑わせたいの!?」って戸惑いました。足抑えてゴロゴロ痛ぇとか学芸会かよと。
二人が守ろうとするボスにしても、物語の性質上やむを得ないにしろやや「小物感」を強調しすぎた演技とセリフ、演出が気になってしまい。
なんと言うか…劇伴含め、あちこちで「キメます!!」ってやりすぎなんですよね。かっこつけすぎ。ドドーン! って画面から音が出そうなシーンが多い。
その上吹き替え(香港映画はアフレコでセリフを入れる)と口が丸っきりずれてたりもして、序盤にそういう様々なアラを見せられちゃったもんだから一気に萎えちゃいましたね…。なかなか辛い鑑賞でした。(ただこれは中国国内の言語の違いとかもあるらしいので一概に文句は言えないんですが)
終盤の展開だけで言えば悪くないんですが、やっぱりそこに至るまでのフリの部分がどうにも下手。申し訳ないけど。
これは1990年代後半という今から観ると(古すぎると味になるけどそこまで行かない)絶妙に微妙な古さを感じる年代の映画というのもあるんでしょう。語られる価値観自体も古いものだし、男同士の話は良いにしてもそこに絡まる女性二人の扱いがこれまた絶妙に古い。ハードでボイルドでさ。これは厳しいっすよ。
また、物語の展開そのものもややわかりにくい部分があり、「言葉にしないから感じろ」ってやりたいのはわかるんですが違和感の方が勝っちゃうのが残念。もう少しメリハリ効かせてこうなったぜ、って語って良いんじゃないかな…。「あれ? こいつどうなったの?」みたいなのが何度か出てきたり、「ん? これどういうやりとり?」みたいなシーンもちらほら。ただしこれは途中から諦めて眠気に身を任せたせいという説もあります。
僕は別にハリウッドが最高だとは思いませんが、ただこの映画の拙さを観るに、「言いたいことは良いのに作りが残念」なこの手の映画こそハリウッドリメイクの方がグッと来そうな気がしました。やっぱりなんだかんだ見せ方うまいもんな、っていう。慣れもあるんでしょうが。
ただ割と年代的にも近い「インファナル・アフェア」にそういう違和感は感じなかっただけに、ジョニー・トーのクセみたいなものが気になった、ってことなんでしょうかね。合わないだけなのかな…。
ただジョニー・トーもだいぶ後ではありますが「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」は別にそこまで気にならなかったし、やっぱり年代的なものがも大きかったのかもしれません。主人公補正のエグさは相変わらずとは思ったけど。
えー、あんまり参考にならないレビューになりましたが、簡単に言えば「作りが安っぽい」に尽きるかな、と。熱烈に好きな人が結構多い映画っぽいので本当に申し訳ないんですが。
多分この映画が熱烈に好きな人はあんまり洋画とか観ないでヤクザ映画とかの方がメインの人たちなのかもしれませんね。どことなくそんな文化の違いみたいなものも感じました。
このシーンがイイ!
んー、やっぱりワイングラス割り合いのところかなー。あれほんっと意味わからなくてかなり笑いましたね。シュール過ぎて。跳弾とかやりだしてもう爆笑。
かっこいいと思ってやってるのか笑わせようと思ってやってるのかわからなくて「バーフバリ」の再来を感じました。再来ってバーフバリより昔の映画だけど。
ココが○
最終的にやりたかったことはすごくよくわかります。だからこそもっと胸熱になりたかったんだけど…。
ココが×
上に書いた通り。もしかしたらこういうものが流行りすぎてコントに逆流しちゃったせいで「コントっぽいな」って見えたような面もあったのかもしれない。それぐらい「カッコつけが寒く見える」演出が気になりました。
MVA
レオン・ライはかっこよかったんですが、演技としてはこっちかな〜。
ラウ・チンワン(チャウ役)
香港の片山晋呉。はっきり言って見た目は全然かっこよくないと思うんですが…その分味があったような気がしないでもない。
役としてはやっぱりこっちの方が美味しい役だったので、その分持っていったなと言う感じはありました。


