映画レビュー0894 『女神は二度微笑む』
今回はネトフリ終了間際シリーズでございます。いつものアレ。
なにせここ数年(自分の中で)インド映画が熱いぞ! ってことで迷わずチョイス。
女神は二度微笑む
スジョイ・ゴーシュ
スジョイ・ゴーシュ
ヴィディヤ・バラン
パラムブラト・チャテルジー
ナワーズッディーン・シッディーキー
ビシャール=シェーカル
2012年3月9日 インド
123分
インド
Netflix(PS3・TV)
![女神は二度微笑む](https://nanpro-h.net/wp-content/uploads/2019/03/1b1e38575441a734f944ccbb0a60f529.jpg)
どっかで観たような内容…でも最後は衝撃の結末が…!
- 歌も踊りも無いガチのインドサスペンス
- 夫の情報はまったく得られない代わりに、どうやら夫にそっくりな謎の男がいたらしい…
- 彼を追ううちに危険にさらされる奥さん
- 最後は驚きの結末が…!?
あらすじ
“いつもの”サービス満点てんこ盛り3時間超えインド映画とは一線を画す、「マジでサスペンス作りましたよ」的なインド映画。登場人物のテロップの入れ方や細かいカット割辺りにハリウッド的な影響が見て取れ、「アジアの映画も真っ向勝負できるんだぜ」的な意欲的な作品という印象。この前の「レボリューション・ティガ」みたいな感じでしょうか。こういう「インド産ガチサスペンス」って多いのかな…。
主人公は美人妊婦・ヴィディヤさん。彼女はロンドン在住らしいんですが、夫がインドへ仕事に行ったきり音信不通になってしまったとのことで、身重ながら自ら夫を探そうとインドへやってきます。
地元警察のラナとバディものよろしく一緒に捜査を進めていく彼女ですが、どこで聞いても夫のことを知る人間は一人もいません。
そんな中、現地のデータセンターのおばちゃんが「うちで働いてた、ある日急に辞めていなくなった男に似てる」と気付き、データベースから彼の情報を閲覧しようとするもアクセス拒否。これは何やらキナ臭いぜ…!
夫を知る人間は誰もおらず、しかし「そっくり」だと言う男もまた忽然と姿を消したらしい…ということでその“似た男”を探し始めるヴィディヤとラナ。果たして彼女の夫は無事見つかるのか、それとも…!!
どっかで観たような気がしないでもない
消えた夫、探す妊婦、暗躍する悪者…! ってことでいろんな要素が入りつつ、そのどれもがどっかで観たような気がしないでもないという感じで、基本的には特段目新しいお話ではないと思います。
インド産ってことで観る前までは期待も込めつつちょっと独特で乗りにくい感じだったりしないのかな、と気になっていたんですが、そんなわけで実際のところは割と既視感のある、良くも悪くも安定的な作りのサスペンスでしょう。それはある意味では安心できる作りでもあるし、ある意味では物足りなさでもあるわけで。
まあちょっと「インド映画」に期待しすぎちゃう面はあると思うんですよ。我ながら。あれは特殊なんだろうと思いつつ、「きっと、うまくいく」と「PK」という超傑作があっただけに。
あの映画(どっちも)を観た時は本当に「他にないわ…!」と衝撃だっただけに、同じような衝撃を期待しちゃった面はあったんですが、さすがにそこまでではなかったかなと。
ただ繰り返しになりますが、それはそれで観やすく安心できる=大外ししないという側面もあるので、割と誰でも軽く手を出しやすい映画じゃないかなと思います。時間もちょうど2時間程度だし。
特にカット割がすごく洗練されていると言うか、最近よく観る「同じ動作の中間を省く」ようなつなぎ方でスピード感を出しているのはなかなかやるな〜と上から目線で評価しちゃうような感じで。あんまりこういうことをやるイメージがインド映画にないので。
衝撃のラストで目も覚める
ぶっちゃけ中盤から終盤にかけては、睡眠不足もあったんですが少し眠くなるぐらいには集中力を欠く面があったんですが、しかしラストの“映画として一番見せたいシーン”のところでは「えっ、ウソでしょ!?」と素直に驚きました。
これも冷静に考えれば特段珍しい展開でもないですが、ただ「普通のサスペンスですよ」と見せつつ最後はいきなりインド的思い切りの良さを発揮してくれた感じで、見事に作り手の思惑に乗っかっちゃったな〜という感じ。
何せちょっとウトウトしてるぐらいの状態だっただけに、一気に目が覚めて「インド人はあんまりナンを食べない」と知ったときと同じぐらいの衝撃が僕を襲いましたねマジで。
ちゃんとしたガチサスペンス
とは言え振り返ればかなりミスリードを誘う内容だったこともあるし、「最後のビックリ」でごまかされがちですが細かい部分で気になる点も多いので、手放しで「こりゃすげぇ!」とは言えないのも事実。
ものすごい辛い料理と似てますね。この辺ね。辛いから美味い気がしちゃうけど辛さを抜いたら味がなかった、みたいな。いやわかんないけど。多分。インドだけに。
まあでもホント、安っぽさがない「ちゃんとした」サスペンスになっているので、そこだけでもやっぱりここ最近のアジア映画はレベルが上がってきてるんだろうな、と感心しました。
何分僕はサスペンスが好きなだけにいろいろ細かい部分を気にするようになっちゃった面があるので、そうでもない人であればもっと素直に「すげぇ!」ってなってもおかしくない見どころのある映画だと思います。
インドらしからぬガチサスペンス、気になる方はぜひ。
このシーンがイイ!
やっぱりラストでしょうか。一番の見せ場なので。
ココが○
サスペンスらしく皆さん演技も自然だし、安っぽいシーンがないのは「マジでやるぞ」という意欲を感じます。
でもこの映画の一番の良さは編集じゃないかなぁ。本当にテンポの良いつなぎ方は洗練されている印象がありました。
ココが×
穿った見方をすれば、「ラストの展開で驚かせたいがためにミスリードをいくつも配置」する作り方なので、緻密さにはやや欠ける気はします。
まあでもそんなのは名作の誉れ高い「ユージュアル・サスペクツ」だってそうなので、この手の映画にそういう指摘はちょっと真面目すぎるのかもしれません。
MVA
失踪した旦那役の人が若い頃のジェフ・ゴールドブラムにものすごい似てるんですよ。マジで。ジェフっ子は必見だと思います。あんまり出てこないけど。
あと情報局の副長官・カーンさんは松村雄基っぽいので松村っ子もぜひ。
ということで今回はこちらの方に。
ヴィディヤ・バラン(ヴィディヤ役)
主人公の妊婦さん。文句なしにインド美人。
感極まる雰囲気もよく出てたし、まあさすが主役を張るだけあるよねという単純な感想。
観終わってから知りましたが、役名と名前が一緒なんですね。劇中何度も言ってたけど、この人も「ビディヤ」じゃなくて「ヴィディヤ」なんでしょうか。「ビディヤ」表記が多いようなんですが、なんとなく意を汲み取って「ヴィディヤ」さんにしておきます。