なんプロアワード 2015
みなさま、あけましておめでとうございます。
年明け一発目ということで、お馴染みなんプロアワードでございます。
実は昨年末、各所で一年を振り返るまとめ記事をいくつも見ながら、「やっぱり一年のまとめなんだし年末にやるべきかなー」と思ったりもしたんですが、結局年明けにしました。毎年なんだかんだで年末はバタバタなんですよね。
それにまあ、普通じゃない感じがいいじゃねーかよ、という思春期アウトロー的な発想で乗り切りたいと思います。
今年で7回目ですなぁですなぁ。
継続は力なりと言いますが、特に力になっていない気がしてならない昨今です。さて、そんなわけで毎年恒例のご説明。
[ルール]
- エントリー基準は「その年初めて観た映画」
- その中から勝手にベスト10を選定
- そのため古い映画も入って来るという謎のベスト10
- さらに生死関係なく、その年に観た映画に出ていた最もナイスな役者さんに主演男優 or 女優賞進呈
[言い訳コーナー]
ということで昨年の数字を追ってみますと、鑑賞数は56本(再鑑賞0本)、劇場鑑賞本数は11本でした。(俺様調べ)
開設当初を除き、通年では過去最低を記録。申し訳ございませぬ。理由としては、前半は思わぬFF11復帰によるドハマりで本数減、後半はもはや人生ベストゲームとなってしまったスプラトゥーン激ハマりによる本数減が主な理由となります。
特にスプラトゥーンは自分でも想像以上にハマってしまい、購入から半年以上経った現在でも未だに同じペースでハマっているという驚異的なゲームになりました。今もやってました。(不要な情報)
もうね、ほんとスプラトゥーンブログにしたほうがいいんじゃないのレベルで。まあリアルに平均的なウデマエなので書くこともないんですが。
ちなみに去年のなんプロアワードでは、「平日鑑賞も始めたから少なくとも100本は観る」と宣言していますが、ご覧の通りの体たらく、お恥ずかしい限りでございます。
ただ言い訳としては、ちょっと仕事の状況が変わってしまい、帰りは遅くなって祝日はほぼ出勤というクソ勤務形態になってしまったため、映画に割く時間を減らさざるを得なくなったところにスプラトゥーン、というお話。よって平日鑑賞もしていません。
体調も崩したりしてランニングもやめてしまい、ますます不健康になっていたりして、まあほんといろいろと悩ましく哀しい人生を歩んでおりますアラフォー独身野郎です。やぁ。(挨拶)
映画の時間を食った要素がすべて一人遊びという事実もまた哀愁を誘います。
参考までに、このブログを始めて以降の過去の鑑賞本数を調べてみたんですが、
- 2009年 21本(途中から開始)
- 2010年 66本
- 2011年 111本
- 2012年 141本
- 2013年 72本
- 2014年 79本
- 2015年 56本
と引退前の野球選手みたいな記録になってきましたが、まだ引退しませんので。戦力外通告とか受け付けておりませんので。よろしくどうぞ。
今年もまた、ゆるゆるとやっていく予定です。ただ本数はまだ減るかもしれません。スプラトゥーンやってるからね!(くどい)
[総評]
選出にあたり、今年はさすがにサンプルが少ないだけあって、若干小粒な印象となりました。
ただ、上位3作は例年通りどれも文句無しに名作・傑作と言える作品だと思います。4位以降はどれもかなり悩みましたが、まあそれなりに個人的趣向を反映したランキングになっているんじゃないかと思うので、僕と好みの傾向が近い人であればそこそこ参考になる10本でしょう。ただ、僕の好みはミニスカでパンツの色は…おっとそっちの好みじゃなかったですね失敬。
なんプロアワードベスト10・2015年版

『Re:LIFE ~リライフ~』

かつて大ヒット作を手がけたものの今や仕事のない落ちぶれた脚本家が、田舎の大学講師の職に就くことで新たな人生を歩み始めるヒューマンコメディ。
率直に言って、この映画は10位に入れるほどのレベルではないとは思いますが、ただもう最近書きまくっている通りとにかくヒュー・グラントのヒュー・グラントっぽさに弱い人間としては、これは入れとくべきかな、と思って選出と相成りました。…ですが、なぜ「ラブソングができるまで」ではなくこっちなのか、というと、いつものヒュー・グラントが楽しめつつもこの映画はラブコメ臭が強くないんですよね。
さすがに我らがおヒューも50代半ば、いい加減浮ついたラブコメだけではやっていけない…ってわけでもないでしょうが、恋愛要素はありつつも、どちらかと言うと自分の人生を見つめ直す観点が強いので、ラブコメよりもヒューマンコメディに寄っている点が大きなポイントと言えるでしょう。
まだまだ若者のつもりがしっかり中年となった自分としても、こうして「違う場所で新しい希望を見つめる」ドラマに弱い部分もあるし、それをいつもの感じのおヒューがやっている、っていうだけでたまらないものがあるわけですよ。
たまたまこれを観た日は土曜出社の夜、レイトショーで不釣り合いなほどデカいスクリーンに4人だけ、っていう環境も良かった気がしますね。すごく集中できるし、人が少ないガランとした劇場の独特な寂しさがまた余韻を増幅させる感じが。それにやっぱりレイトショーで観て帰りの車の中で一人しみじみ振り返る時間、これがまたいいんです。
劇中のおヒューも自分の人生を振り返り、やがて新しい道を見出していくわけですが、やっぱりこの人独特の、いい男なんだけどダメ人間として共感を誘う雰囲気が、この映画のシナリオに非常にマッチしていて、ベタだけど良い映画だなぁと感じさせてくれる要因になっているのは間違いありません。
映画好きにはたまらない、映画知識に訴えるセリフの数々も密かにポイントです。

『めまい』

妻の捜査を依頼された元警察官と、その妻のいろいろサスペンス。
ヒッチコック作品で初のアワード選出となりました。888888。
60年近く前の映画なのでさすがにアラが目立つ部分はあるものの、ストーリーはとても素晴らしかった記憶があります。特に“アメリカの良心”と呼ばれた名優、ジェームズ・ステュアートが、いつも通り紳士的な雰囲気だったのが徐々に変わっていき、狂気じみた執着心を見せる辺りからの展開が秀逸。
その意外性もそうですが、ラストの緊迫感にしても他のヒッチコック作品とは一線を画す名作だと思います。
散々書いている通りヒッチコック作品はイマイチ合わない気がしていたんですが、この映画に関してはもう一度観たいと思えるほど面白かったですね。
惜しむらくはヒロインのキム・ノヴァクがあんまり綺麗に感じられない点。「オーシャンズ11」でのジュリア・ロバーツと同じ感じです。(余計な報告)

『あなたに降る夢』

人々に愛される善良な警官が、レストランで知り合ったウェイトレスにチップを払おうとするも手元に無く、仕方なく直前に買った宝くじが当たったら半分あげるよ、と約束したところ見事当選、実際に半分あげたところ妻とトラブルになり…というロマコメ的ヒューマンコメディ。
この映画は1994年の作品ですが、いわゆる「80年代臭」みたいなものが色濃く感じられる、今観ると嘘くさいぐらいに善意に満ちた優しい世界が広がる映画です。もうほんと、この手の話には弱い。我ながらこの作品をチョイスする辺り、なんプロらしいなと思いますね。
多分、好きじゃない人が観たらもうほんとにしょうもない映画に見える気もするんですよ。偽善乙、的な。
でも、現実が世知辛いからこそ、映画の世界でぐらいこんな優しい世界を観て、少しだけでもその優しさを現実に持って来られたらいいじゃないですか。何より大幅に脚色されているとは言え、ベースは実話ですからね。事実は小説よりも奇なりと言いますが、実際バカみたいに実直な人間もいる、その事実だけでもほっこりしますよ。ええ話や。
とても優しい世界なだけに、“ぬるく”感じる面もあると思います。だからこそ人を選ぶ部分があると思いますが、それだけに少し落ち込んだ時とか、やさぐれてどうしようもない時とかに観ると、少しだけ和らぐかもしれません。まだまだ世の中捨てたもんやないで、と。
若干古い映画で今とは時代が違う分、そうそうストレートに受け止められない部分もありますが、とは言えこういう世界を信じたい、こういう世界になって欲しいと思えるだけでも癒やしになる気もするし、心の優しい人たちにはオススメしたい一作です。
もちろん僕は心が優しいので選出したわけですので、その辺についてのツッコミは受け付けておりません。

『ヴィンセントが教えてくれたこと』

酒・女・ギャンブルにタバコも好きで、ガサツで気難しいというすべてが揃った腐れジジイ・ヴィンセントと、その隣に引っ越してきた母子家庭の子ども・オリバーの友情物語。
ヒュー・グラントほどではないにせよ、大好きな俳優さんですビル・マーレイ。そんな彼が主演するヒューマンコメディってことで、こんなの映画ファンとしてはつまらないわけがない。とは言えシナリオがダメだと当然つまらないわけですが、その辺もしっかりクリアしてくれたこの作品。
もうとにかくビル・マーレイのクズ男っぷりが見事すぎてリアルすぎて、序盤は全然彼を好きになれない感じなんですが、それが徐々に好意に変わっていく作り方がウマい。その観客の感情は、相手役と言える子ども・オリバーのフィルターとリンクしているわけで、つまりは観客がオリバーにシンパシーを感じるところにこの映画のうまさがあるのかなと思います。
ピークはまさに「オリバーから見たヴィンセント」の話なので、そりゃーグッと来ないはずがない。特に男性にとってはなんとなくわかる、歳の離れた同性との友情、みたいな世界がまたイイ。
それと書かないわけにいかない点として、オリバー役のジェイデン・リーベラー君のかわいさ。もう単純にめちゃくちゃかわいいです。聡明そうな雰囲気も役に合ってて◎。この子は本当に洋ショタ好きにはたまらないと思うので、その辺の嗜好をお持ちの方は必ず観るべき映画でしょう。

『ワン チャンス』

オペラ歌手ポール・ポッツの半生を元にしたヒューマンコメディ。
「オペラ歌手の半生を元にしたサクセス・ストーリー」と言われると正直大して興味を持てない感じなんですが、ところがどっこいこれがイギリスのヒューマンコメディとして脚色されるととんでもない良作になるんだな、という実例。
もうくどいほど書いてますが、僕はいわゆるブリティッシュヒューマンコメディが最も好きなジャンルと言っていいので、とにかくこの手の映画には弱いし甘いわけですが、でも実際この映画なんて誰にオススメしてもそれなりに評価される良い映画だと思うんですよね。嫌味がないし、過度な演出も無いから鼻につかないし、安心して観ていられます。
それこそ(結ばれるシーンはありますが)学校で流しても良いレベルの、教育にも使えそうな安心作。かと言って人畜無害なクソつまらない映画ではない辺りが、ブリティッシュヒューマンコメディの良さでしょう。
でも悲しいかな、美男美女押しではない、小太り男子がジャケットで歌っているだけという地味さも手伝って、あまり映画好き以外には広まらない仕様なのが悔やまれます。
それはさておき、ネットで出会った彼女とのアレコレもすごく良いスパイスになってるし、周りの仲間たちもいい味を出していて、ゆるいようでいて隙のない作り。この映画がダメ、って人はちょっと哀しい気がします。
常時万人にオススメできるということで、自分の中では二代目「キンキーブーツ」という位置付けになりました。ことあるごとにオススメしてみて反応を伺おうかなと思います。

『鍵泥棒のメソッド』

風呂場で記憶をなくした殺し屋と、極貧故に彼と入れ替わって贅沢しようとした貧乏役者。ところが貧乏役者に何やら怪しい人物が接触してきて…というサスペンスコメディ。
今回のなんプロアワードにおいては唯一の邦画です。というか邦画自体ほぼ観ないだけに邦画で選出自体がかなりレアなので、もう選んだ時点でそのレベルの高さはお察し、ってやつですよ。
監督・脚本は内田けんじ。内田けんじ監督はこの前に作った「アフタースクール」もなんプロアワードに入れようか最後まで悩んだぐらいに面白かったので、そのハードルを超えてまた楽しませてくれた今作には舌を巻きました。
某SFコメディが大酷評の嵐に見舞われた某M谷監督はこの人の映画を観たら何を感じるんでしょうか。もはや力の差は歴然、自分だったら恥ずかしくてあんなに大プッシュされたくないです。まあ、某SFコメディは観てないけど。
話が逸れましたが、入れ替わりサスペンスコメディのこの映画。入れ替わりだけにシチュエーション的に笑いを取りやすい面はあるものの、当然そこだけにとどまらない二転三転の展開がありつつ、軽さと脚本の妙を両立した素晴らしい作品です。
ごくごく当たり前の話ですが、邦画は母国語の映画故に洋画よりも細かいニュアンスがわかるハズで、こういうニュアンスが大事な笑いの映画をしっかり理解して観られる、っていうのはすごく嬉しいなーと思います。
おまけに、この映画はまさに某M谷監督が好きなビリー・ワイルダーの作品のような、「観客のみがすべてを知っている神の目線」で観ている楽しさと、そこを裏切ることによる驚きを入れ込む技巧が相まってとにかく作りがウマい。“和製ビリー・ワイルダー”はこの人の称号かもしれません。
今後も内田けんじ監督の作品はものすごく期待しています。もしかしたら、人生初の劇場鑑賞邦画はこの人の映画になるかもしれません。
※幼少期に観たドラえもんと、0巻欲しさにカップル&ファミリーまみれの中血の涙を流しつつ観に行ったワンピースフィルム・ストロングワールドを除く

『ゴーン・ガール』

突如として失踪した妻を探して欲しいとメディアに訴えた夫だが、実は夫婦がうまくいっていなかったことが知れ渡ったことで次第に「お前が殺したんじゃね?」と疑いをかけられ…というサスペンス。
あらすじからしていかにもサスペンス好きの心を鷲掴みにする内容なんですが、それをデヴィッド・フィンチャーが監督しました、ってことでそりゃー面白いに決まってます。
このテの映画は大体予告編でどういう話か予想を立てるもんですが、そこをもちろんしっかり裏切って、最後まで目が離せない展開にするというサスペンスのお手本映画。何よりも予想しろ、っていうのが難しいほど、奥さんがイッちゃってるのが素晴らしい。こんな人間いたら敵わないよね、というある種異常な人物が“被害者”として世間をかき回す恐怖。そしてそれに立ち向かうのはいかにも凡庸な男。この構図の恐ろしさったらもう無いですね。
本当に怖い話でした。何が怖い、って実際にやれそうなところが怖い。完全にそのつもりで近付かれたら防ぎようのない恐怖。はー、独り身で本当に良かった。
…良かった。(涙)

『キングスマン』

どの国にも所属しないスパイ組織「キングスマン」の新人選考と、悪の陰謀との戦いを描くスパイアクション映画。
「スパイアクション映画」とは書きましたが、もはやそのレベルにとどまらない、いろいろてんこ盛りなスパイ映画。
去年はスパイ映画がとにかく盛りだくさんでしたが、終わってみれば大本命の大作2作(「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」「007 スペクター」)を軽く凌ぐ名作っぷりでこの映画がナンバーワンだったな、と思います。
設定やら小道具類やらからすればかなり荒唐無稽なスパイ映画なのかな、と思っていましたが、その実なかなかシリアスだったりコメディチックだったり緩急の織り交ぜ方がうまい映画で、良い意味での観客のミスリードが気持ちいいほど決まっていました。
オープニングも強烈なミスリード的展開でしたが、何と言ってもあの人のアレが衝撃。最後まで「もしかしたら…」と思っていましたが、反面、そういうことをしなさそうな映画だなとも思っていたので、ああなったのはショックなものの、安易に戻さなかったのもまた素晴らしいな、と思ったり。ネタバレを避けるために曖昧に書いてますが、観た人ならわかるはずですそういうことです。
加えてとにかくアメリカをバカにしまくった振りきりっぷりも最高。物語のピークとなる「威風堂々」のシーンは映画史に残る名シーンと言っても過言ではないでしょう。劇場で観ながら大笑いしました。本当に笑ったし本当に最高のシーン。毒も乗せつつグロく見せない天才的な手法。
「マジマシュー・ヴォーンすげーマジマシュー」と言っちゃうことウケアイです。あのシーンだけでももう一回観たい、そのためにブルーレイ買いたい、と思っちゃうぐらいに名シーンだし名作でした。
続編も決定とのことで、これまた非常に楽しみです。しかも噂ではリップサービスレベルではなく、日本でロケをするとかなんとか…。実現して欲しいなぁ。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』

ミュージカルが好きな盲目の母親が、息子も盲目にならないようにとお金を貯めていたが…というミュージカルドラマ。
正直なところ、衝撃度とか感情移入の面ではダントツの1位でした。去年に限らず、ここ何年か観た映画の中でもずば抜けて衝撃的だったと思います。
まあとにかく泣いた泣いた。泣きすぎました。こんな話あるかよ、ってとにかく悲しくて泣きました。話があまりにも辛すぎるので2位にした感じ。映画のレベルとか心に残るという意味では1位。
でも、辛すぎる。
まったく他人事の作り物でここまで心を揺さぶられるっていうのはすごいことだと改めて思います。映画ってすげーな、と。
オープニングからしばらくはとても地味で、劇伴も入ってこないし撮り方も手持ち主体だしで、どことなくドキュメンタリーっぽく見えるんですが、それが後々感情に響いてくるんですよね。とてもうまい撮り方だと思います。そしてズルいやり方だとも思う。
とにかくリアリティがあるというか…いや、生々しい、って感じですかね。文字にすると。作り物で観客になりきれればそこまで辛くなったりもしないんでしょうが、あまりにも生々しいので刺さりすぎる感じが辛い、でもそれだけすごい映画だなと感じる、という。
もう二度と観るまい…と思っていましたが、やっぱり1年近く経ってまた観てみたくなってきてたりもします。んー、でもやっぱり重すぎるんだよな、この映画は…。ソフトを持っておきたい気もするけどパッケージすら空けなさそうだから買うのもなんだし、みたいな。
ただ、間違いなく歴史に残る名作と言い切っていい作品だと思うので、映画好きを自認する未見の方は一度観ておいた方がいいでしょう。
…と、今さらオススメしているダサさ、ね。
全然関係ないですが、後日ビョークのPVを見て怖かったのでご紹介しておきます。
ビョーク「all is full of love」

『アパートの鍵貸します』

お偉いさんの不倫用に自室を貸して人事評価を上げるサラリーマンが、ようやく念願叶って出世することになるも、上司となる人事部長の不倫相手は自分がほのかに恋心を寄せるエレベーターガールだった…という元祖ラブコメ。
55年前のビリー・ワイルダーの映画。モノクロです。
が、これはもう本当に「不朽の名作」という言葉が似合う、名作中の名作だと思います。
結構いろいろと古い映画も観てきて、それこそ「不朽の名作」と言われる作品も観てきましたが、率直に言って大して面白く無い映画もたくさんありました。それはもちろん僕の理解力のなさに起因する部分も多いとは思いますが、それ以外にも今から観ると古かったり、(後発の映画のせいで)既視感のある内容だったり、と理由は様々ありました。
ですが、この映画に関してはまったくそんな不満や違和感を感じることもなく、ただただ単純に面白かったし、めちゃくちゃ良かった。去年唯一満点を付けた映画ですが、「こんなの満点しかねーだろ!!(ばちこーん!)」と気持ちよく採点できました。
どうでもいい話だとは思いますが、僕なりにそれなりにこだわりがあって、満点っていうのは本当に悩んで悩んで、相当いい映画にしか付けないようにしてるんですが、この映画に関してはまったく迷わずに自信を持って付けました。
その理由としては、やっぱりラストシーンの良さなんですよね。
もうこれほど完璧なラストシーンは観たこと無いぞ、っていうぐらいに素晴らしいラストで。大体「この結末ならこうなるでしょ」って誰もが思う展開の数段上を行くオシャレなラスト。このエンディングで迷わず満点を付けられた部分はあると思います。
そしてそのスーパー素晴らしいエンディングが今観てもまったく色褪せていないほど、他に類似するものがない素晴らしさ。これはもう奇跡ですね。
そのエンディングにしてもそうなんですが、劇中はとにかく伏線の見せ方、回収の仕方もうまくて、これだけ昔に今観ても唸っちゃうレベルの展開を作る、っていうことがまたすごい。いかにビリー・ワイルダーという人がすごい人だったのか、この一本で嫌というほど思い知りました。
加えて本レビューにも書きましたが、とにかくセリフがオシャレ。これはきっと邦訳を担当した方の技量も多分に影響していると思いますが、まーセリフの一つひとつがきらびやかでニクいんですよ。昔の映画ってこういう部分あるよなぁ、と改めて感じました。
僕は勝手にこの映画はラブコメの走りだと思っているんですが、ただそう言いつつも、今の時代に感じる「ラブコメ」のイメージよりももっとオシャレで、苦味もある大人の味わいを感じる映画だと思います。そんな映画を、名優ジャック・レモンとキュートさが爆発している時期のシャーリー・マクレーンが演じるということで、どこを取っても隙がない名作と言っていいでしょう。
映画が好きなのに観たことがないなら、人生を損していると言っていいレベルだと思います。未見の方はぜひ!!
クリスマスとかに観るといい感じです。きっと。
勝手に選出・AOY(Actor or Actress Of the Year)
最後は恒例、最優秀俳優or女優賞の発表。
今年はちょっと悩んだんですが、んーでもやっぱりこの人かな、ということで。初の2回目の選出となります。
ヒュー・グラント
- 「コードネーム U.N.C.L.E.」ウェーバリー役
- 「Re:LIFE ~リライフ~」キース・マイケルズ役
- 「ラブソングができるまで」アレックス・フレッチャー役
まあもう散々書いてるので今さらどうこう書いても仕方ないんですが、今年は改めてこの人いいな、っていうか一番好きな俳優だな、って気付いたので、やっぱりこの人にしておこうかな、と。
今年観た中では「コードネーム U.N.C.L.E.」での後半一気に美味しいところを持っていく感じも最高だし、「Re:LIFE ~リライフ~」でのオッサンのくせにJDを頂いちゃうリアルさも最高だし、「ラブソングができるまで」での80年代PVも最高だし、とにかく最高。何から何まで素晴らしいです。全部の映画で、佇まいのすべてがヒュー・グラントしてます。
ご本人も「僕は演技の幅が狭いからいつも同じような役しかできないんだ」と仰っていましたが、逆にその“いつも同じような役”だからこそいいんです。この人は。変に悪役とかで観たくないし、そう思える人もなかなか珍しい。これからもずっと、愛すべきダメ人間俳優として、軽快で楽しい演技を見せ続けて頂きたいと思います!

ということで今年もゆるゆるとよろしくお願い致します。毎年良い一年になるように願掛けしていましたが、まったく効果もないので今年はやめておきます。