映画レビュー1215 『ナンバー・スリー』

今回もJAIHOです。

八月のクリスマス」を観たあとにいろいろ調べてたらWikipediaのハン・ソッキュのページに『出演作を決定する際はシナリオを最重要視することで知られており、その人気もあいまって「韓国映画界のあらゆるシナリオはハン・ソッキュを通過する」と言われていたこともあった』とあって、じゃあハン・ソッキュ追ってたら良い映画に出会えるのでは? と思っていた矢先にこの映画が配信されたので観てみることに。韓国ノワールって書いてあったし。

ナンバー・スリー

Number Three No.3
監督

ソン・ヌンハン

脚本

ソン・ヌンハン

出演

ハン・ソッキュ
チェ・ミンシク
ソン・ガンホ
イ・ミヨン
アン・ソクァン
パク・サンミョン
パン・ウニ

音楽

チョ・ドンイク

公開

1997年8月2日 韓国

上映時間

108分

製作国

韓国

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

ナンバー・スリー

絶妙にダサい。

6.5
No.2のつもりがずっとNo.3、しがないヤクザ稼業のこの先どうする?
  • 親分を守ったことでチンピラからNo.3に昇格した男
  • 暴力バカが目の上のたんこぶ的なNo.2に君臨
  • 頑張ってるものの妻が怪しげな詩人と不倫したりチンピラに襲われたりと冴えないヤクザ
  • 全体的に漂うバブリーでトレンディな雰囲気が絶妙にダサい

あらすじ

JAIHOの紹介に「ノワール・アクション」とあったので観たわけですが、これはどっちかって言うとヤクザコメディですね。なんなら。

当然コメディ感はそんなに強くはないんですが、ちょっとシニカルなコメディと言うか。そんな感じでちょっと期待とはズレちゃったかな〜と。

ヤクザ「トガン派」の親分・ドシク(アン・ソクァン)が襲われ、命は助かったものの再度襲撃があるぞ的な状況の中、組織の末端で冴えない日々を送るテジュ(ハン・ソッキュ)は彼を匿ったことでめでたく引き上げられ、組織のNo.2に。

…と思いきやNo.2はドシクを襲った首謀者を葬ったパワータイプヤクザ“灰皿”ことジェチョル(パク・サンミョン)であり、彼はNo.3に。

頭を使うのが苦手ですぐに手を上げる“灰皿”よりも自分が下であることにやるせない思いがありつつ、なんとか上を伺おうと日々のヤクザ稼業を頑張りますが序列は変わらず。

そんな中、同じマンションにはヤクザを目の敵にしている検事マ・ドンパル(チェ・ミンシク)が住んでおり、明確な敵意をぶつけられるテジュ。

一方ドシク殺害に失敗したジョピル(ソン・ガンホ)は山にこもって下っ端3人と修業に励み、新たな組織の立ち上げを計画しているのであった…!

あらゆる面で時代を感じる

原題は「ナンバー・スリー No.3」。「Mr.Boo! ミスター・ブー」的な感じです。

後に「シュリ」で大ブレイクを果たすハン・ソッキュ、チェ・ミンシク、ソン・ガンホの3人が共演した記念すべき映画のようです。

意図しているか否かは別としてかなりB級感もあるので、好きな人はかなり好きそうな気もします。マニアックな人気がありそう。

一言で言うと「ヤクザもつらいよ」的な内容なんですが、「ヤクザも普通の人」っぽさを醸し出す等身大感はなかなか面白くもあって、話自体は総じて悪くなかったように思います。

ただもうあらゆる面でモロに「時代」を感じさせる部分が多く、作りのせいで後年観るにはいろいろしんどい映画でもありますね。逆にそこがいい、って人もいるんだろうとは思いますが。

ちらっと見たところフィルマークスでは「Vシネ」と言っている人が結構いて、もう本当にそうだなと頷くしかありません。超Vシネっぽい。かと言ってVシネ一本しっかり観たこともないのであくまで「それっぽい」印象でしか無いんですが。「Vシネ」という単語から浮かび上がる絶妙なチープ感があるというか。

主演のハン・ソッキュの髪型からして絶妙にダサく、時代を感じます。「宇都宮隆じゃん!」って言ってる人がいてめちゃくちゃ笑いました。本当にあの感じ。

劇伴のイメージも一昔前感がほとばしってるし、ファッションから何から全体的にバブリーでトレンディ。この頃は韓国もこういう感じだったんだな〜と妙に納得してしまいました。

また「Vシネ」感の一助となっているのが画質の悪さで、DVDどころかVHSの画質です。

僕はクソデカで観てますからね。75インチで。自慢ですけども。最初にボケボケすぎるのを観てやめようか悩んだぐらいひどい画質でした。

フィルムで撮っていればリマスタリングできるはずなので、フィルムで撮っていないか、はたまた昔の画質のまま持ってきたのか…真偽のほどはわかりませんが、どちらにせよ現状の環境ではなかなか見るに堪えないレベルでした。

…とまあいくつか腐しましたが、どれも“時代”を強く反映した諸々なので今観て文句を言うのも違うのかな、とは思います。

ただ「当時の流行を追うと陳腐化する」のは古今東西問わず間違いない話でもあるし、その道を行った以上現代の人間が観てそう感じてしまうのはやむを得ないところでしょう。

それを込みで愛せるかどうかがポイントで、僕はその辺が合いませんでした。

ただ「好きだ」と言っている人たちもそのチープさを愛している可能性もあり、僕のケースで言えば「中国超人インフラマン」がめちゃくちゃ好きなのと同じようなものである可能性があるので、果たしてどこまで作品そのものが評価されているのかはよくわかりません。

妙にカッコつけた感じがこれまたダサかったり、いろいろ今となってはズレてしまっている部分をどう捉えるかによって感じ方が変わる映画だと思うので、こればっかりは観てもらうしかないわけですが…そのためだけに観ろよとも言いづらいぐらいに画質が悪いのがまたタチが悪いというか…。せめて映像が「見られるレベル」だったらなぁと思わざるを得ません。それぐらい画質が悪い。

キャストに興味があれば

最初に書いた通り一応お目当てはハン・ソッキュ(が出ているからいい映画なのではという期待)だったんですが、ひと目見てすぐわかるソン・ガンホ(若すぎて高校生みたいだけど)はともかく、「新しき世界」でしか見たことがなかったチェ・ミンシクに気付けたのがなんか嬉しい。途中ではたと気付きました。「この目は…!」みたいな。

まあそんなわけで韓国映画のトップ俳優たちの共演がこんなバブリー映画で観られる、そのレアさが一番の見所なのかもしれません。

それにしてもくどいようですが惜しむらくは画質の悪さ。本当にひどかったんですよ…。今どきこの画質でそのまま配信している映画って無いんじゃないか…。

作品重視ではあるんでしょうが、JAIHOはさすがにもうちょっと対処してから持ってきて欲しかったところです。

このシーンがイイ!

ソン・ガンホが部下を教育しているシーンが一番バカっぽくてよかったですね。バカがバカを率いて一発当ててやろうとする無謀感。

ココが○

上に書いた通り、話はそんなに悪くないんですよねー。今っぽく作り直したらもっと良い映画になりそうな気がする。

ココが×

これまた上に書いた通りです。あらゆる面で時代を感じるのもそうですが、一番は画質の悪さ。画質が悪いと本当に観るのがしんどいんだな、と改めて思いました。

あとラストシーンなにあれ!? これいる!? と思いましたとさ。

それと日本ディスのシーンはいらんのではないかなーと思います。言っている内容云々は置いといたとしても、なんとなくウケ狙い的に無理矢理詰め込んだような不自然さを感じました。あそこであえて日本人持ってくる必要なくね? みたいな。しかも日本語が超おかしい。

MVA

悩んだんですが…この人に。

パン・ウニ(ジナ役)

親分ドシクの妻。「この人だよな? 面影あるし」と調べるのに苦労しました…。

美人だし身体張ってるし怪しげだしで消去法的にこのお方に。

もちろん主要3人も悪くなかったんですけどね。なんとなく一番印象に残ったのはこの人だったなぁ、と。

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