映画レビュー0266 『幸せのちから』

この映画にしてもこの前観た「幸せへのキセキ」にしても、「幸せ~~」って邦題は安易過ぎて入り口から閉口しちゃうわけですが、前回ご紹介のセンスドゼロ邦題と言い、邦題付けてるバカどもは何考えてんだ!! といきり立っていたらタイミングよくYahoo! ニュースに「外国映画のタイトル、邦題と宣伝のポイントとは?」なんて記事が。

紹介記事の映画は観てないだけにあんまり勝手なことも言えませんが、したり顔で「売るためにはこれしかない」とかよくもまあ言えるなとポカーン。

いや、この人がドゼロ邦題を付けているわけではないんでしょうが、概して「邦題のセンスの無さ」は異様だと思いますがどうなんでしょうか。古い映画はすごくうまい映画も多いと思うんですけどね。「明日に向って撃て!」とか。今度気が向いたら「センスのいい邦題&センスドゼロ邦題」でもまとめようかな…。

今のところこのブログに取り上げたもの限定で言えば、良い方の1位はもちろん「あの頃ペニー・レインと」。「チャーリー」なんかもいいですね。

ドゼロの方の1位は「僕らのミライへ逆回転」でしょうか。「ぼくのエリ 200歳の少女」なんかも内容から考えるとヒドイことこの上ないですね。

もっとも、いかにも話題の作品に便乗してやろう的な、AV的パクリタイトル(「ハングオーバー!?」とか)はこの辺りを凌駕したひどさがありますが、そういうのは最初から観ないという話。

長くなりました。本編です。

幸せのちから

The Pursuit of Happyness
監督
ガブリエレ・ムッチーノ
脚本
出演
ジェイデン・スミス
タンディ・ニュートン
ブライアン・ホウ
ジェームズ・カレン
音楽
公開
2006年12月15日 アメリカ
上映時間
117分
製作国
アメリカ

幸せのちから

まったく売れない医療機器セールスの仕事をするクリスは、その日暮らしもままならない状況で家賃も滞納、生きていくのも大変な日々。そんなある日、真っ赤なフェラーリに乗る人物に「何の仕事をしていて、どうやって成功したのか」を尋ねる。彼との会話で“その気になった”クリスは、ある証券会社の研修生に応募する。

デカイ感動は無いものの、いい映画。

7.5

最初に「実話からヒントを得た話」的な説明が出ますが、このウィル・スミス演じるクリス・ガードナーという人は実在する人物で、実はラストシーンにちらっと登場したりしてます。

それはさておき、個人的に実話ベースの感動モノはハズレが少ないと思ってはいますが、この「ヒントを得た」という部分がクセモノで、何やら大げさな展開で嘘臭く仕上がってんじゃないの…と思いましたがそんなこともなく。劇的と言うよりは実直な、真っ当な彼の努力やしんどいまでの追い込まれっぷりがベースの話で、真面目に作られていたのが良かったです。

大して上手く行っていない医療機器セールスの仕事から一念発起、トレーダー(と言うよりは証券会社の営業)になってビッグマネーをつかんじゃる! と大手証券会社の研修生になり、さらにその20人の中から1人だけが選ばれる正社員への道を目指す、というお話。

ほぼ全編、この研修期間を描いたお話で、その後の付け足しもほとんどなく、言ってみれば「ひたすら苦労して貧困に喘ぎながらもがんばる男」の物語です。

研修中は無給のため、元々余裕の無かった生活がさらに厳しく、結局ホームレスになるほど追い込まれる親子の姿はなかなかしんどいものですが、仕事中の前向きで人懐っこいウィル・スミスの姿のおかげかあまり悲壮感はありません。それが良いのか悪いのかは観る人次第な気はしますが、あんまり重たくなると本当に観てる方もしんどくなるので、総じてバランスは良かったように思います。

ウィル・スミスは一時期この手のヒューマンドラマ系によく出ていた気がしますが、実は僕がそういう系のウィル・スミスをしっかり観たのはこれが初めて。どうしてもウィル・スミスと言うと「メン・イン・ブラック」シリーズのような、ハイテンションで声裏返りながらガミガミ言うようなイメージが強いので、こういう役もしっかりこなす辺り、やっぱりさすがトップスターの一人だな、と感心。(何様)

タイトルからしても大体結末が見えている面はありますが、それでも割と惹きつけてくれたのは、そのウィル・スミスのうまさと、彼の実の息子の愛らしさと、置かれた状況の過酷さと、ひたむきな彼の性格と、いろんな要素が複合的に絡み合ったおかげかな、と思います。やっぱり前向きさって大事だなーと改めて思いますね。

ただ、この映画で彼が見せてくれる前向きさは、決して楽観的で何も考えていないようなものではないんですよね。前向きさというよりは鈍感力というか、打たれ強さがすごく印象的で、すぐ脳内撤退して危ない橋を渡ろうとしない自分の戒めにもなりました。ちょっと開き直るだけで人生はだいぶ変わるんだろうな、と思ったり…。

「失敗を恐れない姿勢」なんて言うと、もうありきたり過ぎて頭に入ってこない言葉だと思いますが、この映画の彼を観てるとその意味がよくわかります。怖がらずに相手の懐に入ろうとする姿勢。それが何度も彼自身を救ってます。いろいろ学べるものがある話だなぁ、と感じました。

それと、僕も金がナイナイ女もイナイイナイ言ってはいますが、定職と寝泊まりする家があるだけ幸せだな、と深く感じましたね。それだけ彼の状況は過酷だし、おまけに子供まで連れてるんだから自分だったら生きていけないんじゃないか、と思わずにはいられませんでした。

ただ、その過酷な状況が故のハングリー精神で勝ち取っていけるものもあるわけで、中途半端に「あるものはあるけど無いものはいつまで経っても手に入らない」みたいな自分の状況もどうなんだろう、とふと考えさせられる面もありました。

自分自身、仕切り直すにはちょっと歳を取っちゃった気はしますが、それでもこの映画もまた、いつかどこかで自分に役立つエッセンスがあったような気がするし、観て良かったと思いますね。こういう映画こそ、まだ可能性のある、第二新卒ぐらいまでの若い人に観て欲しいなぁ。

僕もついこの前までそれぐらいの年齢だと思ってたんですが、ほんとーーーーーーに30過ぎると早い。

時間が一番残酷です、というまとめ。

このシーンがイイ!

トイレのシーンとかもかなり良かったですが、一番は断然、「いいシャツ」のシーン。あのシーンのウィル・スミス、すーごいよかった。あの表情。

ココが○

不思議と時間が経つのが早く感じるような映画で、きっとエピソードの差し込み方がいいんでしょうね。研修期間に絞った作りだったのが良かったのかも。

ココが×

やっぱりどうしても入り口で答えがわかる面はあるので、彼の目的が見えた時点で“予想以上の感動!”みたいなことにはならないのが残念。

いい映画ですが、答えがわかりやすい時点で突き抜けない悲しさみたいなものがあります。

MVA

「実の息子と共演!」とかってもう話題先行とエゴ丸出しで嫌いなんですが、でもウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスはかわいいしひたむきだし、しっかり泣く演技もできてたしでなかなか良かったです。ただこの映画はやっぱり、

ウィル・スミス(クリス・ガードナー役)

しかいないでしょうねぇ…。

本当にあの「いいシャツ」のシーンはものすごく良かった。あの目からいろんな思いが読み取れて。おお、こんなすごい演技もするんだ、と感動。またも泣いちゃいましたねー。ちょこっと。

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