映画レビュー0548 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

ちょっと順番的にはズレましたが、まだ観てなかったのでこれも借りてきました。前作と比べるとだいぶ評判が良さそうなので、ちょっと期待しつつ。

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

Captain America: The Winter Soldier
ある日、S.H.I.E.L.D.の船が海賊によって占拠される事件が起き、解決のためにキャプテン・アメリカとブラック・ウィドウが出動。鎮圧の最中、ブラック・ウィドウが別の任務を与えられていることを知ったキャプテン・アメリカは、帰還後、S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリーを問い詰める。そこでS.H.I.E.L.D.が一般市民を監視し、危険人物を排除する「インサイト計画」を進めていることを知ったキャプテン・アメリカだったが…。

サスペンス風味強めでグッド。

8.5

キャプテン・アメリカシリーズとしては2作目、「アイアンマン」から始まったマーベルシリーズの「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズとしては「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」の次、9作目に当たる今作。この後は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」、その次に「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」という展開。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」も観ていないのでまた機会があったら借りてこようと思いますが、まあしかしすごいですねマーベル。それぞれの出来がしっかりしているからこそ、ではあるものの、やっぱりこれだけいろんな作品がつながってくると、どうしても「ん~、じゃあこれも一応観ておくか…」ってならざるを得ないじゃないですか。まんまと手の平ダンスなわけですが、でも面白いからまあいいか、と言う単純な感想。

そう、結局面白いんですよ。

この作品も個人的にイマイチだった前作からしっかり修正して、キレのあるアクションとうまく惹きつけるストーリーでしっかり楽しませて頂きました。突き抜けるすごさは無かったものの、ここが基準点となり得るレベルの高さ、安定感はさすがの一言。

もちろん不満点が無いわけではないですが、ただ思っていた以上にマンネリ感も少ないし、さすが最近は娯楽映画も相当な工夫がなされていることがわかります。

正直、恐ろしいですね。間違いなく「最大公約数が好むであろう展開」をビッグデータで導き出し、計算され尽くしたタイミングで問題発生から快感描写まで作っているだろうし、人・金・時間とすべてでとんでもないリソースが割かれている世界。

ことハリウッド大作に関して言えば、一昔前のすぐに展開がすべて読める娯楽映画はほとんど無くなりましたね。今は考える暇を与えたらダメ、というぐらいにスピーディーな展開で、次から次へと物語を展開する物量作戦的な力技がものすごい。これはちょっと…同じ土俵で勝負をするには世界中のどこでも勝てないのは間違いないでしょう。とても邦画が太刀打ちできる相手ではありません。(あくまで同じ土俵では、というお話です)

もちろん「マーベル原作」という縛りがある以上、いろいろと突っ込みどころはあるし、嫌いな人目線で観ればいちゃもんのつけようはいくらでもあります。

相変わらずシールドが万能すぎるし、銃で撃つならシールドじゃなくて足元撃てよ、とか基本的なことも思うし、いちいち書きませんが気になる点もたくさんあります。特にキャプテン・アメリカはアイアンマンのような他のスーパーヒーローと比べると戦い方が地味で肉弾戦限定にせざるを得ないし、空も飛べないのでどうしても無理が出てくる場面があります。

そして何よりも、そもそも前作ありき、マーベル・シネマティック・ユニバースありきの作品なので、他をまったく観ていない人がこの映画を観たところでわからないことだらけでチンプンカンプンなのも確かで、「万人向けの娯楽映画でありつつも観る人を選んでいる」という矛盾をはらんでいるのも事実です。

前作を観た僕ですら忘れてるようなエピソードも多く、“事前学習”に膨大な時間を必要とするという意味では、あまり気軽に観られる映画というわけでもありません。

これはマーベル・シネマティック・ユニバース作品すべてに言える部分でしょうし、「ついていくなら全部観る」、それが嫌なら全部観ない、という両極端な鑑賞方法を求められるシリーズなので、好きなマンガの単行本を買い続けるか、それともどこかでやめるか、それに似たような忠誠心を求められるという映画としては珍しいパターンのシリーズと言えるでしょう。

とは言え、そういう作りだからこそできるうまさも光るわけで、僕はその辺りに少し思うところがありつつもこのシリーズはこれでいいのかな、という気がします。

こと今作に関しては「キャプテン・アメリカ」という古臭いアイコンを見事に現代的に(前作以上に)リブートして定着させたという意味で、とても出来の良いスーパーヒーロー映画になっていると思います。

今回はS.H.I.E.L.D.内部に問題が発生し、(常套句ですが)かつて無いほどの危機を招いていることで、緊張感もサスペンス的な興味も強まるしっかりとしたストーリー。S.H.I.E.L.D.の危機の割にアイアンマンとか一切出てこないのはどうなんだ、とこれまたマーベル的疑問点に突っ込みつつも、まあこれはキャップの映画だからいいか、と観客としても寛容な姿勢で観るのが吉、でしょう。

また、今回はキャップとブラック・ウィドウのダブル主役という感じで、よりチームワーク的な活動が中心になっているのも○。ブラック・ウィドウは言ってみれば「普通の人間の強い人」でしかないので単発としては作りにくい面もあるだろうし、でもキャラ的にも女優的にも残さないといけないぞ、ってことでこうしてスーパーヒーローとしてはやや面白みに欠けるキャップと抱き合わせで販売する、というのはファミコン時代の抱き合わせ商法を彷彿とさせて我々オッサン世代を泣かせてくれます。

最近流行りの選民思想的な陰謀も、このシリーズならではのバックボーンとともに語られるのでそれなりに納得感もあり、アクションとしても定番ではありながらキレもよく、特にスカーレット・ヨハンソンのアクションは「アイアンマン2」の頃とは比にならないほど良くなってきていると思います。

総じて隙のない、マーベル・シネマティック・ユニバースが好きな人であれば特に不満のない仕上がりになっているでしょう。僕のように、前作にイマイチ感を感じた人たちでも満足できる内容だと思うので、今後も観ていくつもりであれば必見だし、また損はしない映画ではないでしょうか。

このシーンがイイ!

エレベーターでの格闘シーンは初めて観てなかなか新鮮でした。まーいろいろ工夫しますよね。

ココが○

ふと思ったんですが、最近「このCGよく出来てるなぁ」って感想を言わなくなったんですよね。それぐらい、いつからかCGがまったく気にならないレベルになっていて。この技術の進歩はすごいですよやっぱり。改めて思いました。

ココが×

やっぱり事前学習が必要な部分が多い点でしょうか。キーとなる親友もすっかり忘れてたし。可能であれば1から連続で観るのが一番良いと思います。

MVA

相変わらずマリア・ヒル役のコビー・スマルダーズがずるい! 役どころとして美味しすぎますね。美人だし。

それはさておき、今作の目玉はやっぱりロバート・レッドフォードでしょう。「ナチュラル」での「絶対見えねーよお前」でお馴染みの高校球児役が懐かしい。どこがナチュラルやねん、という。もはやすっかりおじいちゃん、どうひっくり返っても高校球児役はできませんが、今だ健在、頑張ってくれてるのは嬉しい限りです。存在感もありました。

で、今回は…まあ順当にこの人かな。

クリス・エヴァンス(スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ役)

もうすっかり「キャプテン・アメリカと言えばこの人」ときっちり役を自分のものにしていると思います。腹が立つほど爽やかでカッコイイ。

自己主張が激しすぎないヒーロー、というのも考えてみればなかなかレアだし、あれだけ目立つ外見をしつつもその辺りのキャラをしっかり作り出しているのもいいですね。

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