映画レビュー1314 『タバコは咳の原因になる』

最近JAIHOがですね、更新頻度が落ちたり(1か月で入れ替えから2か月で入れ替えのものが増えた)再配信ものと再配信かつ常時配信ものが増えたりして「これ観たな」作品が多くなってきたことでだいぶ観たいものが減ってきてしまい、そろそろ一旦休止しようかなと考えていたんですが、そう思った矢先のある日にトップに出てきたのがこの映画。

なんやこれインフラマンみたいで面白そうやないかと選んだわけですが…。

ちなみに参考までに2023年5月時点でJAIHOの常時配信になったものの中で、当ブログで取り上げたことがある作品は以下の通りです。

気になっていた作品がある方はお試しに入ってみるのもいいのではないでしょうか。(50音順・シリーズものはシリーズ順)

目玉としてはやっぱり「新しき世界」でしょうか。配信に無い時期が結構長かった傑作なだけに、常時観られるとなると他のサービスの状況次第ではキラーソフトになるのではないかなと。あとはバーフバリ他のラージャマウリ作品群はアピールポイントになりそう。「RRR」来ないかなぁ…。

個人的には「小公女」はぜひ観てほしいし、「子猫をお願い(のペ・ドゥナ)」がいつも観られるのはものすごくありがたいですね。サムネイルの時点でかわいすぎて死にます。

「殺人帳を追う女」が常時配信になったのはさすがに笑いましたが、これもぜひ一度観てほしいところです。

タバコは咳の原因になる

Fumer fait tousser
監督
脚本

カンタン・デュピュー

出演

ジル・ルルーシュ
ヴァンサン・ラコスト
アナイス・ドゥムースティエ
ジャン=パスカル・ザディ
ウーヤラ・アマムラ

公開

2022年11月30日 フランス・ベルギー

上映時間

77分

製作国

フランス

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

タバコは咳の原因になる

超好き。

9.0
地球を守る“タバコ戦隊”、最強の敵に備えて秘密基地での研修へ
  • 5人組の“タバコ戦隊”が地球を守るために研修という名の休暇でキャンプへ
  • しかし特にやることもなく「怖い話」をお披露目しあうゆるい戦隊
  • 怖い話は「劇中劇」として妙にしっかり作られてて笑う
  • ネズミのボスがとにかくズルい

あらすじ

めっちゃ面白そうじゃん! と思ったら実際めっちゃ面白くて大満足。超好きな映画でした。我ながらこういうのホント好きだよねと自分に呆れもしますが、面白いんだからしょうがない。

「ベンゼン(ジル・ルルーシュ)」「メタノール(ヴァンサン・ラコスト)」「ニコチン(アナイス・ドゥムースティエ)」「水銀(ジャン=パスカル・ザディ)」「アンモニア(ウーヤラ・アマムラ)」の5人組からなる“タバコ戦隊”は地球を守るべく戦いを繰り広げ、今日も戦隊モノでおなじみの採石場のような場所で苦戦しつつも亀の怪人“カメット”を無事撃破。

しかし安堵したのも束の間、ネズミのボスより「宇宙最強の敵・トカーゲが地球滅亡を目論んでいる」との情報がもたらされる。

「何よりもチームワークが大事」と考えるネズミのボスはタバコ戦隊に「秘密基地での研修で親睦を深めろ」と命令。

しかし半分休暇と捉えた面々は何もせずに怖い話に興じる始末…。大丈夫かタバコ戦隊! トカーゲの脅威は間近に迫っているぞ!

次週、「地球滅亡の危機! 迫りくるトカーゲ」。タバコは咳の原因になるからやめな!(デデン)

とにかくいろいろ面白すぎる

当然、次週なんて無いんですけども。まあ戦隊モノなんでね。

まずこの「タバコ戦隊」なんですが、なんか全員で構えるとタバコの害的なものが具現化して対象を爆発させる、というよくわからないパワーを持った方々です。もちろん全員嫌煙家。

オープニングで戦う敵、カメットは当初3人で戦っていたんですが「思っていたより強かった」ようで、近くで談笑していた2人(働け)を「手伝え」と引っ張ってきて5人のパワーでようやく倒します。そしてひどく血が飛び散ります。くどいほど繰り返される飛び散りカメットの映像。もうこのオープニングだけでめっちゃ好きでした。この時点でコントっぽい。

はー良かった良かった働いた…と思っていたらボスのネズミから「もっとヤバい敵が地球滅亡を目論んでるからとりあえずチームワーク高めとけ」と司令を下されキャンプへ向かう…んですが、このネズミのボスが秀逸すぎて、彼が出てきた時点で「ああもうこれ超好きなやつだ」と確信し、以降は安心して楽しみました。温泉宿に来たときぐらいリラックスしていたと思います。

このボス、見た目は…大きめの羊毛フェルトみたいな感じであからさまにぬいぐるみ感を出しているというか、リアル系のネズミじゃないんですが、ただ口はなんか緑色の液体で満たされてるし、喋ってるととにかくヨダレが飛び散って汚いなんてもんじゃないんですよ。飛び散るわダラダラこぼれ落ちるわで。

誰もが「ヨダレ出過ぎだろ」と突っ込むのは間違いないレベルでヨダレまみれのボスなんですが、しかしボスなので口調はしっかりしているしちょっといい声だったりしてもう笑っちゃってしょうがない。とにかくこのボスがツボでした。

で、どうでもいいことにこいつがモテる。具体的には言いませんが、モテエピソードがちょいちょい出てきてそれがもう面白すぎてダメでした。ちょっと「あれ?」って彼のモテを匂わせるようなシーンが出てくるたびに笑っちゃってダメ。最高。

さて、そんな彼らが研修という名のお遊びに行き、夜は焚き火を囲んで「怖い話しようぜ」と中学生のような時間を過ごし始めマジで羨ましい大人だなと思っていたところ、なんとその「怖い話」がきちんと再現VTR的に展開します。

しかも当然“聞いた話”なのでそのVTRに出てくるのはタバコ戦隊とは別の方々。つまり「怖い話用に別の俳優がしっかり演じる」非常に無駄な資産が注ぎ込まれております。

そしてこれが結構な長尺。なんなら誇張抜きで全編の1/3ぐらいは怖い話(の再現VTR)だったような気がする。

1本目はなんだかいかにもありそうなちょっとホラーみのある怖い話で、2本目はややシュール寄り。どちらもちょっと痛そうなシーンとややグロシーンが出てくるので苦手な人はダメかもしれませんが、僕は「コメディ映画」の時点であまり気にならないらしく、なんなら2本目はめちゃくちゃ面白かったです。

しかもその2本目は話者が常軌を逸していて、さらにそのオチもひどすぎてこれまた最高。すごい気になるけど。気になるけど、良い落とし所で笑っちゃう。本当にセンスあるなーと思います。

結構賛否両論

めちゃくちゃ面白い上に上映時間は脅威の80分弱、さぞや評価も高いだろう…と思って見てみたんですがフィルマークスでは結構な賛否両論。好き嫌いの分かれる笑いのようです。

まあ好きになれない人の気持ちもわからなくもないんですが、ただこんなのは楽しんじゃったもん勝ちなのでご機嫌に鑑賞し終えた自分にサンキュー! パンサー尾形です。

ちなみに邦題舐めてんなと思ったんですが原題のほぼ直訳っぽいようで、となるともう原題からして舐めてんなと。(褒めてる)

タバコは大して関係ない…と思いきや最後まで観るとなかなか皮肉なタイトルでもあるし、いやーこれはやっぱり好き。超好き。

余談ですが「タバコはがんの原因になる」だと薬事法(ではないと思うけど)的なものに引っかかりそうだし、と「咳の原因になる」にしているっぽい気がしてその配慮にも笑いました。もう世界観全部笑う。

いやー本当に好き。こういう映画。もっと作って欲しい。

このシーンがイイ!

すごくどうでもいいシーンなんですが、ボスのコールに応答するために必死に湖を泳いで通話したあとに、黒人隊員がボートを使って湖を渡るシーンが出てくるんですよね。

そこに繋がりはないし特に言及もされないんですが、注意して観ていた人であれば絶対に「ボートあるのかよwwwww」ってなると思うんですよ。なんで必死に泳いでたんだよ、って。

あの辺のセンスがこの映画を端的に表してるなぁと感心しました。そして笑いました。

ココが○

まあ本当にくだらないしコントですよ。繰り返しになりますが我ながら本当にこういう映画好きだなと思います。

ココが×

オチはもう一味ビシッと決めて欲しかった気はしたんですが、でもちゃんとオチてるしイチャモンレベルです。

でも爆笑するようなひどいオチだったら文句なしに満点つけてたなー。

あとどうでもいい話ですが、冷蔵庫のおばさんいつ寝てるの?

MVA

僕はフランス映画に詳しくないので「セラヴィ!」に出てたジル・ルルーシュ以外知りませんでしたが、なんでも「こんなくだらない映画にこんな豪華キャスト使うな」とお怒りの人がいるぐらいには豪華キャストだったようです。

そんな中選んだのはこちらの方。

アナイス・ドゥムースティエ(ニコチン役)

金髪ショートの隊員。

正直自分でもなんで彼女を選んだのかもよくわかりません。ただなんか役が美味しかったというか。

どの辺が、と書くと興を削ぐので書きませんが、もう価値観がおかしいとしか思えないアレにはひどく笑いました。まあ同じ理由でもう一人の女性隊員もアレなんだけど。

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